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「乱交の氾濫および過激な性教育の弊害」について
西園寺鉄司
1 乱交の禍
まず、乱交以前の性的なモラルに関して、私の個人的な意見を書かせていただきますと、好きでもない人と交わるのが、まず間違いなのではないでしょうか。人は、好きな人と愛し合いたいものです。そして、愛しい人と相思相愛となり愛し合った結果として、子供が生まれることは喜ばしいことなのです。その子供は、二人の愛の結晶なのですから。
どこの誰が、愛しい人を他の同性に抱かせたいと思うでしょうか。そうでなくても、次から次に異性や同性と交わる乱交は、とても常識的な見地からは受け入れられない性的モラルの著しく低い行為のように感じられます。
しかし、私の知っている限り、現在は高校生にも大学生にも、乱交は広く深く浸透しています。そして、私は以前、周りの人々から、その行為への嫌悪感を公にしたり否定してはいけないと言われたことがあります。私は、そのことに納得がいかなかったし、とても疑問に思い、それは現在まで続いています。
なお、性的モラルの低下という面以外の乱交の弊害について記述しますと、米国においてヒッピーのフリーセックス思想が流行していた1970年頃における男性同性愛者の乱交による肛門性交が、HIV感染者数(注1〜3参照)を一気に増加させたという経緯があります。また、その事実は、約10年間の潜伏期間を経て、実際に80年代初頭から米国の同性愛者にHIV発症による死者が出はじめたことから裏付けられています。同時期に、両性愛者、薬物静注者、血液製剤による輸血を受けた人々の間でも感染者が出始め、そして増加していきました。現在は、乱交は異性・同性間を問わず行われていますが、同じ“性行動の異常”、そして、同性愛、薬物(注4参照)及びHIVの蔓延と深い関わりがある行為(注5、6参照)であることは見逃してはいけない点です。また、HIV感染者の増加という重大な問題に対しては、早期に適切な対策(注7参照)を施すことが、例えば、現在の未成年者がHIVの問題についてより関心を持つように推進する(注8参照)、等の行動が必要なのではないのでしょうか。
2 過激な性教育と“人間と性”教育研究協議会
また、私は、過激な性教育に関しては極めて否定的な見方をしています。『日本の論点2004』(文藝春秋、2003年)620頁からの八木秀次氏の論文「好奇心旺盛な小学生にハウツーを教えて、セックスを奨励するつもりか」によりますと、「“人間と性”教育研究協議会」という性教育を促進している団体があり、多くの学校教師が影響を受けているとのことです。そして、この団体の理論的な指導者だったという方はもう亡くなっておりますが、山本直英氏という方なのだそうです。この方は『性教育のススメ−“下半身症候群”からの脱出』(大月書店、1994年)という本を書かれていて、その中で「男と女とは、たとえ結婚に結びつかなくても、婚前でも、婚外でも、たとえ親子の不倫でも、師弟でも、まさに階級や身分や制度を超えて愛し合うことが可能なのである」と、乱交でも近親相姦でも愛があればやってよいとの趣旨の、フリーセックスの思想を述べられているとのことです。
なお、山本氏が尊敬し、影響を受けたW・ライヒという思想家は、「性の解放」を提唱し、1970年代のアメリカのヒッピーたちは彼の本をフリーセックスのバイブルとして持ち歩いていたとのことです(前章参照)。この山本氏は1970年代後半から過激な性教育を推進されており、ご本人は2000年に亡くなられたのですが、“人間と性”教育研究協議会は現在も活動を続けているとのことですので、この団体の活動が青少年の性的行為に関する意識を変化させ(注9参照)、性的行為の経験率の上昇( 注10参照)、乱交・近親相姦などの“異常な性行動”の浸透、等に多大な影響を与え続けているのではないのでしょうか。
ところで、過激な性教育の影響で日本人における性的行為の経験率が現在まで上昇を続けているのに対して、かつて「性革命」嵐が吹き荒れたアメリカにおいては、現在は反省が行われ「性の解放」ではなく、「性の抑制」に重きをおいた教育が行われており、現ブッシュ政権も「結婚までセックスを抑制する教育プログラム」に1億3500万ドルの予算を付けているとのことです。日本においても性教育の方針に関してアメリカに倣い、早く抑制する方向に舵を切らないと、結果として、青少年の性的モラルに対して良くない影響を与え続けることになってしまうのではないのでしょうか。
ただ、性的モラルの問題には、“人間と性”教育研究協議会も含めて、様々な団体の思惑が絡んだ複雑な事情があるように感じます。例えば、純潔教育を勧めている(注11)のレポート「今、純潔がトレンディー(1)1995年11月5日号」を掲載している東大新報という団体があるのですが、実はこの団体は統一教会系(原理研)なのだそうです。また、同じ統一協会系のPLAという団体も純潔教育を推進しているようです。客観的な視点から見て正しいと感じられる思想を、カルト宗教団体が推進する。そうすると、正しい思想も結局は汚されてしまうことになりはしないでしょうか。そして、純潔教育の推進も、フリーセックス教育の推進も、どちらも背後にカルト宗教団体が控えているのだとしたら、私たちは一体何を信じていけばいいのでしょう。
[注釈]
◇ (注1)国立感染症研究所の2003年度の発表によると、わが国におけるHIV感染者の累計数は、2002年に9127人だったのが、新たに891人の感染が報告され10,081人に増加しています。新たな感染者のうち男性が713人と大部分を占めており、男性同性愛者の性行為による感染の比率が高いようです。なお、日本の感染者は2010年には5万人に達すると予測されています。
◇ (注2)国連エイズ計画(UNAIDZ)と世界保健機構(WHO)とは2003年度の報告書において、世界で今年新たにHIVに感染した患者は約500万人おり、エイズによる死者は約300万人と推計され、過去最悪を更新したことを明らかにしており、報告書は各国に早急な行動を呼びかけています。報告書は2003年末時点でのHIV感染者、エイズ患者の数を約4000万人と推計。このうち、15歳未満の小児も250万人に上るとみています。また、ここ数年、中国やインドなどのアジア地区における増加傾向が顕著であり、現在100万人の感染者をもつ中国で有効な施策がとられなかった場合、5年後には1000万人に達すると予想されています。
◇ (注3)米国においては、1988年頃までHIVへの感染を一部の逸脱者の問題であるとして放置していたため、大流行の原因を作ってしまったとのことです。具体的には、「ational Safety Council発行『Today's Supervisor』2001年9月号 p.3」(国際安全衛生センター・所蔵)によりますと、1981年に最初の症例が確認されて以降、77万4,467人のエイズ感染者が報告され、約45万の米国人が亡くなっています。現在における米国内のHIV感染者は50万人から60万人と推定され、さらに32万人がエイズを発症しています。新たな感染に関しましては、1980年代半ばに年間15万人を超えたのをピークに減少に転じ、1990年代初頭には年間4万人にまで低下したものと見られています。通算では100万人を優に超える米国人がHIVに感染した計算になります。
◇ (注4)警察庁がまとめた「平成15年中における薬物情勢について」によると、大麻の検挙者数と大麻樹脂の押収量、合成麻薬「MDMA」の押収量がいずれも過去最高を記録したとのことです。大麻の検挙者数は前年比284人(16%)増の2032人、大麻樹脂の押収量は前年比23キロ(約9%)増の267キロであり、検挙者の年齢別では20歳代が全体の約6割を占めています。また、MDMAの押収量については、平成11年に17500錠だったのが数年で急増し、平成14年には174246錠に、そして平成15年においては39万3062錠と前年より倍増しています。
◇ (注5)「台北市警中山分局は2004年1月17日、同市農安街のマンションで行われたゲイのホームパーティーを摘発、主催者及び客の計93人を逮捕した。参加者はみな、下着一枚のみを着用。マンション内に設けられたセックスルームでは乱交が行われていたという。当局が踏み込んだ際、薄暗い室内では大音量で音楽がかけられており、照明をつけると中では下着一枚もしくは全裸姿の男らがドラッグを服用していた。客の中には、そのまま薬物を服用して頭を振りつづける者、泣き出す者、床に横たわって意識が飛んでしまっている者などがおり、奥に設けられたセックスルームで7,8人が乱交を行っていたという。」(バディジェーピィ・ホームページ内記事より転載。)
◇ (注6)「中国衛生部によれば、現在中国のエイズウイルス感染者数は84万人で、そのうち発病者は8万人に上る。感染者が人口に占める割合は0.06%から0.07%で、感染者数はアジアで2番目に多い。 また2003年の1月から9月にかけて、北京市では229名のエイズ感染者が新たに見つかっており、地方出身者や麻薬中毒者、乱交者の中で感染が急速に広まっている。」(バディジェーピィ・ホームページ内記事より転載。)
◇ (注7)HIV患者の増加への対策。京大ユニセフクラブ機関誌ユニトピア内の論文「ミニ学習会『エイズを巡る世界の状況』報告 1999年3月号」によると、HIV患者の増加への主な対策として、@生物医学的には、母子感染防止、エイズ対抗薬やそれぞれの症状に対応する治療薬による延命、医療者と患者の良好な関係の促進、等が行われており、 A行動学的には、HIVの感染リスク行動、つまり注射針の共有、性交渉、輸血 注射の回し打ちをやめる、コンドーム性交、輸血用血液の検査、科学的知識の向上と、こうした行動に結びつく教育・カウンセリングの推進、B道徳論として、同性愛、麻薬、乱交などの道徳逸脱行為、性倒錯を避け、純愛・貞操といった道徳を守る、ことが推進されてきました。 エイズ患者が増加し始めた初期の頃は、Bの道徳論的立場から対策を施す傾向が強かったのが、最近は@の生物医学的及びAの行動的立場、から対策を施す傾向が強くなってきているとのことです。
◇ (注8)内閣府大臣官房政府広報室が公表した「エイズに関する世論調査(平成12年12月)により、エイズ問題に未成年者は半数近くが関心を持っておらず、感染症予防のためコンドームを使っているのは7人に1人だけという実態が明らかになっています。エイズ問題に「関心がない」「あまりない」と答えたのは成人もあわせた回答者全体では約38%ですが、15−19歳の未成年層では約46%に上昇しています。
◇ (注9)文部科学省所管の財団法人「一ツ橋文芸教育振興会」と「日本青少年研究所」が2003年に実施した、日本・アメリカ・中国・韓国の4か国の各1000人余りの高校生を対象にしたアンケート「高校生の生活と意識に関する調査」によると、日本の高校生は「男は男らしく」「女は女らしく」といった性差意識が非常に低いことが発表されています。「女は女らしくすべきだ」との設問では、日本では肯定した人が28.4%しかおらず、米国は58%、中国は71.6%、韓国は47.7%が肯定しているので、日本は突出して低いといえます。また、「男は男らしく」も、日本で肯定したのは43.4%(米63.5%、中81.1%、韓54.9%)で、唯一半数を割り込んでいます。さらに「結婚前は純潔を守るべき」との設問に対する肯定も、日本は33.3%(米52.0%、中75.0%、韓73.8%)と著しく低くなっています。
◇ (注10)財団法人日本性教育協会が1999年に行った「青少年の性行動全国調査」によりますと、1974年は大学生女子のマスターベーション経験率は28.6%、キスが38.9、性交が11.0%であったのが、1999年にはマスターベーションの経験率が40.1%、キスが63.2%、性交が50.5パーセントに変化したのだそうです。それぞれの性的行為の経験率が大幅に上昇しており、過激な性教育の影響が明確にあらわれていることがわかります。
◇ (注11)「キリスト教保守派は、純潔を性教育の柱に据える運動を展開し、そのおかげで今ではアメリカの性教育コースの九〇%には純潔の勧めが含まれるまでになった。これは、禁欲一辺倒を説く五〇年代的な性教育とは違う。「本当に好きな相手にどうやって『ノー』と言うか。それを教えてやらなければ子どもたちを動かすことはできない」と、ノースカロライナ大学思春期センターのピーター・スケールズ教授は言う。禁欲教育ではなく、フリーセックスのもたらした現状への反省にたった上での「純潔」教育なのである。六〇年代のセックス革命によって、アメリカでの離婚率は上昇し、家庭は崩壊した。その親たちの世代を見ながら育った子どもたちは、親の世代への失望もあったことだろう。また、性の解放はエイズの蔓延や、ティーンエイジャーの妊娠の増加など深刻な社会問題をもたらした。日本でも今のまま性開放が進めば、アメリカの二の轍を踏まないと言う保証はない。日本では性開放こそトレンドと言われるが、アメリカ人からすればそれこそ時代遅れな考えである。アメリカでは今、自分の自由意志でもって「純潔の自由を守ろう」という若者が増えてきているのである。」(東大新報(統一教会系)ホームページ内「今、純潔がトレンディー(1)1995年11月5日号」純潔問題研究班。より転載。)
[書籍]
文藝春秋社編『日本の論点2004』文藝春秋社、2003年。
朝日新聞社編『朝日キーワード2004』朝日新聞社、2003年。
[資料]
内閣府大臣官房政府広報室「エイズに関する世論調査(平成12年12月)」
文部科学省「不登校児童生徒数の推移(平成6年〜平成13年度)」
警察庁「平成15年中における薬物情勢について」
財団法人日本性教育協会「青少年の性行動全国調査」(1999年)
財団法人日本青少年研究所「高校生の生活と意識に関する調査」(2004年2月発表)
国際安全衛生センター「ational Safety Council発行『Today's Supervisor』2001年9月号 p.3」
八木秀次「好奇心旺盛な小学生にハウツーを教えて、セックスを奨励するつもりか」(文藝春秋『日本の論点2004』620頁)
東大新報(統一教会系)ホームページ内「今、純潔がトレンディー(1)1995年11月5日号」
[HP]
内閣府(http://www.cao.go.jp/)、警察庁(http://www.npa.go.jp/)、
The Gallup Organization(http://www.gallup.com/)
財団法人日本性教育協会(http://www.jase.or.jp/)、
財団法人日本青少年研究所(http://www1.odn.ne.jp/youth-study/)
京大ユニセフクラブ(http://www.jca.apc.org/unicefclub/)
バディジェーピィ(http://www.badi.jp/)
東大新報(統一教会系)(http://www.win.ne.jp/~t-shinpo/)