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「米国によるネット支配」を論じる世界情報社会サミット (Hotwired)
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投稿者 えっくす 日時 2003 年 12 月 13 日 06:43:37:NkRlU8kX8B.A6


「米国によるネット支配」を論じる世界情報社会サミット (Hotwired)

 世界中の人々に情報技術(IT)へのアクセスを保証しようとする国連の『世界情報社会サミット』(WSIS)が10日(現地時間)、ジュネーブで幕を開ける。しかし、先進工業国と発展途上国との間には、すでに深い亀裂が横たわっている。

 大きな論点になっているのは、誰がインターネットを統治するかということだ。中国、南アフリカ、インド、ブラジルなど一部の発展途上国は、米国が選んだ私的機関の手からインターネットを取り戻し、国連の管轄下に設置した国際機関にゆだねたいと考えている。

 こういった国々は、インターネットを動かしている主要な国々が十分に自分たちの訴えを聞いてくれないと判断した場合、一方的に国内における方針を固め、国内に独自のネットワークを作ってしまう可能性すらあると、ある国連職員は警告している。

 「インターネットというメディア自体が細分化することも考えられる」と、『国連ICT(情報通信技術)タスクフォース』のコーディネーターであるサーブランド・カーン氏は言う。そうなれば、「インターネットが自由で互換性のあるメディアでありつづけることが難しくなるかもしれない」

 意見の隔たりの大きさを考えれば、今回のサミットではこの問題をきちんと取り上げることなく、コフィー・アナン国連事務総長がワーキンググループを作るよう命じるだけに終わる可能性が高い。

 このグループは政府、企業、市民グループのリーダーで構成され、2005年にチュニジアで行なわれる2回目の――そして最後の――サミットで提案を行なう役割を担うことになる。

 国際電気通信連合(ITU)の内海善雄事務総局長は9日、ITUはこの問題に詳しく、とりまとめ役を引き受けることは可能だが、それを決めるのはメンバーだと述べた。現時点では、意見の一致は見ていないという。

 ちょうど13年前にワールド・ワイド・ウェブが誕生した、このジュネーブの地に集まる前から、米国を含む先進工業諸国はすでに、貧しい国々の技術プロジェクトに融資するための基金を別個に確保すべきだというセネガルの呼びかけに反対している。

 しかし、各国代表らは9日、基金を希望する国々はそれを準備してよいという、一種の合意に達した。しかし米国、日本、欧州連合(EU)を含む国々はこれに懐疑的で、来年、調査を行なうことで合意している。いまのところ、基金設立についての発表はない。

 資金確保と管理権限、さらに自由なメディアをめぐる議論のため、このサミットで発表あるいは紹介されるはずだった、多くのデジタル・ディバイド[デジタル技術における社会格差]に関するプロジェクトは、影が薄くなってしまった。

 およそ1万6000人の参加者の中には、50ヵ国以上の指導者も含まれているが、この50ヵ国のほとんどが発展途上国だ。米国のブッシュ大統領とドイツのゲアハルト・シュレーダー首相は、出席を表明していたにもかかわらず、参加していない。

 1998年に米国政府が、インターネットの中核となるアドレスシステムの統括機関として承認したICANN(インターネット・コーポレーション・フォー・アサインド・ネームズ・アンド・ナンバーズ)からは、ポール・トゥーメイ事務総長兼最高運営責任者(CEO)が出席している。ICANNは一部の発展途上国から批判を受けており、トゥーメイCEO自身も、各国政府の代表者がICANNの今後について話し合う12日の会議から除外されてしまった。

 ICANNは今でも米商務省の管轄下にあるが、トゥーメイCEOは、ICANNは海外にオフィスを設け、米国以外から委員会メンバーを招くことで、全世界からの要請に応えようと努力していると話した。トゥーメイ氏自身はオーストラリア人だ。

 しかし大方の人は、まだICANNを米国の組織と見なしている。

 『社会的責任を考えるコンピュータ専門家の会』(CPSR)のハンス・クライン議長は、発展途上国の政府が、米国政府によって突然に自分たちに不利な決定がされるのではないかと不安に思うのは当然だと話す。たとえば、米国が、テロリストを支援していると決めつけた国のドメインネームを中央データベースからはずしてしまえば、こういった国々はインターネットから締め出されてしまうことになる。

 また発展途上国は、早くからインターネットに接続した西側諸国が、コンピューターの接続に必要な有効なアドレスのほとんどを使ってしまい、発展途上国が利用できるアドレスが限られてしまうことも心配している。

 アルファベット以外の文字のドメインネームをもっと迅速に承認してほしいという要望も出ている。現に中国は数年前、国内のインターネットを2つに分割し、中国語による独自のドメインネーム・システムを構築することをほのめかした。

 しかしICANNを支持する国もある。欧州のドメインネーム運営機関コンソーシアム『CENTR』事務局のティム・マーテンス総責任者は、別の国際的な管理機関を作ったとしても、意志決定にかかる時間が長くなるだけだと考えている。

 トゥーメイ氏は、ICANNに対する苦情の多くは誤解に基づいたものだと話す。スパムとコンテンツを規制する機関が必要だという声もあるが、これはICANNの権限の範囲外だ。ドメインネームについても、地名や王族のファミリーネームの入った「.com」を無関係な人間や組織が使用するのをICANNが阻止できないのはおかしい、という苦情もあるという。

 国連のカーン氏によると、ICNNはインターネットが主に米国内で使われていた時代の遺物だと考えている国は多い。ネットはますますグローバルなものになっており、変革が求められている、とカーン氏は話している。

[日本語版:鎌田真由子/福岡洋一]

http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/australia.html?d=12hotwiredi03&cat=8&typ=t

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