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(回答先: スペイン諜報部員 少なくとも4人、おそらく8人死亡 バグダッド [Reuters] 【まだ詳細不明の短信】 投稿者 ひろ 日時 2003 年 11 月 30 日 02:24:17)
はじめまして。バルセロナ在住日本人です。
こちらスペインの、29日夜(日本時間30日明け方)の各テレビのニュースでは「7人死亡、1名が重症」という報道になっております。
まず、日本でいえばNHKに相当する旧国営放送局のテレビシオン・エスパニョーラでは「7名の情報機関員がテロリストに殺害された」といった論調で、映像は、薄闇の広がる道路に転がる数名の死体を、なぜかテロップや解説を入れる枠を使ってその画面を小さくして、何が映っているのかよくわからないようにして放送していました。
ところが、民放のテレ・シンコでは「ゲリラが7名を殺害した」という表現になっており、4名ほどの血みどろの死体を大写しにして、さらにその死体を足で踏みつけ蹴り上げて歓声を上げるイラクの若者たちの姿を長々と放映したのです。
この「テロリスト」「ゲリラ」という表現の違い、および映像の違いは極めて重要でしょう。テレビシオン・エスパニョーラは元々からスペイン政府にコントロールされており、「イラクでの治安活動を妨害しているのはテロリストである」というスペインおよびアメリカ政府の立場に忠実に放送していますし、イラクでの残虐な場面は可能な限り目につきにくいように注意しているようです。しかしそれでも、バグダッド支局の記者は「イラクは極めて危険な状態で、軍人だけでなく報道関係者であっても、外国人であればいつでも標的になる」という状況を報告しています。(自衛隊がイラクに行けば当然日本の報道関係者も行くのでしょうが、覚悟はできているのでしょうか。)
一方のテレ・シンコのほうですが、このテレビ局のホセ・コウソというカメラマンがイラク戦争中にアメリカ軍に殺害されているせいもあって、イラクでのアメリカ軍の行動には時折手厳しい報道をしているようです。上記の映像のほうは恐らくBBCかどこかのものをまわしてもらったのでしょうが、この映像を見たスペイン人はおそらく息が詰まったと思います。(日本人は自衛隊の同胞たちの死体をイラク人が蹴り上げている姿を正視出来るでしょうか。そんな場面を放映するテレビ局は無いでしょうが。)
残念ながら各局のニュースの時間が重なっているため、今夜はこの2つしか確認はできませんでした。しかし、たとえばバルセロナにあるカタルーニャ・テレビなどはイスラエルのパレスチナ人に対する蛮行やイラク戦争でのアメリカの行動に対してはおおむね厳しい姿勢を保っていますので、恐らくテレ・シンコと同様の報道をしたと思われます。これは明日のニュースで確認してみます。
スペインには旧国営放送系のチャンネルが2つ、全国ネットの民放が2つと、あとは各地方の放送局がいくつもあるのですが、4月にテレ・シンコのカメラマンが殺されたときには、あのテレビシオン・エスパニョーラも含めて大変な騒動でした。そのすぐ後にイギリスの外相ジャック・ストロゥがスペインを訪れたのですが、各テレビ局・新聞社はいっせいに抗議の意思を表明し、ストロゥをカメラで写すことをボイコットする、という行動に出ました。スペイン外相のアナ・パラシオとジャック・ストロゥが並んで官邸から出てきたら、数十名のカメラマンたちがいっせいにカメラを地面に置いて腕を組んでにらみつけているのです。新聞社とテレビ局同士の協定で1社のカメラだけがこの場面を写してそれを全部の社や局に配ったわけですが、いつもならパチパチとフラッシュがたかれテレビカメラのレンズが自分に向くのを見慣れているこの二人の外相がどれほど面食らったか、は、口をぽかんをあけて目を見開いて立ちすくむストロゥとその横でおたおたとうろたえるパラシオの表情で丸わかりでした。(あのストロゥの間抜けヅラ、日本の皆さんに見せてやりたかったですよ。)
このように、スペインでは気骨のあるマスコミが存在しています。さて、日本はどうなることでしょうね。
最後に、今日の夜、マドリッドのビセンテ・カルデロン球技場でアトゥレティコ・マドリッドとマラガのサッカーのスペインリーグの試合がありました。試合の前に、イラクで死亡した7名のスペイン人の冥福を祈って1分間の黙とうがあったのですが、最初は静まり返っていた球技場のどこからか「ノー・ア・ラ・ゲラ!(戦争反対!)」の声があがり始め、たちまち5万人を越すと思われる観衆の大合唱になったのです。さすがは40年近い独裁時代を生き抜いてきた国民です。50年以上の平和を生きてきた日本人は、同様の立場に立たされたときにどういう反応をするのでしょうか。