現在地 HOME > 掲示板 > 戦争43 > 718.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: RE 死体、蹴り上げ? 投稿者 はまち 日時 2003 年 11 月 30 日 08:26:03)
はまち 様
スペインのテレビを見ますと、政府与党の高官たちはもちろんですが、イラク戦争への荷担を強硬に反対したスペイン社会労働者党のサパテーロ党首でさえ「今日は悲しみの日だ。殺された7名のご家族に対し深く哀悼の意を表する。彼らは我々の同朋であり兄弟達だ。私はこの戦争には反対しているが、しかし今日はそのことは置いておく。」また、同様にアメリカを非難しつづける統一左翼(旧スペイン共産党系)の党首(名前は今ド忘れして出てきません)も「多くの同朋を失ったことは残念で悲しい。アスナール政府はこの責任にどう答えるのか」と発言しています。スペイン語の細かいニュアンスはわからないものも多少ありますが、およそこのような発言でした。国王も特別の哀悼の意を表していました。
確かに日本人からすれば、「情報員(諜報部員と書くべきでしたか)」は「スパイ」で裏で諜報工作や破壊工作をする「胡散臭い連中」ということになり、そいつらが死んでもたぶん秘密裏に処理されるか、表に出てもできるだけすみっこに報道されるだけでしょう。CIAでももちろんそうでしょう。しかしスペインでは「諜報活動」に関してどうやらそのような感覚とはまるで違う受け取り方をされているようです。
実は8月にも1人諜報部員がイラクで死んでいるのですが、このときも実名・写真入で大々的に報道され、家族や葬式の様子までニュースに出ていました。信じられないでしょうが事実です。おそらく今回殺害された7名の場合も葬儀の様子まで大きくテレビ放映されると思われます。
私はまだ不勉強でスペイン政府機関の詳しい構造などはよく知らないのですが、一般の国民には、大使館付きの「諜報部員(アヘンシア・デ・インテリヘンシアといいますが)」は、要するに役所の情報収集係、ある意味で、たとえば企業の市場調査員などと同様の感覚で見られているのではないかと思います。またスペイン人は例の「メイン号」以来アメリカに対しては根本的な不信感を持っています。フランコ独裁政権時に貧困のどん底からアメリカの経済力を頼りにやっと人間らしい生活を手に入れることができたとはいえ、いまだにアメリカに対しては非常に複雑な感情を抱きつづけています。最新の世論調査では、40%がイラクからの即撤退を求め、45%がアメリカの主導による「イラク復興」に反対しています。つまり85%がアメリカのイラク政策に反対しています。2月21日でしたか、バルセロナでも主催者発表で100万人、警察発表でも50万人の大反戦デモがありましたが、その前後のスペインでの世論調査では、私の見た新聞では、92%が戦争反対、と報道されていました。ひょっとすると「たとえ誰であれアメリカのせいでスペイン人が死んだことは耐えがたい」という感情かもしれません。この点は今後知り合いのスペイン人に聞いてみることにしましょう。
現在のアスナール政権は、将来の石油確保とヨーロッパの中の政治力学を計算して迷わずアメリカについていっていますが、来年が総選挙の年ですから、たぶん気が気ではないでしょう。
「スパイと自衛隊員を同列に・・・」ということですが、イラク人にとっては一緒でしょう。これはもう理屈じゃないですよ。ヨーロッパ人の顔をしていませんからまだ風当たりは弱いかも知れませんが(そう願いたいものです)。また、スペインだけではなくヨーロッパのテレビは血みどろの死体やちぎれた手足などを結構平気でテレビで放映します。以前アフリカのコンゴで内戦が激しかったとき、政府軍の軍人が反対派の住民を、命乞いしているにもかかわらず橋の上から川に放り投げてそれを上から銃で撃って殺しているのをテレビのニュースで見ました。日本人が見たら卒倒するような場面かも知れませんが、やはりこれが世界の現実でしょう。ですから逆に、殺されているのに死体がはっきりと映っていなかったりすると「何か変だな」と思ってしまいます。
以上、つたない文章でお目を汚して申し訳ありません。