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(回答先: 誰か教えて下さい。 国内でテロが発生したら、「有事発動」は可能なのでしょうか。 投稿者 大富豪 日時 2003 年 12 月 05 日 00:19:08)
大富豪さん,こんにちは.
私も不勉強ですが,この間愚民党さんのポストにあった防衛庁サイトへのリンクで防衛白書を
見つけ,一通り読んでみました.(愚民党さん:ありがとうございます.)「有事発動」というのは自
衛隊法第七十六条で規定する【防衛出動】のことだと思います.まずは,条文をお読みください.
自衛隊法第七十六条
(防衛出動)
第七十六条 内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下本項及び次項において同じ。)を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。
2 前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで出動を命じた場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、又は出動の必要がなくなつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。
手続き的には,
武力攻撃事態・武力攻撃予測事態発生→閣議→
対処基本方針(防衛召集命令,防衛出動待機命令,防御施設構築命令,※防衛出動)→
国会承認→<防衛出動>→事態終了ないし国会終了議決→閣議→対処基本方針の廃止
という流れになります.自衛隊は専守防衛を旨としていますから,<防衛出動>というのは,
自衛隊が行なう唯一の<戦争行為>と言えます.※特に緊急に必要な場合には国会承認
なしに防衛出動が下命可能であることにご注意ください.
6月6日可決成立した有事3法(第156回通常国会)は,上で述べた武力攻撃事態に対処
するために制定されたもので,【武力攻撃事態対処法】,【安全保障会議設置法改正】,
【自衛隊法その他改正】から成ります.【武力攻撃事態対処法】では,<武力攻撃事態>
と<武力攻撃予測事態>を定義しています.これらは基本的に外国勢力による本土への
武力侵入に関わるもので,不審船,武装工作員への対処などは自衛隊法第78条で規定
する<治安出動>で対処します.1901年(H13)第153回臨時国会における自衛隊法改正で,
治安出動発令前の<情報収集活動>,治安出動時の<武器の使用>が認められました.
自衛隊法第七十八条
(命令による治安出動)
第七十八条 内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、又は出動の必要がなくなつたときは、すみやかに、自衛隊の撤収を命じなければならない。
※治安出動は防衛出動と異なり事前の国会承認が不要(要事後承認)であることにご注意ください.
治安出動には都道府県知事の<要請による治安出動>自衛隊法第81条というのもあります.
第153回臨時国会では同時多発テロなどに備えて,国内の自衛隊の施設や在日米軍の施設及び
区域の警護のため、自衛隊の部隊などの出動を可能とする<警護出動>(自衛隊法第81-1条)
とともに,通常時から自衛隊施設を<警護するための武器使用>を認めました..
結局自衛隊の武装出動には@治安出動,A警護出動,B防衛出動の3種があるということになり
ます.これらは程度の差こそあれ,武器の携行・使用が許されるという意味では実質的に同じこと
とも言えますが,それにしても防衛出動がもっとも重いので,(外部勢力による)国内テロでこれが
発動されるのか否かを考えて見ましょう.結論的に言えば,>イエス<です.以下をご覧ください.
【平成15年版防衛白書】
http://www.jda.go.jp/j/library/wp/15/2003/index.html
【2 事態が外部からの武力攻撃に該当する場合の対応】→防衛出動
http://www.jda.go.jp/j/library/wp/15/2003/html/15322000.html
【3 同時多発テロを踏まえた対処態勢の整備】→警護出動
http://www.jda.go.jp/j/library/wp/15/2003/html/15323000.html
上で述べたように<防衛出動>=<戦争行為>以外のなにものでもありませんから,
【国内テロ】 ⇒ 【戦争】
ということになります.国会議員には結構いい給料を渡してるつもりだったんですが...
どうも,うかつだったようですね.(T_T) 小泉は(人を)騙すのがうまいのかなぁ?
やらせテロルですか?もちろん,法理的には大通りでしょうね.つまり,我が国はすで
にスイッチひとつで【戦争】に入れるような超簡便な仕組みになってました!
(慎太郎がしきりに煽っているのはこれですね!なぁるほど...)
参考までに平成15年版防衛白書から「武装工作員などへの対処」の節を抜粋しておきます.
【平成15年版防衛白書】
第3章緊急事態への対応
第2節各種の事態への対応
1 不審船・武装工作員などへの対応
武装工作員などへの対処
(1)基本的な考え方
武装工作員1などによる不法行為には、警察が第一義的に対処するが、自衛隊は、生起した事案の様相に応じ、基本的に次のように対応する。
ア 侵入者の実態や生起している事案の状況が不明確な場合には、状況の把握に努め、自衛隊施設の警備強化などを行うとともに、必要に応じ、警察官の輸送、各種資器材の提供などにより、警察機関に協力する。
イ 生起している事案が明確となり、一般の警察力をもっては治安を維持できないと認められる場合には、輸送支援、各種資器材の提供に加え、治安出動により警察機関と協力し、武装工作員などの鎮圧、防護対象の警備などを行う。
(2)武装工作員などへの対処のための自衛隊法の改正
武装工作員などへの対処を迅速かつ効果的に行うため、01(平成13)年、第153回臨時国会で自衛隊法を改正し、次のような規定を新設した。
ア 治安出動下令前に行う情報収集
防衛庁長官は、治安出動が下令されること及び小銃、機関銃などの強力な武器を所持した者による不法行為が行われることが予測される場合、その事態の状況の把握に資する情報の収集を行うため特別の必要があると認めるときは、国家公安委員会と協議の上、内閣総理大臣の承認を得て、武器を携行する自衛隊の部隊にそのような者がいると見込まれる場所及びその近くでそれらにかかわる情報の収集を命ずることができる。
また、情報収集の職務に従事する自衛官は、その職務を行うに際し、自己又は自己とともにその職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用できる。その際、正当防衛又は緊急避難に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
イ 治安出動時の武器の使用
治安出動を命ぜられた自衛隊の自衛官が、事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用した結果、人に危害を与えても法律に基づく正当行為とされる場合として、従来の、
1) 職務上警護する人、施設又は物件に対する暴行又は侵害を排除する場合
2) 多衆集合して行う暴行又は脅迫を鎮圧又は防止する場合
に、次の場合を追加した。
3) 小銃、機関銃(機関けん銃を含む。)、砲、化学兵器、生物兵器などの武器を所持し、又は所持していると疑うに足りる相当の理由のある者による暴行又は脅迫を鎮圧又は防止する場合
(3)警察との連携強化のための措置
ア 治安出動にかかる基本協定の改正
武装工作員などへの対処に当たっては、警察機関との連携が重要である。このため、00(同12)年、治安出動の際における自衛隊と警察との連携要領についての基本協定(54(昭和29)年に締結)を改正し、暴動鎮圧を前提とした従来の協定を、武装工作員などによる不法行為にも対処できるようにした2。
イ 警察との共同図上訓練
昨年5月末までに、陸上自衛隊(陸自)の師団などと全都道府県警察との間で、治安出動に関する現地協定が締結されたことを踏まえ、現地レベルでの相互の連携を一層緊密なものとするため、現地協定の締結主体である師団などと都道府県警察との間で共同図上訓練が開始された。
昨年11月、陸自北部方面隊と北海道警察とが共同図上訓練を行った。これは、治安出動を想定した武装工作員などへの対処に関する自衛隊と警察とのはじめての共同訓練であったが、事態への対処に関する相互理解が図られたほか、両者の連携要領などについても活発な検討がなされた。
このような共同図上訓練は、他の府県でも実施している3。
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1)殺傷力の強力な武器を保持し、わが国において破壊活動などの不法行為を行う者や、その協力者などをいう。なお、事態の初期においては、相手方の国籍・所属(正規軍か不正規軍か)、意図、人数、能力などが不明であると思われる。
2)正式名称は、「治安出動の際における治安の維持に関する協定」。
防衛庁と国家公安委員会との間で締結された。
3)本年2月には、第10師団と福井県警、第3師団と大阪府警、第1師団と茨城県警、第6師団と宮城県警との間で、3月には第13旅団と広島県警との間で実施された。