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革マル派「解放」1797号
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命の値うち
君、死にたまふことなかれ
十一月二十九日、イラクでCPAに派遣された日本の外交官二人がゲリラ・グループに殺害された。自衛隊員がイラクで死んだら一億円――これが命の値うちなのだとか。では、外交官は?
政府は、防衛庁が殉職自衛隊員に支給する「賞恤(しょうじゅつ)金」を引き上げる方針を十一月はじめに決めた。現在は最高六〇〇〇万円である「賞恤金」を一気に一・五倍の九〇〇〇万円にする。さらに、警察官や海上保安官、PKOで派遣される自衛官などが死亡した場合に首相が支払う「特別褒賞金」(一〇〇〇万円)制度をイラクに派遣された自衛隊員にも適用する。イラクで死亡した自衛隊員の家族には計一億円が払われるというのだ。ケガをした場合でも、通常の五割増しの補償をするというPKO派遣者にたいする制度が適用されるという。もちろん通常の国家公務員災害補償法による年金や一時金も支払われる。派遣されると一日三万円の特別手当も支払われるというから、実に手厚い手当をされることになる。
機を見て敏なる(?)保険屋どもは、派遣自衛隊員向けに、掛金月一万五〇〇〇円で保険金一億円を支払う、というイラク特措法保険とでもいうべきものを売り出した。この保険に加入しておけば、あわせて二億円もらえることになる。
自衛隊員の死に一億円が高いか安いかはともかくとして、小泉政府には、急きょ引き上げを決めなければならないわけがある。
すでにバグダッドの日本大使館に陸上自衛隊幹部二名が常駐している。さらに派遣準備「調査団」の名目で自衛官約十人が派遣された。イタリア警察隊の事務所にたいする攻撃の衝撃が醒(さ)めやらぬ十一月十八日、サマワに到着した調査団は「生きています。元気です」と東京に第一報を入れたのだった。恐怖に震える自衛隊員の顔色が目に浮かぶというもの。しかも、そのうち数人はそのまま残留させられている。
小泉政権が強行しようとしているイラクへの本格的派遣をまえにして、自衛隊員たちの躊躇(ちゅうちょ)や疑問の声が噴出している。インド洋での米軍などにたいする燃料補給の任務から帰った隊員たちは、マスコミのインタビューにたいして公然と「二度と行きたくない」と声をあらげて語った。本来、「日本を守る」のが任務のはずなのになぜ遠いイラクへ行かねばならないのか、「契約違反」ではないか――このような反発を多くの自衛隊員があらわにしている。
彼らをなだめすかしてイラクへ送り出すためのエサが「賞恤金」の一挙の引き上げというわけだ。金で自衛隊員の命を買って日本国家の名を揚(あ)げようとたくらんでいるのだ。ネオ・ファシストどもは、自衛隊を派遣する意義を国民が理解することこそが大事なのだ、一人でも死んでくれたほうが軍事力を強化するのに役にたつ、とすらキャンペーンしている。
だから要注意。銃撃戦で死ぬとかの華ばなしい死に方でないと(一億円)支給の対象にはならない、と防衛庁幹部はほざいている。宣伝にならない死亡には価値がないってこと。インド洋に派遣されている自衛艦の乗員二人が交通事故とストレスで死亡したが、「賞恤金」も特別褒賞金も支払われていないという。すると死に方によっては、一億円はナシってことかも。
ところで、自衛隊員の「賞恤金」引き上げに反発したのが外務省。自分たち大使館関係者は、占領軍にたいする攻撃が相次ぐバグダッドで武器もなく危険にさらされている。武器を持つ自衛隊が「安全」な南部に派遣されるのになぜ弔慰金の引き上げなのだ、とブチ切れた。さっそく、外務省職員が死亡したときに支払われる「弔慰金」を自衛隊と同じ九〇〇〇万円に引き上げることを決めた。その矢先に、本当に二人が射殺された。
だが、ちょっと待て。政府は技術者、医師など数十人の民間人を自衛隊とともに派遣する方針を決めている。この人たちはどうなるのか? 当然のことながら、イラク人民は、これらの人びとをも、米軍の占領支配を手助けする敵であると宣言している。
イラクに「安全」なところなどない。米軍政に加担する自衛隊や日本政府の派遣者が行くところが「危険地帯」になるのだ。バグダッド、モスル、バスラなどの「危険な」都市部で「復興」の作業に従事するとされているこの人たちに何が補償されるのかは、何も語られていない。……
日本政府の言う「イラク復興支援」「人道的支援」とは、米軍占領支配の下働きでしかない。ゆめゆめだまされることなかれ。君、死にたまふことなかれ。