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(回答先: 毎日新聞(10月21日付)「広がる“9.11陰謀論”独国民、米に懐疑心」は陰謀論についての無理解を晒している 投稿者 佐藤雅彦 日時 2003 年 10 月 22 日 05:02:25)
佐藤雅彦さん
当方もこの記事を読みたかったので助かります。ありがとうございます。
貴殿のessayは陰謀論について実に明快な総括を提供してくれていると思います。考えてみれば陰謀という言葉の持つ一種隠微な響きが、陰謀論イコール無節操、インチキといった決めつけを許容する背景となっているような気もします。でも謀略という言葉に置き換えてみれば、これはどこの国の軍隊でも戦略の一環として行っていることで、そのために諜報機関が存在し優秀なスパイ一人は1個師団の兵力に相当するなどと言われているわけです。いや企業でも分野によって産業スパイなどによる謀略が業務の中枢を占めているところもあります。(釈迦に説法かもしれませんが)
現実にCIA、MI6といった秘密諜報機関が軍隊組織の枠外に存在しているということは、軍事を離れた局面においても表沙汰にできない作戦(即ち謀略=陰謀)を遂行していることは絶対間違いありません。もし謀略=陰謀に一切無縁な活動だけ行っているのであれば彼らは給料泥棒ということになります。問題は彼らが時の権力者の意向、ないし彼らの自律的な動きの中で自国民の利益にさえ(他国の利益に反するのは元来必然である)全く反するような謀略に手を染める可能性があることで、その際に国民の利益を守ってくれるのはメディア(出版社も含む)しかありません。
その意味でティエリ・メイサンの著作が日本で出版されないのは全く遺憾なことですね。メディアの職場放棄といえるでしょう。冗談でなくファシズムの嵐が再び吹き荒れる可能性が現実のものになりつつある状況で(ノーマン=メイラーなどは、米国は9/11以降ファシズム段階に突入したと明確に定義している)言論の自由を放棄するのは、消防士が燃えさかる家を前にして、恐ろしいから消火作業を拒否する、というのと変わりません。
周知のように英国では議員歴33年の労働党重鎮であるマイケル・ミーチャーが「9/11はインチキであった」ことを非の打ち所のない論理構成で訴えました。その後彼を陰謀論者扱いしようとする動きは一部にありましたが支持されず、最近も遺伝子組み換え食品の関連でTVなどメディアに堂々と登場してくるのを見るとさすがの感がありました。「あいつは陰謀論者だ。相手にするのはやめよう」の論理が通用しない文化なのです。英米とまとめていうことが多いですがファシズムへの忌避においては両者は天と地の違いがあります。とはいえ北ロンドンの補選で最も左翼的な自民党(日本の自民党の対極)が圧勝して以来、メディアは一斉にブレア批判のトーンを下げ、やはりメディアを本当に牛耳っている背後の勢力の存在、この調子で自民党が次回総選挙で圧勝することだけは絶対避けなければならない、という権力の意思をはっきり感じることができます。大手メディアに関する限り程度が違うだけで基本的な方向性は日本と同じです。だからこそalternative mediaであるインターネット放送局の存在意義は大きいといえます。
とまれ陰謀が無いことを科学的に立証できないくせに人を陰謀論者と決めつけるのは、全く幼児的論理といえるでしょう。ミーチャー氏が言っているように、当事者である米国政府はあれだけの矛盾(ハイジャック機の滞空中だけ防空体制が解除されていたのはどういうわけなのか、この問題だけでも大統領弾劾に値する)が露呈している以上、合理的な説明をする当然の義務があります。説明ができない以上何か極度に怪しい事態(人はこれを陰謀と呼ぶ)が進行していたと判定せざるを得ないわけです。
最近朝日・毎日と大手メディアが陰謀論を取り上げた背景はやはり新聞記者など現場のスタッフには、相当怪しいことが行われたようだという実感があったからではないでしょうか。彼らだって我々と同様な情報にアクセスできるわけで、まっとうな思考力を持っていれば陰謀があったことはほとんど間違いないという結論に到達するのは自明と思います。ただし大企業のサラリーマンとしての保身という点から、直接記事にするのは一寸といったところなのでしょう。だから陰謀論の流布という社会現象(これは何人も否定できない)を客観的事実として報道することで、実は言いたいことを可能な範囲で言っているのではないでしょうか?