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(回答先: イラク復興:支援費半分を融資に 歳出法案を修正可決 米上院 [毎日新聞]【本来負担義務がない日本はホイホイ無償拠出】 投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 17 日 17:00:39)
ブッシュが日本にやって来る。もちろん、目当ては兵隊、そしてカネ。いずれも日本が最後の頼り。
「戦闘終結宣言」から五ヵ月、イラク占領米軍の死者は二百を突破した。旧サダム軍は「各地に司令部」をもち、「地域的連携」さえもとりはじめたと、司令官サンチェスみずから認めた(十月二日の記者会見)。
シーア派をサダム派ゲリラにけしかけようと、仕掛けたナジャフ謀略にもかかわらず、結果は裏目。ハキームのSCIRIに代わり、反米のモクタダ・サドル一派が台頭。バグダッド・サドルシティーで連日のデモ。警察署への自爆攻撃、米軍襲撃もがはじまった(いずれも十月九日のこと)。
シーア派が頼りの統治評議会だが、ここに来て展望喪失。米軍長期駐留が不可避となった。困ったブッシュはぬけぬけと、「多国籍軍」編成を国連安保理に提案。占領軍の権限は譲らないけど、援軍はよこしてくれと。だが、仏・独・露・中、アナンとみなこれを拒否。多国籍軍プランの方も、展望立たず。
ただひとり、イラク派兵を決定したのがトルコ。トルコ軍派遣となれば、黙っちゃいないのがクルド人。シーア派に続いてクルド人まで統治評議会から離脱しかねない。アメリカは、そんなトルコでも大歓迎。待ち人きたらず、招かざる客のみきたる。
困難はさのみにあらず。占領のカギは復興、しかし先立つものはカネ。そのカネがひねり出せない。
世界銀行試算では、イラク復興経費は五五〇億ドル。そのうちの二〇〇億ドルまでとケチったブッシュ、それでも議会で立ち往生。民主党議員は言った、「<衝撃と恐怖>財政ではないか」。ただし米軍駐留費六七〇億ドルは、全員賛成。つまり米軍撤退には、みな反対。そのうえで、イラクの復興なんだから、石油担保の融資にしろと、外野席から言いたい放題。しかしブッシュは、それでは困る。石油担保はあまりに露骨。石油めあての戦争と、袋叩きだ。アメリカが融資に頼り、他国には無償援助を迫るのも、勝手がすぎる。ビタ一文、とれるわけがない。
復興を放棄もできぬ。そうすれば、治安は悪化、そのツケは駐留経費に回る。占領を続けるかぎり、出費はかさむ。しかし財政赤字は五六〇〇億ドルにもなった。財布よ財布よ汝をいかんせん。
もう国連に丸投げしろと? そういうわけにもブッシュはゆかぬ。政権外のネオコンどもが、もう大騒ぎ。「いまここで失敗すれば、アメリカは数十年間壊滅的な打撃を受ける」「いま修正しなかったなら、失敗は災厄にいたる」「国連に頼ったならばアメリカは尻尾を巻いたと笑われる」「それだけは受け入れがたい」と。(『The Weekly Standard』九月一―八日合併号掲載のビル・クリストル、ロバート・ケーガンの論文)
ネオコンは言う。「もっとお金を」「もっと軍隊を」と。「Do What It Takes in Iraq(イラクでやるべきことをやれ)」と。そんなことならブッシュでも百も承知だ。だがしかし、ホワットだけでは、やっていけない。ハウがなければ、権力者はつとまりません。「いかにしてお金をとるか」「いかにして兵隊つれて来させるか」これをクリアーするのがオレ様だ。そこでブッシュは考えた。――ニッポンから、と。
ニッポンといえばアーミテージだ。「ショー・ザ・フラッグ」、この一言でテロ対策特措法。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」、そしたらイラク特措法。そしてこんどは「ドーント・ウォーク・アウェイ」。これだけで日本政府の態度は急変。「自衛隊年内派遣はムリ」と言った、その舌の根も乾かぬうちに、「日本はイラク支援にひるんではならない」ときた。世に「アーミテージ効果」と言うらしい。
それもこれも、ニッポン政治エリートのものわかりのよさのせい。アメリカの理不尽さえも受け入れる、おかしな国は世界でもニッポンひとり。
ネオコンの広報紙かと見まちがう「読売」いわく、――アメリカは山で遭難した人にたとえるべきで、フランスやドイツのように、「無謀だ」と非難するのはまちがいだ。「死地に入った」アメリカが「苦しい時期を乗り越え」る過程にあると理解して、日本はカネも兵隊も出そうじゃないか。(九月二十八日付「地球を読む」岡崎久彦)
無謀登山で遭難すれば、こりゃ当人の責任だ。身柄は回収、費用は全額本人負担。アメリカはただちに撤退、賠償金を支払うべきとなるのが道理。フランス、ドイツの非難こそ、まだしも常識的というべし。スジの通らぬデタラメを言うのは日本政府だけ。
こういう日本だからこそ、ブッシュにとっては地獄にホトケ。こんな便利な国はない。ブッシュが議会の追及をかわすときにも日本が頼り。大丈夫、日本が金を出してくれるさ。日本は気前のよい国だから。まるでATMだから。
そんなブッシュが鼻歌まじりにやってくる。いざ、迎え撃たん!