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(回答先: 天木直人前レバノン大使を迎えた総花シンポが象徴する日本反体制総崩れ反戦空洞化 投稿者 木村愛二 日時 2003 年 11 月 05 日 11:41:44)
ニュースでも今のところ取り上げてないみたいで、どのようなシンポジウムなのか気になっていました。下はブナ林便りからの転載です。 http://members.jcom.home.ne.jp/pinuskoraie/0305.htm
●皆様 小林です。このMLの本格的な開始が延びていて済みません。天木シンポが終わりましたので、その報告を転送させて頂きます。取り急ぎ。
公共哲学・公共民フォーラム・art of peace各位
皆様、ご協力、心よりありがとうございました。天木氏の知名度は相当高くなっているのですが、いざ広報を始めてみたところ、「(1)文化祭シーズンで大学生が来にくい、(2)同じ日に他の重要な市民のイベントが行われている」ということがわかり、参加者数が心配でした。そこで、皆様にも情報伝達のお願いをしたのですが、幸い会場には400人強が集まり、とても盛り上がりました。現在の所、マスコミの報道はなされていないようですが、今後ラジオやテレビで放送がなされることが期待できます。 内容については、いずれ何らかの形で直接見聞できる形にしたいと思っていますが、私個人が特に印象に残ったのは、次のような点です。
●1.天木氏の講演…基本的には著書『さらば外務省!』(講談社)に沿った話を進められましたので、内容については著書を読まれるとかなりわかると思います。講演や議論を通じて、誠実なお人柄や発想がよくわかり、親しみを感じた方が多かったと思います。決して過激な内容とは思えず、「これでも解雇されてしまうのか?」と外務省人事の問題性を改めて感じた方もおられるでしょう。初めて話を聞いた人たちからも「面白い話だった」と好評でした 。 著書ではそれほど伺えなかった内容としては、根源にあるパレスチナ問題の重要性を強調されたように感じました。また、著作では問題の具申書の要約が載っていますが、当日は現物を総合司会の星野さんが(とても印象的な口調で)朗読されたので、より価値は大きかったと思います。 会場からは、30代の現役外交官を名乗る人から自分達の立場を説明する(私物化していない、等々)コメントがあり、天木氏が返答するという興味深い一幕もありました。
●2.山脇先生のスピーチ…天木氏に続いて行われた山脇スピーチは、以前公共哲学フォーラムで話題を呼び現在もHPに掲載されている「御用外交 評論家の知的粗暴さ」を軸にしたものでした。http://global-peace-public-network.hp.infoseek.co.jp/index-j.html 天木氏の講演が元外交官による日本外交批判であるのと並行して、これは現東大教授による東大教授批判であり、イラク戦支持の発言を資料として配付して行ったこの批判は、迫力の点で圧巻でした。日頃の言論状況・メディア状況の閉塞感に対し、天木氏同様の気迫に快哉を叫ぶ気持ちも人も少なくはなかっただろうと思います。
討論では、パネリストの池田香代子氏が(批判対象となった発言者の)実名を明かすことを要求して、岡本氏がそれを推測で述べるという一幕もありました。この批判が、「御用学者」のメディアからの退場へとつながり、研究者の言論状況を変化させる起爆剤となることを期待しています。
●3.小池市長の講演…イラク特措法や派兵反対の要望書を軸に、それにコメントをする形で話されました。これらの要望書が載っている加茂市のHPは非常に面白いので、一見をお勧めします。 http://www.city.kamo.niigata.jp/ 元防衛庁教育訓練局長の方だけあって 、通常の平和主義の論客とは違う語彙や論理・雰囲気でなされていたのが、とても印象的でした。入手しやすい著作がないので、少し詳しく報告します。
大義がないイラク派兵に対して自衛隊内部でも不満がたまっていることを述べられたのは、重要だったと思います。ここまではある程度想像していたのですが、「このようなことが続くと、政治家に対する不満が昂進し、civilian controlが崩壊して、事件が起こり、ファシズムになりかねない」という趣旨のことを話されたのは、私にとっても新鮮な指摘でした。また、「多くの人は自衛隊だけの問題だと思っているかもしれないが、イラク派兵の結果、自衛隊は募集難に苦しむことになる可能性が高く、その結果、徴兵制が布かれる危険が高くなる」と話されたのも、小池市長ならではの発言だと思います。議論では劣化ウラン弾問題が取り上げられ、小池市長は「自衛隊では全員がこの問題を心配している」と述べられました。
イラク派遣反対の要望書の末尾は名文句です。「敷島の大和心を人問はば イラク派兵はせじと答えよ。」私は、「和ー平和」の思想を重視しているので(『非戦の哲学』)、これには全く同感です!「国連中心の復興になった場合に、日本が自衛隊派遣をすべきかどうか」について会場から質問があり、天木氏が「協力すべき」とされたのに対し、小池市長はそれにも反対されました。非常に明快な議論で、「墨守、非攻(撃)」を主張している私にとっては、正にこの論理の体現者のようにすら感じた次第です。なお、ネット上で小池市長の主張が読めるものとして、http://www.kokuminrengo.net/2003/200308-kik.htm
●3.他のパネリストのスピーチ…板垣先生はいつにも増して雄弁で、とても迫力があり、パレスチナ問題における占領者ー被占領者という基本的事実の重要性を強調されて、世界の大きな構図を述べられました。岡本氏は、北朝鮮問題をめぐる条件を整理されて、米朝交渉(6者協議)しか道がないことを指摘されました。
私は包括的非戦声明に触れた後で天木氏の『さらば外務省!』を公共性の観点から解読してその意義を浮かび上がらせることに努めました。池田氏は、「外交を考えるために思い出すことば」として『やさしいことばで日本国憲法を』(池田訳、マガジンハウス)から引用され、平易な言葉で改めて日本国憲法の価値を訴えられました。私は公共哲学の観点からの学術的説明を試みたので、用語(「家産官僚制」など!)には少し難しいところもあったかと思いますが、池田氏はやわらかな言葉で堅さを見事に解きほぐして下さったと思います。
これらは、いずれも15分の小スピーチですが、その中で「反テロ」世界戦争における日本外交・政治の多様な問題点に焦点をあてることに成功していたのではないか、と愚考しています。
●4.また、元TBSの下村氏の手並み鮮やかな司会にも感謝したいと思います。上記の何点かや、イラク問題に対する日本の具体的な対応策・今後の「ロード・マップ」について、パネリストの間でも意見が分かれるなど、議論としての面白さもあっただろうと思います。 また、最後は、CHANCE pono2の小林一朗氏による挨拶で締めくくられました。天木氏の講演で「日本外交を再生させるためには政権交代が必要」と述べられたのを受け、このシンポでは様々な発言において、迫る総選挙が意識されていました。そこで、小林一朗氏は、「ただ政治家や官僚だけを責めるのは止めて、自分達の手で政治を変えよう」という趣旨の呼びかけをされ、選挙に行くことの意義を強調されました。これは、以下の「選挙に行こう」というキャンペーン(Go2センキョ・キャンペーン)と関連しているのだろうと思います。 http://www.go2senkyo.jp/
●5. 今回のシンポは、以前にも書きましたように、研究者が市民と当初から協力して企画した点で、公共哲学ネットワークにとっては市民・NPOとの連携を本格的なものに進めるという意義を持っています。実際に、研究者・市民・実務家・政治家などの視点が多彩な形で現れ、その意味でも興味深いシンポになったのではないかと思います。
例えば、元外交官の天木氏や元防衛庁の小池氏がシンポで中心的な役割を果たされることにより、通常の反戦シンポにはない新しい要素が現れたのではないか、と愚考しています。元外交官や元防衛庁の方がこのような発言をされるということは、“非武装中立主義などの平和主義を取っていなくとも、現在の「反テロ」世界戦争や日本政府の戦争支持がいかに理不尽か”を明らかにする意味があると思います。これは、理想主義的現実主義の観点からは極めて重要なことで、今後私が推進したいと考えている「平和への結集」にとって、その翼(ウイング)を広げる第1歩になるのではないか、と期待しています。 当然、それだけに、様々な箇所で意見が異なる点も存在します。しかし、そのような相違を乗り越えて、「研究者・市民・実務家」などの広範な連携による「平和への結集」へとこのシンポが繋がるように願っています。
小林正弥
公共哲学ネットワーク代表
public-philosophy@mbj.nifty.com
http://homepage2.nifty.com/public-philosophy/network.htm
http://global-peace-public-network.hp.infoseek.co.jp/