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(回答先: <衆院選>薬害エイズ問題で活動した川田悦子さん落選 投稿者 シジミ 日時 2003 年 11 月 10 日 04:41:59)
11月11日(火)
驚きました。いつの間にか、20万ヒットを超えていました。
確か、昨年の10月に15万ヒットを超えたと思います。約1年間で5万ヒット、1カ月で3800、1日で130ヒットというところですか。
ご訪問、ありがとうございます。これからも、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
すごい人がいるものです。アメリカUCLAのケント・ウォンさんです。約50人集まった講演会で、何も見ないで1時間半ほど報告し、その後の質疑応答もテキパキとこなしました。
集会では火の出るようなアジ演説をされるとのことですが、さもありなんと思わせるような鮮やかさです。通訳が入りますから、ずっと1人で話をされたわけではありませんが、たいしたものです。感心しました。
さて、お待ちかねの総選挙へのコメントを続けることにしましょう。今日は、野党の成績についてです。
今回の総選挙での野党各党の消長はどうだったでしょうか。野党では、文句なく民主党の一人勝ちです。
しかし、今回の選挙での真の勝利者は、ただ一党しかありません。それは公明党です。民主党ではありません。
民主党はマスコミなどでは「大躍進」と評価されており、確かに、改選議席137を40増やして177になりました。しかし、果たして、そんなに「躍進」したといえるのでしょうか。
民主党は、「政権交代」を実現するために票を集中するよう訴えました。マスコミも、「二大政党」化を後押しし、マニフェストを持ち上げ、「政権選択」が唯一の争点であるかのような報道を行って、民主党の援護射撃を行いました。その「成果」が、今回の結果だったと言えるでしょう。
このマスコミの大キャンペーンの後押しを受けて、民主党は共産党や社民党から議席を奪い、無党派票の半数以上を獲得しました。共産党が失った11議席と社民党から離れた12議席は、いずれも民主党のものになりました。
比例区でも、民主党は自民党を上回って第一党になりました。無党派層は、小選挙区と比例区で投票する相手を分けるなどという面倒なことはせず、両方とも民主党に入れたものと思われます。
こうして、共産・社民から23議席を奪ったとすれば、民主党が今回純粋に増やした議席は17議席にすぎません。これが自民党や保守新党から奪った議席です。
しかし、今回は自由党と合同してからの初めての選挙になります。「合併効果」で票を増やし、候補者調整や共倒れの防止などによって効率的に当選させることができたという面もあったでしょう。
その結果としての純増が17議席だというのでは少なすぎるのではないでしょうか。200議席を目標としていた民主党からしても、177議席という結果は不満の残るものでしょう。とても「躍進」だなどといって、手放しで喜べるものではないでしょう。
それでも増えたことは確かですが、問題はこれからです。この結果をどう評価するかが注目されます。政権交代が政策転換に結びつかず、自民党と代わり映えのしない政策を掲げたために、政権交代のインパクトが小さくなったからだというのが、一つの見方です。
私はそう思います。今回の民主党のマニフェストは多くの曖昧さや問題を含んでおり、せいぜいが「ためらいがちな支持」であったため、この程度の結果に終わったのだと思います。
しかし、逆に、もっと中道寄りにして、財界などからも安心して支持してもらえるようにしなければならないという総括もあり得ます。政治資金をエサに、支持できるような政策に変えていこうとする日本経団連の誘いに、民主党も乗ってしまう可能性があるからです。
そもそも現在の民主党は、旧自民党出身者と旧社会党出身者という大きな二つの流れを受け継いでいます。自由党との合流によって安保・防衛問題でのタカ派も流れ込みました。
その結果、防衛問題でいえばタカ派とハト派、経済問題でいえば急進的自由主義路線と社会民主主義的「第3の道」路線とが混在するようになっています。アメリカのブッシュ大統領とイギリスのブレア首相が一つの政党にまとまっているようなものです。
選挙前だということもあって、このような路線上の違いは不問に付され、その分、マニフェストの内容は当たり障りのないものになりました。このアンビバレントな状況は、今後の民主党にとって大きな問題になる可能性があり、そのどちらの方向を選択するかは、今回の選挙結果の総括と密接に関わることになるでしょう。
民主党は、以上に述べたどちらの方向で今回の結果を総括するのでしょうか。民主党の今後が注目されます。
次に共産党と社民党です。この両党は、マスコミの「政権選択」大キャンペーンによってはじき飛ばされてしまいました。
共産党は革新無党派の票のほとんどを失い、前回参院選と同じくらいの票しか獲得できませんでした。ほとんど“裸”になってしまったような状況です。
北朝鮮の労働党との関係や辻元問題で逆風の直撃を受けた社民党は、さらに大きく落ち込み、従来の支持層の一部をも失いました。“裸”どころか、“骨”になってしまったと言うべきでしょうか。
「政権選択」論を背景とした「戦術的投票」論は、小選挙区だけでなく、比例区での無党派などからの投票も抑制した可能性があります。「政権交代のために民主党を増やす」というのであれば、なにも小選挙区だけに限らず、比例区であってもよいわけですから。
それに、小選挙区制の本来的機能の問題もあります。小選挙区制が小政党を排除し、次第に力を弱めていくことは制度の導入以前からわかっていました。このような効果があるから、小選挙区制が導入されたとさえ言えるほどです。
この点については、私も拙著『一目でわかる小選挙区比例代表並立制』(労働旬報社、1993年)で、次のように指摘しました。
小選挙区制を採用すると、各選挙区ではそれぞれ比較第一党しか当選できません。常に当選を争うことの出来る政党の数には限りがありますが、小選挙区制の場合には、それがさらに限られてしまうという問題があります。
常に当選を争うことのできる大政党のグループと、ほとんど当選を争うことのできない小政党のグループができた場合、後者の政党は次第に力を弱めていくことになります。自分の投票を有効に生かそうと考える選挙民の多くは、当選の見込めない候補者よりも、多少問題はあっても、当選が見込める候補者に投票する可能性が高いからです。
こうして、何回かの選挙が繰り返されれば、一議席を争うことのできる二つの大きな政党とその他の政党との得票差はどんどん開いていくことになります。やがて中小政党は候補者を立てることさえあきらめてしまうでしょう。……
そもそも、「二大政党になりやすい」ことが小選挙区制の「優れた特性」の一つにあげられているのは、このような小政党の排除を前提にしているからです。小政党が当選しにくく、そのために有権者がやむを得ず次善の選択を行わなければならないような状況を作り出した上で、有権者の投票行動を当選を争うことのできる二つの政党に押し込んでいくわけです。これがどうして「優れた特性」なのでしょうか。
有権者の選択の幅を小さくしてむりやり二大政党を作り出すようなやり方は、決してフェアだとはいえません。(同書、69〜70頁)
今回の選挙で生じたのは、まさに「小政党が当選しにくく、そのために有権者がやむを得ず次善の選択を行わなければならないような状況を作り出した上で、有権者の投票行動を当選を争うことのできる二つの政党に押し込んでいく」ことでした。「戦術的投票」の勧めは、まさにそのようなものだったと言えるでしょう。こうして、やむを得ず、「次善の選択」を行った方も多かったと思います。
したがって、私から見れば、すべては予想したとおりに推移していることになります。「それ見たことか」と言いたいところですが、そんなことを言ってみてもしょうがありません。
問題は、小選挙区制がこのような制度上の「特性」を抱えていることがわかっているのに、それに対して何の工夫もなされていなかったというところにあります。これについては、すでに総選挙の前に、日本共産党綱領改定案への論評という形で、次のように私見を述べたことがあります。
……選挙制度がすぐに変わる、つまり小選挙区制がなくなる展望は、今のところほとんどありません。また、共産党が単独で小選挙区において議席を争い、多くの選挙区で当選するということも、近い将来の可能性としては、それほど大きくはないでしょう。
それではどうするのでしょうか。小選挙区を諦めて、比例代表区だけで議席を獲得するのでしょうか。
これでは、小選挙区制を導入して共産党など小政党を閉め出そうと考えていた自民党などの思い通りになってしまいます。それで良いのでしょうか。
多分、ここから先の議論は綱領改定案との関連は薄くなるでしょうが、この機会ですから書かせていただこうと思います。
それはたった一つのことです。共産党は、小選挙区でも議席をねらえるような工夫をするべきだということです。自民党などの与党勢力でもない、これとほとんど変わらずすぐに妥協してしまう民主党などでもない、第三の極を作るべきだということです。
そうすることによって、政治変革を願う人々の受け皿を提供するべきでしょう。具体的には、政策の近い社民党や新社会党などとの協力・共同に取り組むべきです。当然、これには政治が変わることを望む無党派の人々も含まれます。
共産党・社民党・新社会党などが合同して新党を作るという方向もあるでしょう。一挙にそこまで行くのが難しければ、選挙団体を作るということもあり得ます。
これらの政党で「明るい日本をつくる会」のようなものを作り、そこを母体に各種選挙で候補者を擁立するということも考えられるでしょう。それが可能であれば、革新懇など既存の組織を母体にしても良いと思います。
要は、いくつかの政党が一緒になって1人の候補者を推すということです。従来からの私の主張である「大左翼」の今日版であり、日本版「オリーブの木」だと言っても良いでしょう。
小選挙区で議席を争うことを諦めたら、自民党などの思うつぼです。第三極を作って候補者を立て、小選挙区で当選するかもしれないという希望を生み出すことが肝心です。
このような萌芽は、すでに各種の首長選挙で生まれてきています。この経験を、議員選挙にも応用するべきではないでしょうか。
「身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ」。共産党には、捨て身の覚悟で新しい境地を開いてもらいたいものです。
これが、そのときに書いた私の意見です。どう工夫するか。やり方はどうでも良いのです。
小選挙区でも議席を争えるという可能性や希望を持たせるためにどうするか。その点が重要でしょう。その必要性は、これを書いたとき以上に高まっているように思われますので、今後の方向性としても、同様の提言をしたいと思います。
少なくとも、今回の選挙でも、川田悦子さんが立候補した東京21区に共産党の独自候補を立てるというようなことはするべきではなかったでしょう。これは今回の総選挙に対する姿勢を示すものであり、東京21区だけでなく全国的な意味があったと思います。まあ、今さらこんなことを書いても手遅れですが……。
社民党も、このままではジリ貧です。共産党と社民党という「戦後民主主義」を担ってきた二つの平和・護憲政党が枕を並べて“討ち死に”というのでは、日本の将来は一体どうなるのでしょうか。
小選挙区制の壁をどううち破るのか。「これなら何とかなる」と思わせるような起死回生の刷新策を、共産党・社民党ともに協力して、是非、打ち出していただきたいものです。
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm