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(回答先: 諫早湾開門――見送りは官僚の独善だ(朝日新聞・社説) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 28 日 15:51:24)
http://www.kumanichi.co.jp/iken/iken.html
諫早湾干拓事業の潮受け堤防を開放した調査の是非について審議していた農水省の「中・長期開門調査検討会議」は「開門調査で、事業が有明海へ与える影響を把握することは困難」とする否定的な最終報告をまとめ、農水省に提出した。
これを受け、同省は来年以降、調査を実施するかどうか判断するが、中・長期調査は、行われない可能性が濃厚となった。
会議の委員は七人全員が官庁OB(うち五氏は農水省出身)だ。国の進める事業を官庁出身者が、果たして公正に評価できるのか、設置当初から疑問の声は強かった。報告内容を見ると「やはり」という印象をぬぐえない。
報告書は、下部組織である専門委員会が先にまとめた両論併記の報告を踏まえてまとめられた。
検討会議は潮位・潮流、水質・干潟、貧酸素水塊、底質・底生生物、赤潮・プランクトン、漁業生産の六項目について、昨年四月に実施した短期開門調査のデータなどを基に論点を整理している。
その結果、「地形条件などが潮受け堤防建設前と異なり、実測データが潮受け堤防の有明海への影響を示すものとはならない」(潮位・潮流の項)と述べるなど、全ての項目で否定的なトーンとなっている。
だが、そうした論法でいけば工事をどんどん進めて環境が変わってしまえば、後から何も問えないことになりはしないか。
昨年の短期調査では、調整池の浄化機能がある程度回復するなどの変化が見られた。報告書は調査によって期待されるそんな成果には触れていない。
一方で報告書は、開門による有明海の環境悪化を懸念する漁業関係者や、長年洪水に悩まされてきた地元住民への配慮や説明責任を求めている。一見、公平なようだが、調査の障害となる材料をことさら集めたようにも映る。
ノリ不作を受けて、同省が二〇〇一年二月に設置した「ノリ不作等調査検討委員会」(第三者委)は、異変の原因究明のため、短期、中期、長期の開門調査が必要と提言した。
農水省は短期調査は実施したものの、中・長期の調査については、今年三月に設置した同会議で実施の是非を検討するとしていた。中・長期の開門調査を行うとなると半年から数年間が必要になる。二〇〇六年度の工事完成を目指す同省としては、何としても回避したいのかもしれない。調査を一時棚上げにしながら工事だけは着々と進められた。
先の検討会議で同省は、常時全開した場合、堤防補強や環境対策などのために約六百三十億円の費用がかかるとの試算を示した。最終報告書の策定段階でのこうしたデータ公表は唐突で、まるで国が「調査すべきでない」と誘導しているようだ。
有明海の異変をめぐっては、さまざまな説が出されており、特定はされていない。重要なのは異変の原因究明だ。調査はその手掛かりを得るためのものである。有明海では赤潮が続発し、タイラギなどの漁獲減少が続いている。多くの研究者は調査の必要性を訴えている。国の事業が異変を引き起こしたのではとの疑念を残したままでいいはずがない。国にはあらためて、第三者委の提言通り、中・長期開門調査の実施を求めたい。