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http://www.asahi.com/national/update/1213/024.html
諌早湾干拓(長崎県諌早市)潮受け堤防の開門調査について議論する農水省の中・長期開門調査検討会議の専門委員会は13日、「干拓事業が有明海に引き起こしたとされる異変を開門調査によって検討することは、技術的に困難」などとする報告書をまとめた。この報告を受け、検討会議は年内にも調査の是非を農水省に提言するが、中・長期の開門調査の実施は見送りとなる公算が大きくなった。
専門委は開門調査を実施できるか、技術的に検討するために設置され、7月から8回の会合を開いてきた。
報告書は(1)潮位・潮流(2)水質・干潟(3)貧酸素水塊(4)底質・底生生物(5)赤潮・プランクトン(6)漁業生産――の6項目について、開門調査の有効性を検討している。
(1)〜(3)に関しては、長期間の開門で海水を導入しても、地形や気象などの条件が異なるため、閉め切り前と同一の環境の調査にはならないとした。(4)〜(6)も、純粋に海水導入による影響だけを調査結果から導き出すのは困難との意見がある、と結論づけた。
報告書にはノリ漁民らの意向を背にした福岡、佐賀両県の委員の主張に配慮して「漁業者の懸念を払拭(ふっしょく)するため、長期間大きく開門して有明海の状況を見るべきだ」などの意見が付記されているが、全体として開門調査に否定的な結論になった。
13日の専門委閉会後、福岡市内で記者会見した塚原博委員長(九州大名誉教授)は「議論をまとめようとしたが、意見の隔たりが大きく、両論併記の形になった」と述べた。
ノリ不作といった有明海の異変と、干拓事業の関連をめぐっては、01年12月、農水省の「第三者委員会」が、短、中、長期の開門調査の実施を提言。02年春に短期開門調査が行われたが、中・長期の開門調査に関する議論は、第三者委員会を引き継いで発足した検討会議に委ねられた。
農水省は来春までに開門調査の是非を判断する見通し。第三者委員会の提言を覆す形で、中・長期の開門調査が見送りとなれば、沿岸のノリ漁民らの反発が強まるのは必至だ。 (12/13 22:10)