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(回答先: 「世界」と「日本」と「地元の人々」にとってのタイガ【シベリア・タイガの森(5) FoE Japan】 投稿者 エイドリアン 日時 2003 年 12 月 13 日 09:22:28)
■ 永久凍土上にあるタイガの破壊は、地球温暖化の進行につながる
タイガの中でも、とくに高緯度地方にあるタイガは"永久凍土"(Permafrost)と呼ばれる凍った土壌の上に生育している。永久凍土は、強力な温室効果ガスとして働くメタンガスを閉じ込めており、「地球温暖化爆弾」などと言われているが、永久凍土上の森林が破壊されると直射日光が永久凍土を溶かし、大気中に大量のメタンガスが放出され、地球温暖化を進行させる要因となる。
永久凍土と森林の関係、永久凍土が地域の、また地球の環境に果たしている役割―については未だに解明されていないことが多いのですが、次ページの囲みにもありますように永久凍土の融解が地球規模での気候変動を加速していくサイクルが回りだす可能性も大きく、凍土の保全に国際的な監視の目を向けていく必要があります。
以上、4つの視点から、タイガの重要性を概観しました。
最後に、かなり学術的な表現が多いですが、1993年に出版された『ソ連の森林資源』という本に旧ソ連/ロシアの森林の重要性が述べられていますので、参考までに紹介しておきます。
「ソ連の森林の世界的意義は大きい。その意義は幾つかの一連の要素によって規定される。何よりもそれはユーラシア大陸の生物界の創出と維持に対して果たす、ソ連の森林の地球的規模の役割によって性格づけられる。ユーラシア大陸では本質的に、自然の変遷の安定を保証するほどの、それだけのスケールをもった他の自然の形成体はない。様々な自然環境における自然の変遷に対する影響という点で、ソ連の森林に類似するものは全世界のいかなる国にも存在しない。森林は、ソ連の全領域において自然の変遷を和らげ、生物界の全面的な自然の推移に対して緩衝的効果を与える。自然の変遷に対するソ連の森林の安定的効果は、ソ連の領域はもちろんその外部に対しても機能する。
ソ連の森林面積は地球の総森林面積のほぼ20%に当たる。(略)ソ連を除けば、世界で最も森林資源に富んでいる国は、カナダとアメリカ合衆国である。しかし両者を合わせても、その森林面積はソ連のそれよりも小さい。」
http://www.foejapan.org/siberia/taiga/14.html
■ ロシアの森林=世界の炭素量の7分の1
ロシアの森林=世界の炭素量の7分の1
広大なロシア極東地域の森林は二酸化炭素の貯蔵庫の役割を果たしています。ロシアの広大な森林の“炭素シンク”は、全世界の炭素量のおよそ6分の1〜7分の1が蓄積されているとされています。まさに炭素の「貯蔵庫」ですね。
ということは、乱暴な話ですが、この森林が全部なくなったとしたら、地球上の二酸化炭素は1,689億トンも増える、ということになります(IPCC第二次評価報告書より)。ちなみに日本の年間の二酸化炭素排出量は約3億トン。フローとストックの値を比較するわけにいきませんが、いかにこの数字が大きなものかということはおわかりでしょう。
http://www.foejapan.org/siberia/taiga/15.html
■ 森林は永久凍土の守り手→ 加速したらとまらない?永久凍土溶解と温暖化の悪循環
「もしもシベリアに永久凍土が存在しなければ、そこは広大な砂漠となっているはずです」
日本における凍土研究の大家、北海道大学の福田正巳教授はこう強調しました。
なぜシベリアに、密度の高い植生が存在しうるのか。それは永久凍土の分布と関係があります。タイガの下に数百メートルもの厚さで形成されている永久凍土が夏、表層部分が溶け出し、タイガに水分を供給するのです。
永久凍土は、約2万年の寒冷期に形成されましたが、その後、寒冷期が終わってもなくなってしまわなかったのは、地表の森林が断熱材の働きをしたからです。
タイガと永久凍土・・・・この両者は相互に依存しあう共生関係です。
そこでもし、森林が伐採されたり、火災でなくなってしまったらどうなるでしょうか。下の図のように、永久凍土は失われ、二度と回復することはありません。永久凍土に蓄積されていた有機物は分解され、大量のメタンが発生します。このメタンは二酸化炭素の20倍もの温暖化作用があるため、地球温暖化が加速されます。そして永久凍土がまた溶け出す・・・・というような悪循環が引き起こされる恐れがあります。
「永久凍土がなくなるとどうなるか」。この疑問に大しては正確な答えは現段階ではわかっていません。しかし、地球環境の変動、砂漠化、土地荒廃、森林の減衰などが互いに影響しあい「何かとてつもないことが起こる」という可能性は充分あるのです。
http://www.foejapan.org/siberia/taiga/16.html
→極東シベリアとは【シベリア・タイガの森(1) FoE Japan】へ