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http://www.kumanichi.co.jp/kawabegawa/kiji/20031013.1.html
衆院が解散し、一気に選挙ムードが高まってきた。注目のマニフェスト(政権公約)で民主党は「川辺川ダムの即時中止」を重点項目に掲げた。利水事業(国営土地改良事業)の見直しなどに伴い、ダム事業の行方が不透明になるなか、総選挙の争点の一つに浮上し、県内関係者の表情はさまざまだ。
「菅直人代表には二度ほど会い、ダムを受け入れた村民の苦しみを伝えたつもりだったんだが…」。球磨郡五木村の西村久徳村長の表情はさえない。
同ダムとともに「税金の無駄遣い」と断じられた長崎県の諫早湾干拓、徳島県の吉野川可動堰。いずれも、菅代表が何度も現地に足を運んだ場所だ。同党の政策調査会は「代表の強い意向で重点項目になった」と説明する。
同党は、ダム事業を即時中止し、森林整備による「緑のダム」で代替するなどとしている。マニフェストに明記されたことで、川辺川ダム問題は、県内だけでなく、全国の有権者にとっても政権選択への判断基準にクローズアップされることになった。
西村村長は「マニフェストに細かく書けないのだろうが、少しは村の将来を考えてほしかった」と嘆く。
「水の手当てを急いでほしい」「負担金は安くならないのか」。衆院解散前日の九日夜、球磨郡錦町と山江村であった利水事業見直しに向けた集落座談会。参加した農家からは、さまざまな意見が出た。
利水訴訟での国敗訴により、利水事業は事実上スタート地点に戻り、新たな計画を策定中。ダムから農業用水を引くか、引かないか。結論が出るのは来年十一月の予定だ。
ダムによる治水、環境問題をテーマにこれまで八回、住民討論集会も開かれてきた。ダムが妥当な選択肢かどうかを検証するのが狙いだが、国土交通省とダムに反対する市民団体の主張は対立したまま。ダム事業は、こう着状態が続いている。
「利水や治水をどうするか検証している最中に、無駄と決めつけられても…。緑のダムにしても、有効性の議論が必要だろう。地元の実情を踏まえてほしい」。県でダム問題を統括する鎌倉孝幸理事は困惑する。
九州地方整備局の川崎正彦河川部長は「(マニフェストについては)何も言えない。治水対策の重要性は変わらない」と静観する。
一方、ダムに反対する市民団体「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表は「明確に中止を打ち出し、国民の選択肢として明示されたのは高く評価する」と歓迎する。
その上で、「ダムを止めると、経済効果の波及や地域振興を阻むという意見もある。中止した後、何をやるのか。具体的な提案がほしい」と注文する。(報道部・田口貴一朗)