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(回答先: 養老猛 書評 「史上最悪のインフルエンザ」A・W・クロスビー著【毎日新聞】 危機があらわにする人間の不変性 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 2 月 06 日 01:58:41)
上のスレッド、養老猛の書評の続きです。
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危機管理が近年論じられる。さまざまな議論より、まずこの本をていねいに読んでみたらどうか。そう提案したい。感染症の研究は当時と比較にならないほどに進み、情報の流通もよくなった。しかし、「危機」における人間の行動は本質的に変化しない。それはあたりまえで、千年単位では人の性質は変化しないからである。
評者自身は危機を『管理できない状況」と定義する。だから『危機管理』などという矛盾した言葉は使わない。それなら『危機管理」の本質とは何か。人間の理解であろう。インフルエンザウイルスの研究も大事だが、ウイルスが問題となるのは、人に影響するからである。いくらウイルスを理解しても、根本的には「危機管理」にはならない。問題は人間の行動だからである。
インフルエンザ病原体に関する当時の医学研究についても、本書はその詳細に触れる。これも大変興味深い。どの研究のどこに難点があり、どのような結果が今に生きているか、ほぼ一世紀の時間が経過すると、かなり明確な判断が可能になる。現在の研究者にとっても、こうした歴史は直接の参考になろう。
それにしてもこの流行病が従来あまり重視されていないのはなぜか。ひとつは同時に進行した世界大戦である。その陰に隠れた。しかし米国の場合、戦死者とインフルエンザによる死亡者は、軍の中では同程度なのである。もうひとつは、あんがい死亡率が高くないこと、病気の痕跡が個体に残らないことである。しかし死亡率が低くても、感染者が多ければ、死亡者数は多い。
そこに見えてくるのは、やはり「人間というもの」であろう。社会を客観的に見ることは自分を見ることと同じで、人間にはなかなかの難事なのである。
(完)
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以上、遅くなり申し訳ありませんでした。
いやはあ、第一次大戦の米兵の死者の半数がインフルエンザやなんてびっくり!敵と戦わずして死ぬなんて・・・・・
ビルマなどの南方戦線で、戦わずしてマラリヤなどで大半が犬死(もとい、お亡くなりになった)した日本兵を思い出してしまいます。