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(回答先: 医師名義貸し 全国の6割51大学 院生中心に1161人 文科省調査(西日本新聞) −北海道、東北だけではなかった。 投稿者 シジミ 日時 2004 年 1 月 23 日 05:59:57)
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200401/24-2.html
大学に在籍する医師が地元病院に勤務していないのに、しているように装う「名義貸し」が全国で横行していることが文部科学省の実態調査で確認された。医学部がある全国の国公私立79大学のうち51大学、延べ1161人が名義を貸していた。名義貸しはかなり前から慣習となってきた。ここまで放置したのは行政の怠慢といわざるを得ない。
文科省の調査は実態を正確につかんではいない。調査が自己申告であること、さらには名義を借りていた病院名や具体的な報酬額、勤務実態などは調査項目に入っていない。「名義貸しを根絶する防止対策を徹底する」(同省)と言うからには、詳細な再調査が不可欠だ。中途半端な調査でお茶を濁すようだと、根本的な解決への道筋は見えてこない。
名義貸し問題の根は相当に深い。借りる地元病院、貸した大学病院はそれぞれに問題を抱えており、双方のもたれ合い関係が背景にあるからだ。全国の医療機関の四つに一つは医療法で定めた患者数に応じた標準医師数を満たしていない。北海道や東北などでは半数の病院で医師が不足している。定員の6割を切ると、診療報酬が減額される。このため、病院では経営を維持するために、大学病院に名義貸しをしてもらうことが常態化している。
一方、大学病院には無報酬や低賃金で診療を行う若い研修医が数多くいる。医局の仲介などで名義貸しを行い、収入を得ているのが実情だ。構造的な名義貸し体質が現在の医療システムの中に組み込まれているところに問題がある。
名義貸しのまん延は国民の医師や医療制度への不信に拍車をかけるものだ。文科省の調査を受けて、国は当面の処理を急ぐ一方で、将来を見据えた取り組みを早急に作り上げる必要がある。
当面の対策としては、厚生労働省、各都道府県が文科省と調整して、まず第一に病院名を特定し、名義貸しの実態を明らかにすることだ。不正に診療報酬を請求していた場合には法律を厳格に適用し、その返還を命じ、保険医指定の取り消し処分を行うべきである。さらに、返還に応じない場合や悪質な診療報酬の不正請求のケースでは詐欺容疑で刑事告発するなど、厳しい姿勢を貫くべきだ。あいまいな処分で済ませようとすれば、名義貸しの根絶はできない。
医師不足や医師定員の見直しには今後の大きな課題だ。少し時間をかけても、総合的な対策を立てるべきだ。日本の人口に占める医師数は先進国並みだが、都市集中による偏在の解消が緊急の問題だ。昨年11月から、厚労、文科、総務省が連絡会議を作り、患者数に応じた医師定員について全国一律がいいのか否かなどについて検討を始めている。名義貸しの実態を踏まえ、早急に対応すべきだ。
大学の医局制度については、これまでも問題点が指摘されてきた。今回の調査で、改革の遅れが改めて問われている。名義貸しの廃止を、医局制度見直しの新たな出発点とすべきである。
(毎日新聞 01-23-23:39)