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(回答先: 米景気絶好調下のドル安【斎藤 満 】 投稿者 荷電粒子 日時 2004 年 1 月 02 日 02:10:53)
先のOPEC総会では、減産決議こそなされなかったものの、ドル下落による実質的な手取り収入減少をかなり意識し始めたことは間違いなさそうだ。ドルの下落は、それだけ原油価格に上昇圧力をかける。実際、WTIはまた32ドル台にまで戻している。
かつて2度の石油ショックを経験しているが、当時、OPECが値上げに出た背景として、「OPECの3方程式」というものが示された。これは、原油価格を決める要素として、3つのことが意識されていることを世に示した。3つとは、つまり「世界インフレ」、「世界成長率」、そして「ドル価値」だ。
具体的に言えば、世界のインフレ率が高まれば、原油価格を引き上げないと、相対価格が低下してしまう。世界景気が高まり、石油に対する需要が高まれば、これも価格を引き上げる要素になる。そして最後に、石油の輸出収入をドルで得ているだけに、ドルの価値が減価すれば、手取り収入が減ったことになり、価格引き上げてその分をカバーしなければならない。73年の石油ショックでは、これら3つの方程式が、石油価格の引き上げを求める形となった。
今日の状況は、世界インフレこそ回避されているが、世界景気が米国主導で回復下にあり、そしてドルが大幅な下げを見せている。OPECは、石油のバスケット価格を22-28ドルのレンジで管理しようとしている。このところは、この上限価格を上回り気味で、本来であれば増産して、価格の安定を図るところだが、あえて放置している。そこにはドル安による実質価格の低下を補填する意図が見られる。
金も同様だ。2年前には200ドル台にあった金価格は、既に400ドルを大きく超えている。金は商品としての性格のほかに、通貨としての機能がある。そして、ペーパー・マネーの価値が揺らいだときに、「絶対的価値を備えた通貨」としての金に、資金が逃避する。ペーパー・マネーの価値が揺らぐケースとは、戦争、内乱によって、ペーパー・マネーが否定されるような場合、インフレで紙幣の価値が減価する場合、それに、ペーパー・マネーの代表であるドルの価値が下落する場合だ。
今日では、中東の戦乱が続き、しかもドルが大きく下落し、これらがペーパー・マネーの信認を揺るがしている。更に、このところの原油高、金高には、米国がキー・カレンシーたるドルの信認を確保したいがために、世界の石油資源や金の支配力を高めようとの動きも指摘される。その一つが、石油・ドル本位制、の考え方だ。それ以前にも、米国はグリーンバック(ドル)の信認を得るために、金の裏づけや、コモディティ・バスケットによるドル・サポート案も検討していたことがある。
日本では、2005年春からのペイ・オフ実施が、預金から金への需要シフトをもたらしている面がある。これは、円という通貨への不安というより、制度的に1千万円以上の預金が保護されなくなることへの備えという面が強い。石油や金価格の上昇は、基軸通貨ドルや擬似通貨の信認に黄色信号がともったことを示唆している。
[2003.12.10]
http://www.tbs.co.jp/newsi_sp/keizai/031210.html