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増田俊男の時事直言!
223号 (2003年12月3日号)
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小泉構造改革、いよいよ仕上げ
日本政府が日債銀を国有化し、たったの10億円(瑕疵担保条件付=2年間赤字を税金で補填する)でハゲタカファンド、リップルウッドに売り渡したことは「日本の恥」として国民の怒りを買った。
私は衆院選前から、小泉構造改革の骨子と法的措置が克明に説明されている小泉・ブッシュ合意書「日米投資イニシアティブ・2003」(以後イニシアティブという)を克明に解説することによって「小泉構造改革とは何か」を明確にしてきた。アメリカがイニシアティブでもっとも重視したのが、対日M&A方式「三角合併」であった。三角合併とは、日本の企業(銀行)をアメリカのファンドが買収しようとするとき、買収主となるアメリカのファンドの日本支社に、本社が買収必要額の株式を発行して渡し、日本支社はこの株式と買収対象日本企業の同額の株式と交換することにより買収する方式である。
1999年の商法改正で日本企業同士の株式交換は認められたが、外国企業と日本企業との交換は禁止されていた。何故禁止したかというと、たとえば相手がアメリカの場合、NYダウは1万ドル、ニッケイ平均は1万円であるとすれば、アメリカ株1株で日本株100株と交換されるので、日本企業が不当なM&Aにさらされる恐れがあったからである。日本企業は不当なM&Aから法のもとに保護されていたのである。それでも万一の海外からの敵対的買収(TOB)に備えて、日本企業同士株式を持合いすることにより互いに防御してきた。
小泉政権の金融監督庁(竹中大臣)は日本企業に対して持ち合い解消を半ば強制的に徹底した為、現在アメリカからのTOBに対抗できる企業は皆無に等しい状況になってしまった。そこで、小泉内閣は追い討ちを掛けるように、本年6月9日、三角合併を可能にする内容を盛り込んだ「改正産業活力再生特別措置法」を交付、実施したのである。アメリカにしてみれば、TOBは勿論のこと、輪転機で株券を刷って日本に持ってくれば好きな会社が買えることになった。アメリカのファンドがいの一番に狙ってくるのが日本の銀行である。次に目をつけているのが350兆円を有する郵貯・簡易保険。アメリカのファンドがいくら株券を刷っても郵政省(郵貯・簡易保険)は買収できない。ところが今や小泉首相は郵政民営化を最優先にしているから、350兆円がハゲタカ・ファンドの餌食になるのも時間の問題である。
「日本の国民の命である預貯金800兆円を、輪転機で勝手に刷った紙切れと交換で譲り渡せば日本の産業が再生される」という竹中教の教祖様に日本経済を丸投げした小泉首相の罪は重い。イニシアティブには、日米両国が歓迎すべき事例として前述のリップルウッドの買収例が掲げられているのだから、小泉構造改革とは何か、推して知るべしである。
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拉致されるのは邦銀である
アメリカが小泉首相に要求しているのは、企業買収については複雑な債権者を産業再生機構一本にまとめ、銀行については国有化することによってM&Aを容易にすることである。さらに足利銀行に見られるように、株主の株券を紙くずにして、不良債権を日本国民の血税で解消して「いいとこ取り」を可能にすることである。日本産業活性化の名のもとに日本経済の『心臓』(銀行)や優良企業を次々にアメリカに売り渡して行く。
足利銀行に対して商法で認められている「税効果」を否定して債務超過に追い込んだ中央青山監査法人の残酷物語は竹中大臣の意向に従ったもの。今正に日本の銀行がアメリカから拉致されようとしている。その水先案内人がわれわれ国民の代表とは!足利銀行の経営者の方々にお悔やみを申し上げたい。
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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)
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