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Re: 米の11%は飢餓世帯 米農務省まとめ [産経新聞] 【明日は我が身・・・】
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投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 05 日 07:56:43:dfhdU2/i2Qkk2

(回答先: 米の11%は飢餓世帯 米農務省まとめ [産経新聞] 【明日は我が身・・・】 投稿者 なるほど 日時 2003 年 11 月 02 日 23:04:43)

題名:No.603 平等な国家づくりを

From : ビル・トッテン
Subject : 平等な国家づくりを
Number : OW603
Date : 2003年11月21日
 ジニ係数という言葉がある。一言でいうと社会の分配の不平等性を表す指標で、例えば複数国の富の分配状況を把握するために所得分布を比較しても、どの国が平等性が高いかなかなか正確にはわからない。そのような場合にジニ係数によって0から1の間をとる数値で指標を表すと、値が高いほど不平等の度合いが高く、また0に近いほど平等な社会であることがわかるという。

(ビル・トッテン)

平等な国家づくりを

 日本の所得におけるジニ係数をみると1960年代から70年代まではほぼ横ばいであったが、80年代から上昇している。つまり日本は80年代半ば以降、所得において不平等化が始まった。これは当初の所得でみた場合だが、真の国民生活の平等さを示すには所得から税金を引き、さらに社会保障などで再分配されたあとの「再分配所得」でみるべきだと私は思う。なぜなら先進国中、税引き前所得を比べた場合にもっとも平等な国はアメリカであり、税や社会保険料を控除し社会保障給付を加えた再分配所得となると不平等のトップにくるのがアメリカだからである。

 これが何を意味するかというと、社会における経済面での平等性を決める大きな要因となるのは技術革新やグローバリゼーションだけでなく、政府の政策によるということだ。アメリカが当初所得で最も平等であるにもかかわらず、再分配でもっとも不平等にランクされるのはアメリカ政府の政策が原因なのだ。

 この点において昭和時代の日本は平等な社会を作る仕組みを提供していた。当時は公然と金持ちを減税したり、大企業の福祉を増やすような政策がとられることはなかった。高い累進課税率によって大きな貧富の差がでないよう配慮され、国がさまざまなインフラ整備を行い最大多数の国民の生活を向上させる再配分が行われていた。昭和の時代の日本は社会主義だったとよく言われるが、そのとおりである。政府が税金を集めそれを国民に分配し、個よりも全体の利益を優先して特定の産業を保護したり国営事業をおこない、それによって国民の多くが自分を中流階級とみなした。

 しかし今、政府が社会主義的な政策をとることはあってはならない、構造改革を行うことでアメリカのような真の資本主義社会へ転換しなければならないということがメディアによって宣伝されている。その結果貧富の差が大きくなろうとも、アメリカと同じように資本主義の原則に基づく社会に変えようという考え方が広まるようになってしまった。

 企業倒産や失業率の増加、正社員からパートや派遣社員への変化が加速する日本では、今後ますます所得格差が広がることは目に見えている。そして政府が富裕者層への減税と大幅な消費税の増税という道を取りつづければ、日本の再分配所得がアメリカ並、つまり一握りの金持ちとその他大勢の低所得者の国になることは火を見るよりも明らかである。

 政府の大切な役割の一つは、国民の経済的な平等化をはかる政策をとること、つまり貧富の格差を最小にすることだと思う。経済的な不平等は、物質的なインセンティブを与えることで人々の労働に対する動機付けとなるから必要だという主張は、利己的ないいわけにすぎないと私は考える。これまでにも何度も取り上げてきた企業経営者の巨額報酬がその例にあるように、平等な社会を実現するためには利己主義は大きな障害となる。そして昭和の時代に日本が社会主義的な政策をとることができたのも、国民や国のリーダーが利他的であることの大切さを理解していたからではないかと思うのだ。

 今日本に必要なのは再配分所得がより平等になるよう、例えば富裕者層への増税と低所得者層への減税を是とする意識作りを政治家が行うことである。世論調査にあわせた政策を行うだけでは何も変わらない。世論をあるべき正しい方向へと動かすこと、つまりより平等な国家を作る障害となる私利私欲をなくす努力が必要なのだ。

 ほとんどの政治家は、その選挙スローガンとは裏腹に国を良くするためではなく当選するために時間とエネルギーを費やし、当選するために世論に迎合している。私の尊敬する論客エマニュエル・ウォーラースティンも、19世紀半ば以降の左派政治活動を分析して、世論を変えようとする政治家は選挙に負け、世論に迎合する政治家が当選していると書いている。

 政治家に希望が持てなければ財界のリーダーに期待したい。日本にもかつて国を考える松下幸之助や出光佐三といった経営者がいたからだ。落選を恐れることがなかった彼らは自分たちの思想を公表し、それが国民に大きな影響を及ぼした。今、世論を変えるために落選も迫害もおそれずに戦っている人が、悲惨な地位に置かれ何も失うものがないとして自爆テロに走るテロリストだけだとしたら、社会の未来は暗いとしかいいようがない。

http://www.ashisuto.co.jp/corporate/rinen/totten/ow.php

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