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★ 亀井さんの「国家意識」観を支持します。ただし、小泉政権では実現されそうもありませんが。
http://www.nb-j.co.jp/katteren/ronbun/kamei1.htm
前自民党政調会長・衆議院議員●かめい・しずか 亀井静香
この国難にあたり、私は総裁選時、「革命的大改革」を唱え、制度面だけではなく、精神面も含めて明治維新、敗戦直後に匹敵する抜本的な大改革を断行しなければならないと主張してきた。精神のルネッサンスを経ない限り、真の意味での日本の再生はもとより、存続さえあり得ないからである。
日本人としての民族性、国家性の喪失は、即国家の存亡の危機につながりかねない。国家とは、そもそもある共通の文化や伝統、価値観、運命共同体の意識を持つ人々の集まりである。このアイデンティティがなければ、国家そのものが成立しない。
ところが、国家の枠組みさえ認めない日本人が増えている。しかも、驚くべきことに国益に反する行為が正しいと思い込んでいる人間が行政を司る役人たちの中にも少なからずいる。
政調会長時代、緊急経済対策を策定するにあたって、役所の面々から事情聴取をして唖然としたことがある。グローバリゼーションの名の下で行われている日本の金融機関の外資への切り売りの凄まじい実態に触れたからである。例えば、一億円の不良債権を一千万円で引き受け、五千万円で売却して多大な利益をあげているのは、みな外資だった。それどころか、役所の内部では外資のヘッジファンドの連中が闊歩し、大臣の秘書官でさえ外資の関係者だ。以前、某大臣がその秘書官を飛ばしたところ、大臣が変わると、役所は堂々と元に戻したという裏話まである。
政治家も外資にコントロールされており、ある時、行政の責任者が政策を滔々と述べるので、聞いていると外資の関係者が私に進言してきた政策と寸分違わなかったというお粗末な場面にさえ遭遇したことがあった。“ヒレ肉どころか臓物まで外資にむさぼりつくされている”、これが日本の金融政策の実態である。
なぜ、破綻した日本の金融機関を外資に売り渡すのか。日本に受け手がいないわけではない。問題は役人たちが外資に売り渡すことが正しいと思い込んでいる点にある。
彼らの理論はこうである。金融のグローバル化が進展している。現代は国境を越えて、カネが世界を駆けめぐる時代だ。マネーのフローに、国家性や民族性は関係ない。日本の金融機関が外資に占拠されようと、その延長線上で融資を受けていた企業が外資の傘下に入ろうと、グローバリゼーションが進み、日本経済の帳尻は合う……。これもひとつの考え方ではある。
だが、だからといって日本の金融機関が外国の企業のものになることが正しいという価値観は、日本の国益を考えれば明らかに間違いである。現在の日本のエリートたちは往々にしてこういった過ちを犯す。頭脳も明晰、アメリカ留学の経験もあって知識も豊富。だが、国家意識、日本人としての座標軸がないために、結論で間違う。他国から脅されて、やむなく売国的行為をしているのならまだわかる。
だが、彼らは心底正しいと思い込み、率先して売国を進めているのだから、手のつけようがない。
少なくとも金融行政では国家意識は完全に融解している。国家意識なきままに、経済の構造改革を断行すれば、アメリカに経済を占領されるための地均しにしかならない。国としての座標軸がなくなり、似非コスモポリタニズムが浸透し、自明の理としてまかり通っている現状をまざまざと見せつけられ、国家の危機を今更のように感じないわけにはいかなかった。