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(回答先: ハーバード大学の名誉教授 ガルブレイス (平成11年1月30日 初版発行 不破哲三著 新日本出版社発行) 投稿者 hou 日時 2003 年 11 月 03 日 16:35:31)
http://www.tek.co.jp/p/samu.html
ポール・A・サミュエルソン教授からのこのシミュレーションに対する激励の手紙
翻訳
大規模な減税が日本経済の著しい回復をもたらすのであればインフレ率が十分高くならないとしても、気にしなくても良い。インフレ率自身は政策の最終目標ではないからだ。重要なことは、流動性のわな等に起因される消費の欠如を取り除くことである。
http://www.tek.co.jp/p/ajer03_12.html
小泉政策と亀井政策の比較
宍戸駿太郎 注1
小野盛司 注2
現在提案されている2つの政策を計量経済分析ソフトEconomateを利用して比較をしてみる。亀井氏の提案は、初年度に公共事業への投資を真水10兆円、事業規模30〜50兆円、次年度から総予算の規模を5〜10%増やし、景気刺激を行うというもの。公共事業も国が負担する部分、地方自治体が負担する部分、民間が負担する部分の3つに分かれる。ここでは単純化して国と地方自治体とを一体化し一般政府の負担分を考え、亀井氏の提案を下記のように解釈する。これらの出費は小泉政策の予算に加算されるものとし、投資はすべて公共事業へ行われるものとする。
【亀井A型】
2003年 30兆円増額 2004年 8兆円増額
2005年 8兆円増額 2006年 8兆円増額
この案を亀井A型とよぶことにする。計算を行うと、2年目に急激な公共投資額の減少があるため、それに引きずられ実質GDPが減少してしまう。日本経済はこのような現象を何度も経験した。公共投資を行っている間は景気が良くなるが、止めるとまた元に戻ってしまう。持続的な発展を導くために亀井A型に次のような追加策を行う亀井B型でも試算を行ってみる。広義流動性(マネーサプライ)の供給は小泉型も亀井A型も3.5%と仮定した。亀井B型では大胆な財政政策に加え日銀による金融政策も連動して行うとし、広義流動性の供給は、2003年度までは3.5%に留めるが、2004年度以降は7.5%に引き上げ、政府系金融機関等を通じた融資も大幅に増加させる。
【亀井B型】
公共投資の増額幅 民間設備投資・住宅投資の増額幅
2003年 30兆円 0兆円
2004年 8兆円 13兆円
2005年 8兆円 26兆円
2006年 8兆円 29兆円
実質GDPを、これら3つのシナリオで計算したのが、図1である。亀井案の方が、小泉案より実質GDPは、はるかに高くなるのは予想されたとおりである。しかし、亀井A案では公共投資を減額したとたん、景気が失速していることがわかる。失速したとはいえ、小泉案より遙かにGDPは高い水準にあるのにも拘わらず、国民による景気判断は、前年に比べたGDPの伸び率しか考えに入っていない。亀井案のほうが、小泉案より2004年度のGDPは30〜40兆円程度大きいのだが、2004年度の実質GDPの伸びだけで比較すると、亀井A案より小泉案のほうが高くなってしまう。その結果、『公共事業をしても景気は自律回復軌道に乗らない。景気対策では景気はよくならない。公共事業は無駄であった。』という間違った議論が再び出てくる可能性がある。
この問題を解決するために、例えば更に追加策を加えた亀井B案という可能性を示そう。厳しい財政事情だから、景気刺激策も限られたものになると考えるべきでない。なぜなら、下記で(図6)示すように、亀井B型が財政健全化という見地からは最も優れているからである。図1で分かるように、亀井B型では、持続的・安定的な経済発展が可能になる。
<図1>
図2に、名目GDPの推移を示した。この図から分かるように、小泉型では、2006年までに2%台の名目成長率を達成するのは不可能である。つまり、小泉氏の主張には裏付けが無い。かつて新規国債発行30兆円枠を公約し、その達成に失敗し、『それは大したことはない』と述べたことの繰り返しになりそうである。
<図2>
図3では、民間消費支出デフレーターを示した。小泉型では、デフレが進行するだけである。亀井案は、小泉案よりデフレ圧力を小さくするが、この程度の景気対策では物価の下落を止めるほどにはなっていない。ただし、亀井B型は、2006年度あたりでデフレが止まり、マイルドなインフレに向かう。
<図3>
<図4>
図4では、対ドル円相場を比較した。亀井シナリオでは、内需が拡大するために、2006年には、小泉シナリオに比べ、対ドル円相場で10円程度円安に導く。これは日本経済にとって好ましいことだ。円の暴落はあり得ない。
図5では、国債利回りの推移を示した。この程度の景気刺激策では、金利への影響は限定的ということが、このグラフから分かる。つまり国債の暴落もない。
多くの人が非常に気にかけるのは、国の借金の重みだろう。これだけ財政が厳しいときに、30兆円もの景気対策をやってもよいのだろうか。次世代、次々世代に重い負担を残すことにならないのだろうか。そのような問題を検討するために、図6では、小泉案と亀井案で国の借金をGDP比で示した。
<図5>
<図6>
この図から明らかなようにほとんどの人の予想に反して、借金の重みは亀井案のほうが、小泉案より軽くなる。亀井案では、初年度30兆円の景気刺激策により、約10%の名目GDPの増加が見込まれる。つまり、分母は10%増加する。分子の増加はそれより小さいので、結局借金の重みは減少することになる。小泉案では、一貫して借金の重みが増していくから、この面でも亀井案は、はるかに優れている。しかしながら、30兆円規模の強力な財政拡大策を止めてからは、再び借金の重みが増加に転じているし、デフレは止まっていない。一般の国民が、公共事業は自律的な景気回復に繋がらなかったし、借金を増やしただけではないか、もはや日本は昔のような経済成長は不可能なのではないかという間違えた判断をしてしまう可能性が残る。
この試算により、景気回復、財政の健全化、デフレ克服、円高是正等あらゆる見地からして、小泉案より亀井案のほうが優れていることが示された。更に日銀によるマネーサプライの増加、政府系金融機関等を大幅に強化することによる長期投資の拡大等を行って改良の余地もあることが、亀井B型の試算で明らかになった。
【注】 注1:環日本海経済研究所所長、元国際大学学長、元筑波大学副学長・名誉教授
注2:東大英数理教室代表、日本経済復活の会会長 (http://tek.jp/p/)