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ハーバード大学の名誉教授 ガルブレイス (平成11年1月30日 初版発行  不破哲三著  新日本出版社発行)
http://www.asyura2.com/0311/hasan31/msg/446.html
投稿者 hou 日時 2003 年 11 月 03 日 16:35:31:HWYlsG4gs5FRk

(回答先: キーワード  竹中平蔵 経歴 で検索してみつけました 投稿者 ポン太 日時 2003 年 11 月 03 日 00:16:42)

http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/SyohyouFuwaTetuzou.html

私たちの日本改革論

 投機ブームとその崩壊の歴史は数百年前にさかのぼる!

 不況打開策:非難されるいわれのない国民の所得や雇用、福祉を改善・向上させることにより、所得を消費に向かわせ、購買力を持続させるように推進すれば、消費が拡大して不景気から抜けだす!


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P22〜25

 アメリカにガルブレイスさんという、七○年代にアメリカ経済学会の会長をやったこともあり、六○年代にはケネディ政権のインド大使をやったこともある、政界にも経済界にも関係深い方がいます(現在はハーバード大学の名誉教授)。その方が「日本経済新聞」(九八年十月九日付)の「経済教室」という欄に、いうならば、日本政府とアメリカ政府に忠告するという立場かち文章を書いていました。これを読むと、いままさに日本の国会で議論していること、選挙で問題になったことについて、アメリカの主流の経済学者がどう見ているかが、非常によくわかります。

 

ガルブレイス教授の忠告

 ガルブレイス教授は、最近の経済情勢について、アジアの危機に日本も巻き込まれ、アメリカもあぶなくなってきた。正直にいって「米国経済もまた深刻で危険なもろさを抱えており、そのぜい弱性はますます顕在化しつつある。世界経済の安定に向けて、米国はもはや確実に信頼できる力を持っていないのである」との見方をまずのべます。

 そして、そのアメリカと日本に、「危機」が波及したとき何をなすべきかについて提言したい、として、こういいます。

 バブルの崩壊は別にめずらししいことではない。これは、「資本主義下で市場経済システムが内包する基本的な特質」であって、投機ブームとその崩壊の歴史は数百年前にさかのぼるものだ、だから、バブルとその崩壊を、「通常の経済的現象の一部」として見ること、とくに「バブル崩壊」が「経済の調整が進展する過程」としてとらえるべきである。

 つまり、バブルがあれば、そのあと必ず崩壊する、それは、経済の矛盾を調整する過程であって、そこで無謀、無能な組織は市場から排除されることになる。それは痛みをともなうが、それは必要な調整過程であって、それによって、見識のないものも正常な感覚をとりもどすようになる、そこが大事だというのです。

 こういう見方にたつと、バブルの崩壊後に、政治がなにをやるべきか、なにをやってはならないのかが、よく分かると、ガルブレイス教授はいいます。

 そうした時期に、政治がいちばんやってはならないことだが、ついやりたがることがある、といってなかなか面白いことを指摘するのです。

それは何か。

 無謀にも投機ブームを招き、バブルを膨張させた経済主体を救済するようなことは避けるべきなのだが、経済危機のごく初期にはよくこの過ちを犯す。…すなわち、経済危機を招いた張本人が最初に救われるのが実態なのである。

 これは、日本の政府のやってきたことへの痛烈な批判となっています。

 問題を日本に引きなおして見ますと、バブルを引きおこし、今日の経済危機を招いた張本人は大銀行でしょう。また銀行の裏には不動産・建設関係があります。ここがバブルを仕掛けた「経済主体」だし、その崩壊で日本を大変な不況におとしこんだ「経済主体」です。バブルが崩壊したときには、当然、銀行・ゼネコンの経営も苦しくなります。しかし、そこはバブルを引き起こした中心なんだから、政府としてはそこを助けたくなるかもしれないが、それをやってはダメなんだ、というのが、ガルブレイス教授の第一の主張なのです。

 そんなことをやると経済の調整がすすまなくなる、経済危機のごく初期にこの過ちを犯すと、危機をずるずる長引かせて、問題の企業のまわりの〃罪なきもの〃をいっそうひどい目にあわせることになる。罪もない従業買とか関係の下請け企業に転嫁されたり、一般国民にツケがまわされる。だから、これはやってはいけないことだと、きわめて明確に断言しています。

 ガルブレイス教授はつづけていいます。「崩壊したバブルへの的確な対応は、経営方針を誤ったり投機に走った銀行や企業に自ら責任をとらせることにある」。責任をとらせれば、つぶれるところも出てくるし、失業者も出てくる。そういう〃罪なき〃人たちにたいして、国が、その現場で援助することが大事だというのです。

 「それによる経済への悪影響は、罪なく苦境に陥った人たち−−ガルブレイスは、バブルとその崩壊に責任,罪のある人と、罪がないのにその結果によってひどい目にあう人たちとを厳格に区別するのが特徴ですが−−特に失業者とその家族への公的支援を進めることでカバーすべきである」(ガルブレイス)

 それから、国はさらに、公共サービスを増やして新たな雇用機会を最大限提供しなければいけない、といいます。「公共」といっても日本とは違い、ゼネコン型公共事業は出てきません。まず、一般の「公共サービス」、さらに「教育」のサービスを増やさなければならないといい、そのあとに「建設」がでてくる。これも、国民無視のゼネコン仕事ではもちろんありません。「社会的に必要で有益な活動分野」で新たな雇用機会を最大限提供してゆくことです。

 さらにガルブレイスは、「もう一つ欠かせないものがある」、それは「機動力があって的確な判断力を備えた政府である」といいます。これも、「機動力と判断力」に欠けた日本の政府の現状を心配しての忠告と聞こえますが、そうした機動力と判断力をもった政府の役目は何かというと、「それは破たんした企業を救済することではない」と重ねていいます。「そうではなく、非難されるいわれのない国民の所得や雇用、福祉を改善・向上させることがより重要であり、それが政府の使命だからである。所得を消費に向かわせ、購買力を持続させるよう政策的に支援すべきである」。こうすれば、消費が拡大して不景気から抜けだすのに役立つ。これはおそらく、アメリカの経済学界では常識なんでしょう。 


(平成11年1月30日 初版発行  不破哲三著  新日本出版社発行)


 

私の感想
 「非難されるいわれのない国民の所得や雇用、福祉を改善・向上させることにより、所得を消費に向かわせ、購買力を持続させるように推進すれば、消費が拡大して不景気から抜けだすのに役立つ」の部分が、不破さんが主張する不況打開策なのかなと思います。

 となると、大銀行・ゼネコンをの利益を国民に回そうと言うことですから、大銀行・ゼネコンと深く結びついている自民党政権を打開しないといけなくなるということに結びついてきます。

 理論的には分かるのですが、戦後の発展の原動力は自民党の功績という部分もあるでしょう。この辺りの功績をどう評価し、そしてバブル崩壊の責任をどうとってもらうかのさじ加減が難しいのでしょうね。

 

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