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「信用保証制度」貸し倒れ急増、穴埋め税金2兆円
中小企業の借り入れ返済を公的に保証する「信用保証制度」を利用した融資に貸し倒れが急増し、損失を穴埋めするために、昨年度までの10年間で約1兆9000億円の税金が投入されたことが21日、会計検査院の調べで分かった。
同制度は貸し渋り対策として効果を上げたが、一方で手薄な審査を突き、破たん状態の企業が保証を受けたケースもある。今年度も数千億円の投入が見込まれ、検査院は「金融機関に損失の一部を負担させるなどし、審査体制を強化する必要がある」と指摘している。
この制度は、担保に乏しい中小企業の借り入れに対し、各地の「信用保証協会」が債務保証する仕組みで、返済が滞った場合は協会が金融機関に肩代わり返済する。肩代わりの7―8割は特殊法人「中小企業総合事業団」(東京)からの保険金で補てんされるが、この保険金は各協会からの保険料と、肩代わり後の回収で賄われることになっている。
しかし、担保価値の下落などで回収は難航し、事業団の保険収支は1992年度以降、赤字に転落。昨年度は約9350億円の保険金を支払ったのに対し、保険料と回収金は約3300億円しかなかった。基金を取り崩しても赤字が埋まらず、最終的に約4000億円の税金が投入された。今年度も数千億円の投入が予想されている。
特に、政府が98年10月―2001年3月、審査要件を緩和した「特別保証制度」を実施してからは、赤字幅が一気に拡大した。同制度は、肩代わり分のうち50%を回収できると見込んでいたが、実際には今年3月末時点で6・7%しか回収できていない。
保証制度の利用は、金融機関が借り手を協会に紹介するケースが大半で、協会は人手不足などから金融機関の審査を追認する場合が多い。
一方、保証付き融資は全額回収が可能な「正常債権」となるため、金融機関は積極的に融資案件を協会に持ち込んできた。
欧米の主要国では、金融機関も焦げ付きの15―25%を負担する仕組みで、検査院は「審査強化などの対策が取られなければ、今後も多額の税金投入が続く可能性がある」と指摘している。(読売新聞)
[10月21日14時51分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031021-00000006-yom-soci