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　日本道路公団の交通管理業務の委託先を決める入札をめぐり、公団理事が指名業者に「低価格で入れるな」と指示していた問題で、落札した警備会社は事前の実技審査で合格点に達していなかったことが公団から朝日新聞記者に開示された採点表や意見書などの内部文書でわかった。外部有識者からも作業の不適切さを指摘されていた。公団が異例の再試験をしていたことはすでに明らかになっていたが、同社に対する便宜供与の疑いがより強まった形だ。

　公団道路を維持、管理する業務は長年、ファミリー企業が随意契約で受注してきたが、９７年、競争入札を導入する方向性が打ち出された。９９年７月に第３京浜道路など３線の委託先を決める初の入札があり、「東日本ハイウェイ・パトロール」（東京都港区）など３社が参加し、亀井静香元建設相が設立に関与した「ジェイ・エス・エス」（東京都千代田区）が落札した。

　内部文書によると、公団の東京第一管理局は９９年６月８日、各社の技量を見極めるため、神奈川県にある大磯ロングビーチ駐車場で事故処理の実技を審査した。

　採点表によると、ジェイ社の社員は、事故当事者への避難の呼びかけを怠るなどしたため、減点幅は不合格の基準を超えた。外部有識者として公団が招いた警察庁ＯＢも、ジェイ社の総合判断を「問題あり」とし、「安全確保、作業手順、報告連絡」について「基本的な作業に不適切な点」「特訓の要あり」と指摘する意見書を公団に提出した。

　ところが、公団はその直後、設問の一つでジェイ社が想定外の措置を採ったことを理由に「車線規制の技量をどの程度備えているか測れなかった」として、ジェイ社のみの再試験を決定。同月１６日に行われた再試験では、外部有識者の意見を聴かないまま、ジェイ社の合格を決めていた。

　公団側は当初の試験についてこれまで「採点できなかった」と説明していた。

　入札では、公団の担当理事から東日本ハイウェイ・パトロールの社長に「低価格で入れるな」などと新規参入を実現するための指示が出され、ジェイ社が最低価格を示して新規参入に成功した。現在、年間の契約額は２億円余となっている。

　交通管理業務は安全確保や人材養成などの面で難しく、入札導入後も新規参入したのはジェイ社だけ。 (10/20 16:27)

http://www.asahi.com/national/update/1020/020.html

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