現在地 HOME > 掲示板 > 狂牛病・遺伝子組み換え10 > 354.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 牛の血液飼料を禁止、全頭検査は改めて否定 米BSE [朝日新聞]【経費は価格に乗せればいいのだから全頭検査でボロボロ見つかるのが嫌だからだろう】 投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 27 日 17:15:54)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04012701.htm
04.1.27
米国食品医薬局(FDA)は26日、狂牛病(BSE)の人間への伝達と動物への伝播を防ぐための措置の強化を発表した(Expanded "Mad Cow" Safeguards Announced to Strengthen Existing Firewalls Against BSE Transmission)。新措置は次のようなもので、パブリック・コメントの機会は与えるが、発表と同時に実施するという。
1.次の物質をFDAが規制する人間の食品(栄養補助食品を含む)と化粧品に使うことを禁止する。
・”ダウナーカウ”(歩行できない牛)由来のすべての物質。
・”死んだ”牛(農場で、すなわち屠畜場に達する前に死んだ牛)由来のすべての物質。
・30ヵ月以上の牛の脳・頭蓋・眼・脊髄など、及びすべての月齢の牛の小腸の一部と扁桃―特定危険部位(SRM)。
・機械的分離肉。先進的食肉回収(AMR)により得られる肉は、米国農務省(USDA)の規則がこれにSRMが含まれることを許さないから、利用できる。
2.牛が故意にか偶然にか禁止蛋白質で飼育されるリスクをさらに低減するための措置。
・哺乳動物の血液・血液製品を他の反芻動物の蛋白源として利用することを許す現在の飼料ルールの例外を廃止する。[血液が若干のBSE感染性をもつ可能性を示唆する科学的証拠がある]
・”家禽排出物”を反芻動物用飼料成分として利用することを禁止する。”家禽排出物”とは家禽が飼育される場所から収集される寝藁・食べ残した餌・羽・糞からなる。これは、牛と大規模家禽飼養が近接した場所で行われる一部地域で牛の飼育に使われている。家禽飼料が反芻動物飼料に禁止されている蛋白質を含むことは合法であった。[これは有力な交差汚染源として指摘されてきたが、FDAは禁止してこなかった]
・反芻動物飼料成分に食べ残しその他の食肉廃棄物(残飯)を利用することを禁止する。これらは現在、大規模なレストランから集められ、動物飼料用肉骨粉に加工されている。
・反芻動物飼料と非反芻動物飼料の交差汚染の可能性を最小限にするために、反芻動物飼料に禁止されている蛋白質を利用する場合、施設または生産ラインを非反芻動物飼料専用とする。
・これらの措置の実施を確保するために、2004年に飼料工場とレンダリング工場の検査を強化する。FDA自身が2,800の検査を行い、また州と協力して飼料工場・レンダリング工場・その他の動物飼料・飼料成分を扱う企業に対して3,100の契約検査も継続実施する。
米国は自国のBSE対策は万全としてきたが、ここに至り、既に繰り返し指摘されてきた明白な欠陥を自ら認めたことになる。これにより、米国のBSE対策は、少なくとも制度的には国際的な標準レベルに到達することになる。これらがいかに遵守されるか、ダウナーカウや死亡牛、SRMが現実に確実に除去されるかどうかが問題として残る。また、SRMとしての脳・頭蓋・眼・脊髄などを30ヵ月以上の牛に限定したことは、「制度的欠陥」として残る。
これらの問題がすべて解消されたのち、BSEの最長潜伏期間とされる期間内にBSEが一件も発生しなければ、そのとき初めて米国は「BSE清浄国」と認められることになる。それまでには、最低7-8年が必要なわけだ。わが国がそれ以前に米国牛肉・牛製品の輸入禁止を解除するとすれば、最低限、牛に哺乳動物蛋白質が長期にわたり与えられていないことが証明される未発生農場からの牛由来の、30ヵ月以上に限られない牛(例えばEUの基準である12ヵ月以上の牛)の中枢神経組織SRMが確実に除去されていることが確認できる牛肉・牛製品に限られねばならない。これに、現在の検査技術の検出限界以上の月齢の牛の全頭検査が加わればベターではある。
全頭検査を最優先の安全保証手段とする考えがある。だが、これは基本的BSE対策の軽視につながるかぎりで、危険性をはらむ。検出限界以下の月齢の牛は感染していても人間への感染性は非常に低いし、そもそも変異型ヤコブ病にかかる確率も非常に低いという主張がその背景にあるようだが、この主張に何の益があるのだろうか。根本的目標はBSEの根絶である。BSEが飽食・肥満病をもたらすほどの大量の食料を安価に供給するという効率一辺倒の農業・畜産―自然の摂理に背く近代的技術の所産であるとすれば、このような農業・畜産、それと不可分の関係にある流通・外食産業・消費者の志向との訣別こそが根本的目標でなければならない。上の主張は、このためには無益であるどころか有害でさえある。それは、訣別すべき社会の温存を目的としているとしか思えない。永遠に「全頭検査」を続けるつもりなのか。生産者と消費者のBSE不安を永続させるつもりなのか。
問題はBSEだけではない。肥料、農薬、集約的家畜飼養、飼料調合、抗生剤とホルモン、農業は工業化され、大規模化されて一変した。その生産物は飽くことなき安売り競争に興じるスーパーと外食産業を通して、我々の食生活と生活様式を一変させ、生活を豊かにしてきた。子供に糖尿病が生まれるまでに豊かな食料を安価に供給した。それは我々の「繁栄」の土台であった。だが、気がついてみれば、安心して住める環境・安心して食べられる食べものがなくなっていた。自らの「自然」を食肉・乳生産装置に変えられた家畜や鶏の反撃が始まった。BSEの発生も、鳥インフルエンザを始めとする家畜病のあっと言う間の世界的拡散も、そのように受け止めるべきである。戦後半世紀にわたり我々に繁栄をもたらした「安価な食料」は、繁栄の土台どころか、悪の根源に変わりつつある。我々は今何を求めるべきか、それは明瞭である。「検査」が無用な社会である。
関連情報
EUによる米国のBSEリスク評価(抜粋)―米国の主張に対抗するためにhttp://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/document/usgbr.htm
農業情報研究所(WAPIC)