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動力は自然の風だ。適地は多い。費用も比較的安い。環境の負担も小さい。風力発電は期待されるエネルギーである。
風力や太陽光などによる発電の促進をめざして、電力会社に一定量の買い取りを義務づける新エネルギー利用特別措置法(RPS法)が昨年施行された。環境省も、国立公園内であっても条件つきで風車の建設を認める方針を打ち出した。こうした追い風を受けて、風力発電の広がりに弾みがつく。多くの人がそう受け止めた。
ところが、どうだ。実際には、風力発電は伸び悩んでいる。
昨年、北海道、東北、北陸、九州の各電力会社が新たな風力発電の事業者を募った。全体で200万キロワットをこえる応募があったが、肝心の募集枠がわずか計34万キロワットだったことから、大半が事業化をあきらめざるを得なかった。風力発電の適地は北海道と東北に多い。それなのに北海道電力は「新たな募集は当面しない」、東北電力も「今後は未定」という。
こんな調子では、2010年度に風力を昨年度の6倍以上にまで普及させようという政府自身の目標達成はおぼつかない。
なぜこうなったのか。大きな理由は、RPS法で電力会社に購入を義務づけた新エネルギーの量自体が小さすぎることだ。
この法律によれば、発電量全体に占めるその割合は年々上がってはいくが、最終年の6年後でも1・35%に過ぎない。北海道電力のように現在でも風力発電の規模が比較的大きく、義務づけ分を当面こなせる会社は、新たなコストを払ってまでいま以上に買う量を増やす必要がない。
また、新エネルギー全体で割当量を満たせばいい仕組みだから、自治体がやっている同じ新エネルギーのごみ発電と張り合うことにもなってしまう。
風が頼りの風力発電は原発や火力よりも安定度が落ちることは確かだが、電力会社がもっと買いたくなるような仕組みにすれば、普及は進むに違いない。
RPS法は2年後に見直すことになっているが、それを前倒しすべきである。
まず買い取りを義務づける量を増やす。その内容も新エネルギーを一括して扱うのではなく、風力や太陽光といった地域の状況に応じた電源別の数字にすることだ。
電力各社がたがいにもっと電気を融通し合える仕組みも要る。北海道の電気が緊急時以外は本州に送れないというのでは、北海道の風力発電の発展を妨げるだけだ。
欧州の風力発電は、ドイツが日本の約30倍、スペインは約12倍というように、けた違いの規模だ。電力会社に高い値段で買い取らせたり、風車から幹線までの送電線を電力会社に引かせたりと、事業者を支援する様々な制度があるおかげでもある。
日本もそうした手を打つべき時だ。普及の頭を抑え込んでしまっている法律は一日も早く変えてもらいたい。