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簡単なレスと『お金(マネー)の歴史全書』(大英博物館編・東洋書林刊)の紹介
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/800.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 12 月 17 日 02:33:10:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: これを呼んでの事ですが→これを読んで(正)[失礼いたしました・本文なし] 投稿者 マルハナバチ 日時 2003 年 12 月 16 日 23:52:49)


マルハナバチさん、レスありがとうございます。


>>大資本は貨幣の退蔵によって形成されるわけではありません。
>>膨大な貨幣を使うことで形成されるものです。


>これを読んでの事ですが、膨大な貨幣の発行可能な条件を整えて、信用創造とその後
>の貨幣の運動から利子取得してゆく事を通してであろうか…と一瞬想ってしまいました。
>正解はどのようなものなのでしょうか?


「近代」における大資本形成という意味では言われていることを含意します。

大量の金銀の流入という膨大な貨幣の発行可能な条件に加えて、それを詐欺的に加速化する「信用創造」が大資本の形成を促進しました。
そして、それが、対国家貸し付けと並ぶ膨大な利息取得の源泉となりました。

国内で充足できない原材料の輸入という面では正貨が必要ですが、大工場制的資本の形成においては正貨を必要とはしません。

機械設備を製造することを含めてそれに必要な活動力を有する人を必要なだけ集めればいいだけの話です。
逆に、いくら膨大な正貨があろうとも、必要な活動力を持った人を集められなければ大工場制的資本を形成することはできません。

その場合は、有り余る正貨を使って、それができるところから成果(財)を輸入することになります。

>直感で言うのですが、むしろここを人間活動の中核と捉えたところから、貨幣へと人
>間の地球上での活動を説明するような現実が生まれない限り、個体性と共同体性がと
>もに幸福を帯びた人間のあり方は地球上で実現しないというのが、“彼ら”をも含め
>た人間の哀しい現実ではないかと想いました。
>このままだと“彼ら”も一種の自覚なき奴隷になるだろうと想います。生体としての
>条件は、“彼ら”の方が“彼ら以外”より遥かに良いにもかかわらずに…。

マルハナバチさんの直観通りだと思います。

手段と目的(身体活動)が転倒してしまっているのが近代です。

貨幣は関係的身体活動を交換する手段であり、貨幣そのものだけで価値があるわけではありません。

多くの人がある人(変わったり見捨てられることもある)の奴隷だとすれば、“彼ら”及びすべての資本家と経営者は、資本化された貨幣の奴隷です。

ひとの奴隷であるほうがいいのか、物の奴隷でなおかつ人を奴隷として扱う立場であるほうがいいのかは微妙なところですが(笑)

「近代」の廃棄は“彼ら”にとっても救いになるはずです。
そう思っているからこそ、“彼ら”とも議論ができると思っています(笑)


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★ 推奨書籍というわけではないのですが、お金に関心があるのなら面白いと思われる
本を紹介させてもらいます。


『お金(マネー)の歴史全書』(ジョナサン・ウィリアムズ編・湯浅赳男訳・東洋書林刊・3800円)

 「人はなぜお金に惹かれるのか − 人とお金の5000年 −」という呼び込みが帯に書かれています。
 大英博物館版ということで、世界各地(収奪以前の南北アメリカを除く)の硬貨や紙幣の図版が豊富に掲載されています。


 朝の個室日課でぽつりぽつりと読んでいるだけなのでまだ読み終わっていません。

 (マルハナバチさんが雑談版にお金の話を投稿され、そのレスで落胆させてしまったちょっと前から読み始めていますがまだ終わっていません。そのときに、この本を紹介し、末尾に引用しているヴォルテールの言葉を提示しようかとも思いましたが、数十ページしか読んでいない段階だったのでやめました)

[目次]

 序論
 第1章 メソポタミア・エジプト・ギリシャ
 第2章 ローマ世界
 第3章 中世ヨーロッパ
 第4章 イスラーム世界
 第5章 インドと東南アジア
 第6章 中国と東南アジア
 第7章 近代初期
 第8章 アフリカとオセアニア
 第9章 近代

※ 第7章の近代初期以降は面白いのですが、その前までは雑学書という感じで少し物足らないなあという印象を持っています。
 「近代」がそれだけ異質だということの反映なのかもしれません。


【一部抜粋】

「マネーはそれを手に入れるよりも、それについて書くことのほうがずっと容易である。故にマネーを手に入れた人たちはそれについて書くことを知るだけの人を、大いにからかうのである」(ヴォルテール「哲学辞典」1764年):序論扉に掲載


「キャッシュは、銅貨を意味するインド語カルシャからきている」(P.211途中一部略)

「たとえばイングランドでは、実質賃金は15世紀後半から17世紀中葉までに実際に半分になってしまったのである。その上、税金は間違いなく16世紀中に高くなり、国家運営にとっての第一の財源として確立された。実際には税金がかき集めたマネーはカネのかかる国家活動のために使われるというより政治と金融のエリートたちの間にばらまかれたのだけれども。」(近代初期:P.242)


「統治はますます複雑な(したがってカネがかかる)ものとなり、政府の仕事もだんだんと賃金労働に頼るようになっていた。なによりも戦争の費用がはねあがった。賃金、補給、兵器と特に砲兵隊の発展とともに、すべてが、カネのかかるものとなり、戦争の規模も大型化した。それはハプスブルク王朝の全ヨーロッパ的、全世界的な利害を反映したものだった。ちゃんと活動するために国家はかつてないほどの信用を必要とするようになったが、安定した長期的な公債がこれに対する回答となり、17世紀末までにはほぼ一般的になったのである。
 その結果として、国家の債務証券は投機の対象としてアムステルダム株式取引所で売買されるようになった。この取引所は17世紀はじめに政府の公債やオランダ東インド会社の株式を売買するために生まれた。ここが近代初期に設立された取引所のなかでもっとも重要なものだったのは、17世紀中葉のオランダがこの国一国でヨーロッパ全体と同じくらいの資本を持っていたからである。もっともその世紀の末までにロンドンが強力な競争者として立ち現れることになるけれども。」(近代初期:P.252)


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