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(回答先: 「北進論」と「南進論」 − 「空間をもって時間となす」戦略を打ち破らなければならない「北進論」 − 投稿者 あっしら 日時 2003 年 11 月 04 日 02:10:59)
名前の分からない陸軍大佐
>日本は、常に極東ソ連軍の配備状況を精査しており、独ソ戦がソ連不利のなかでも増強される事態を知り、独ソ戦に乗っかった対ソ戦を断念しています。
>うまくいったとしても極東ソ連にわずかに攻め込んだ段階で膠着状態に陥り、欧州戦線に影響を与えないとは言いませんが、それほどの影響を与えることはなかったと考えています。
>独ソ戦開始後も、量的にも中国正規軍よりも大きな100万規模のソ連軍が国境線中心に駐屯し、兵器の増強が続いていました。
それはどうでしょうか?歴史では、ソ連は日本軍の北進はないと判断したので、最強と言わ
れたジューコフ将軍の極東軍団をモスクワに回して、モスクワ戦を勝利したとなっています。
日本陸軍と関東軍が総力戦を仕掛けた場合に、100万程度のソ連軍がその侵攻をおさえら
れるでしょうか?一方ではドイツと戦いながら。瀬島龍三の話では、対戦車砲は結構性能もよ
く、それらは本格的会戦に備えて準備されていたということですが。
モスクワが陥落していて、日本軍が東部シベリアに侵攻していればやはり状況は大きく変わ
っていたと思います。ソ連が降伏したかどうかとは別問題として。ただし、東部シベリアの資
源が日本を近代国家として生存させるためにはひどく使いづらいのならば、戦争としては失敗
ということになります。
>日本は、中国との協調関係を確立するとともに対ソ連防備を図りながら、英蘭仏の植民地を解放する戦略を陸海軍一体となった「南進」政策を採るのが合理的選択だったと思っています。
大東亜共栄圏の理想からすればそれは正しい戦略でしょう。しかし、そこには対英米戦争を
早期に戦わねばならないという巨大なリスクがあります。そして、後知恵かもしれませんが、
アメリカによる「潜水艦作戦」という巨大な問題が発生します。植民地の現地勢力との共同作
戦という戦後のソ連がとったような戦略は、大東亜戦争によって生じた新たなアジア地域の精
神的・政治的・物質的状況が初めて可能にしたものです。それは、アメリカなどにクズ鉄と原
油を止められてあと7ヶ月で近代社会として崩壊する段階の日本ではとりえない路線ですし、
そうなる以前でも当時の国際環境では実現の難しい戦略ではなかったでしょうか。
>「北進論」の主体遂行勢力は陸軍であり、「南進論」の主体遂行勢力は海軍です。
>ご存知のように、戦前の日本は、統合幕僚機構はなく、陸軍参謀本部と海軍軍令部がそれぞれ天皇に直属しているかたちで統帥権が機能し、せいぜい連絡会議がもたれるというものでした。
わたしは、一緒にするのはどうかと思いますよ。たとえばレイテ作戦の計画書が、墜落した
海軍の将軍から敵の手に渡るという信じがたいマヌケな事態が起きました。それを恥じた海軍
軍令部は、事件を「なかったこと」にし作戦を変更しなかったために、手の内が筒抜けのレイ
テ作戦でボロ負けしたという信じがたい話が最近ますます明らかになってきています。
「台湾沖航空戦」の戦果に関する、陛下と陸軍と国民を騙した「大本営発表」だって海軍軍
令部のものですよ。あれを信用して作戦を立てた陸軍はフィリピンで大量の死者を出しました
。戦果報告というものは、心理的な要因や確認の難しさからどこの国でも実際より膨らみがち
で、敗色の濃い場合はますますそうなるものなのです。しかし、実際の戦果と比較して2倍の
誤差ならまだしも、10倍とか100倍以上の誤差を出すメンタリティーの集団が海軍なので
す。
また、私の祖父は開戦時にたぶん志願して出兵し、終戦時は要塞島ラバウルで降伏したので
祖父の上官だった可能性が高いのですが、陸軍に今村均という名将がいました。彼はインドネ
シアにおける戦争で、約4万の兵を率いてわずか9日間の戦闘で10万のオランダ・イギリス
軍を降伏させたような戦果を挙げたので当時名声を得ていたはずです。
今村さんはバタビア沖海戦で「龍城丸」に第16軍司令官として乗船していましたが、海軍の
誤射で「龍城丸」が大破して海に投げ出され約3時間漂流した後救助されるということがあり
ました。私は、戦争の行方がわからなかった当時、今村さんの名声と将来性を妬み恐れた海軍
が彼を殺そうとしたのではないかとも疑います。
はっきりいって、海軍は陸軍とは文化とか民族性が違いすぎます。あの人たちと一緒になっ
たら陸軍が駄目になります。入って来なくてもいいです。組織として統合が無理、もしくは陸
軍にとって不幸であるから止めたほうが良いとして、適切な協調・連携ができるかという問題
になりますが、あの日本海軍だから駄目な可能性が高いと思います。それは向こうの問題です
。
ちなみに海上自衛隊は、旧海軍の伝統と組織と人脈をそのまま引き継いでいるそうです。敗
戦直後、アメリカに海軍幹部が取り入って強大な海軍再建の許可をアメリカから得たそうです
。内務省が潰されて大蔵省が分割されず生き残ったことと言い、もともと戦前から英米に近く
て戦後裏取引したり取り入ったような組織が、戦後はびこってきたという側面がここにもある
ような気がします。