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「供給→需要」論理は国民経済だけではなく世界経済でも貫徹 − グローバリズムに乗っかったトヨタの末路 −
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/343.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 11 月 02 日 19:32:05:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: Re: 経済主体(ミクロ)論理は国民経済(マクロ)論理を超えることはできない [houさんへ] 投稿者 hou 日時 2003 年 11 月 01 日 22:45:08)


houさん、レスありがとうございます。


あっしら:「輸出及び海外拠点の強さで抜きん出ているトヨタやソニーとは言え、日本市場の縮小は痛手(利益減)につながります。グローバリズムや国際自由主義取り引きが声高に叫ばれ、それが強権的及び内政干渉的手法を行使してまで追及されているのは、米英を中心とした支配的財閥が、米国市場などの自国市場に依存したままでは存続や利益拡大ができないことを認識しているからです。」
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houさん:「このあたりがいまいちよくわかりません。
トヨタがアメリカを志向するのは、トヨタの利益の源泉が北米に傾いているからです。
トヨタの北米での利益は、1兆円で営業利益の70%を稼ぐわけですから。
アメリカに移住したほうが良いのではないかと思うほどです。
日本の市場は、40%もシェアを握っているにもかかわらず2600億円です。

最近トヨタは、レクサスの工場をカナダに建設しました。
これで、より消費地に近いとこで生産し売る体制がととのったことになります。
原価はもちろん下がります。
レクサスの利益は上昇しますし、日本に投資するよりも、人口が増加している北米での商売を先行投資しようと思うのはごくごく当たり前の行動にみえます。」
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個別経済主体としてのトヨタが北米・欧州・中国など海外で拠点を拡大しているのは、ミクロ論理としては合理的な判断です。
消費地に近い場所で財を生産することも、輸送にかかる膨大なエネルギー消費や「供給→需要」という論理に照らして合理的です。
(トヨタの現地生産拠点に雇用された人たちが消費に回すお金が回りまわって自動車に対する需要となり、トヨタが競争力を持っていれば売上・利益を拡大することができるからです)

しかし、「供給→需要」という論理は、国民経済に限ったわけではなく、世界経済にもそのまま適用できるものです。

国民経済の枠内で考えるときは、よその国民経済はどうなってもいいという帝国主義的利益獲得は有効性を持ちます。
しかし、近代経済システムが普遍化した世界では、供給を超える需要はあてにできなくなります。
(この論理は、これまで説明してきた内容を世界に置き換えて考えてもらえばご理解いただけるはずです))

世界競争のなかでうまくトヨタが生き残ったとしても、「供給→需要」論理からトヨタが獲得した利潤を再投資して使い切らなければ世界経済が縮小に陥り、売上・利益の拡大が達成できなくなります。
(トヨタ一社が世界の自動車を独占しているかたちでも同じです)

グローバリズムが理想とする世界に近づけば近づくほど、トヨタは、現在の日本で味わっている問題を世界中で味わうことになります。

トヨタの戦略は短期的に合理的で有効なものですが、このマクロ論理を理解していなければ、ドツボにはまることになります。
(巨大化した企業とりわけ製造業企業は、固定化している資産が大きため、経済縮小の影響を強く受けます)

このような世界で、各国政府が外国企業を優遇する政策を採り続けると考えることは困難です。
なぜなら、外資は利益を国外に持ち出すが、自国企業は、とりあえず国内で保有し、なんらかの支出をするからです。
国民感情的にも、デフレ不況期に利益を上げて利益を外に持ち出す外資を快く思わないはずです。


「アメリカに移住したほうが良いのではないかと思うほどです」というご意見には同調します。
あのような国民経済破壊政策を声高に叫ぶ経営者の本社は、どこにでも移ってもらってけっこうです。
もちろん、生産・販売をつづけるのはかまいませんから、それを通じて日本になんらかの貢献をしてもらえばいいと思ってます。
(日本現地法人には税金をきちんと納めてもらいます)

トヨタの経営者は、日本国家のおかげもあってあそこまで立派な企業になれたという自覚とトヨタを最後まで支えるのは日本政府(日本国民)しかなくなる世界がやってくるかもしれないという見通しをきちんと持つべきです。


※ その他

>日本の起業比率はOECDでも最低です。これは、資金の多様性云々の話だけではな
>いというのはわかりますが、中小企業の信用力を試す場でもあり、社債や株・小切手
>のリスク管理の一面・また銀行が知らない企業の技術力や可能性を知る絶好の場所だ
>と思います。

名目GDPが縮小している長期デフレ不況及び「信用創造」機能の不全のなかで、起業の増加や中小企業の信用力を試す云々は倒錯した考え方です。

まずは、国民経済(マクロ)の問題点を政府及び優良企業が一体となって解消し、その後に語るべきことです。

>問題は、日本の上場企業ではなくあまり見えない部分であり、日本の雇用を80%も
>支える中小企業の活性化が重要だと思います。
>日本の二重構造の低い方にまだまだ問題が山積しています。
>これらは、法律や財政・財政投融資・金融機関の融資に支えられている、国民経済部
>分(だとおもいますが)ですがこれらの解体は、地方の分権という点で小泉内閣が主
>張している方針です。
>はたして、この部分を改革しないで供給(上場企業に負担)を増やしてもあまり変わ
>らないような気がします。

中小企業の生産性の問題は、この間の経済苦境のなかで、需要(売上)が減少するとともに上位取引先企業から単価の引き下げを強いられていることにあります。

二重構造の下にある中小企業は、不断に単価切り下げ圧力にさらされているので、存在していくためには生産性を上昇させざるを得ない立場にあります。そして、それを賃金引下げという供給額減すなわち需要減の手法で実現しています。

これは、公共事業を請け負う建設業でも同じです。

ミクロではなくマクロで問題になっているのは、二重構造の上位が、自己の利益確保に走って下位の供給(→需要)を削減させる対応をして、国民経済の需要を縮小させていることにこそあります。

なんどもいっていますが、優良企業が給与の増加を通じて供給額を増加することは、(上場企業に負担)を強いることではなく、中長期的には安定的な売上・利益に資するものです。
そして、それを行わなければ、現在のデフレ不況は解消されることなく、デフレ不況の世界化のなかで、存続すら危ぶまれることになります。


>だからといって、これ以上国債に頼るのは?大丈夫か?という不安が残ります。


国債に頼る必要はありません。
国債償還システムが現状のものである限り、それで需要を増加させても、中長期的累積としてはかえって需要減につながります。(利息の分だけ)


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