現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ32 > 251.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 五十嵐仁の転成仁語【外交官殺害事件真相を究明に言及】 投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 04 日 22:25:36)
『さらば外務省!』天木直人 講談社 のP64から転載します。
(転載開始)
栗山尚一 ―― 「外務省員洗脳の書」の読まれ方
外務省の体質を体現する、もう一人の人物にも言及しておかなくてはなるまい。ほとんどの主要ポストにおいて、斉藤邦彦の前任者であり続けた栗山尚一である。
私は内閣安全保障室に出向していた時期に、わが国の安全保障政策に関係する仕事に携わったことがある。言うまでもなく、戦後のわが国の安全保障政策といえば、日米安全保障条約に基づいた日米同盟が基本となっている。
この日米安全保障条約の功罪ほど論議を呼ぶテーマはない。いったい日米安全保障条約とはどういう条約なのか。どういう経緯を経て締結され、どのような役割を果たしてきたのか。そしてその将来像はどうあるべきか。
日米安保条約に関しては賛成、反対、中立と様ヵな立場から議論されその解説書も数多くある。それらの多くを読んでいくうちに気づいたことは、賛成の立場から書かれている書物の多くが、日米安全保障条約を締結したことは正しかったという賛辞の単純な繰り返しであるのに対し、反対の立場から書かれている書物は様ヵな角度から丁寧に事例を引用しその非を論ずるものが多いということである。
そんな中で私は、同僚からホッチキスで綴(と)じられた十数ページの薄っぺらいタイプ打ちの冊子を渡された。
「市販の解説書をいくら読んでも役に立たないよ。外務省の職員が読むべき解説書はこれだけさ。いわばバイブルだ。他の解説書を読むとむしろマイナスになる」
この冊子こそ、栗山が条約課長の時代にものした日米安全保障条約についての「外務省員洗脳の書」なのである。それは日米安保条約の全体を解説するというよりも、主としてこれまで国会でどのような論戦がなされ、政府としてどう答えてきたかという虎の巻のようなものである。しぼらく読み進んだところで私は、「あっ」と声を上げんばかりに驚いた。
それは日本が実際に軍事攻撃された場合、果たして米国は自ら血を流して日本を防衛してくれるのかという根本的疑問に関するくだりであった。栗山は言う。
「米国は日本と共通の価値観を有する信頼できる唯一の国である。そのような国に対して助けてくれないかもしれないなどと疑念を抱くこと自体、誤りであり米国に対して失礼である」
これが外務省条約課長の教えなのである。いかなることがあっても、常に米国に盲従していく外務官僚の原点が滑稽(こっけい)なまでにここに表れている。
これが外務省職員のバイブルだというのだ。まさか国民は、わが国の外交がこれほどまで長の浅いものだとは想管していまい。しかしこれが、日米外交の偽らざる実態のである。
http://www.kodansha.co.jp/
(転載終了)
http://soejima.to/