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作家・下田治美氏「派遣社員は奴隷」裁判で訴え
18日に長男“いじめ”事件の第1回口頭弁論
「派遣の実態は奴隷制の復活」と訴える下田さん
小説『愛を乞うひと』で知られる作家の下田治美さん(56)が目の前で、長男(26)が派遣会社の上司に暴行を受けたことで精神的疾患を患ったなどとして、上司と派遣会社幹部、派遣先の『ヨドバシカメラ』などを相手取り、約1800万円の損害賠償を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が18日、東京地裁で開かれる。「血を吐く息子を見てから、原稿が書けなくなった」という下田さんは「立場の弱い派遣社員は現代の奴隷だ」と訴える。今、派遣社員に何が起きているのか。
【母の目の前で】
「サービス早出をしなかった」ことに対する“制裁”は、母の目の前で行われた。
今も心の傷が癒えない長男
今年3月14日夕。長男が久しぶりに都内のマンションへ帰省すると、まもなく長男が所属する派遣会社「イー・パーソンズ」(イ社)の上司の男性(32)が訪れた。
上司は、下田さんの制止を振り切って、「これをやりに来たんだ」と、長男にひじ打ちや殴る蹴るの暴行を30数回加えた。下田さんは唇を震わせ、「息子の顔は血で真っ赤になり、気絶した後、あごに入ったひざ蹴りで口から血を吹き出した」と振り返る。
下田さんは床にへたり込み、「110番、119番通報することすら思いつかなかった」。
長男は頭、顔、胸腹の打撲、肋骨(ろっこつ)骨折など全治8週間の重傷で入院。警視庁赤羽署は下田さんからの刑事告訴を受け、4月12日、上司を逮捕。上司は22日、東京簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。
【4回の暴行】
下田さんは、原田美枝子さん主演映画『愛を乞うひと』の原作者として知られ、小気味よいエッセーに定評がある。離婚後、女手一つで長男を育て、「20歳までは生活費、学費を援助する。以降の生活費は自分で稼ぐ」との方針を貫いた。
だが、長男は「生活費稼ぎでフリーターのような生活になってしまった」といい、昨夏、中央大法学部を中退。昨年10月、イ社に派遣社員として登録した。
イ社は長男をPHS最大手『DDIポケット』へ、そこから『ヨドバシカメラ』の販売員に派遣された。こうした「二重派遣」は労働者派遣法では認められていない。
訴状には、長男が受けた暴行の様子が生々しく綴られている。
昨年11月29日。長男はヨドバシカメラ上野店の店員から「笑顔がたりない」と注意されたことで、イ社社員からバインダーで頭を約50回殴打された。同12月7日、同店内でミスを指摘され、同じ店員から3度のひざ蹴りを受けた。
さらに、ヨドバシカメラ錦糸町店に移った後の今年3月13日。「サービス早出」に10分遅刻したことから、イ社事務所で、上司が午後11時から約3時間半、暴行。上司は「お前の時給を100円に減らす」と脅し、「店のトイレを磨いた後、便器をなめさせる。明日は7時半に出社しろ」と迫った。
だが、長男は午前7時半の出社を拒み、「会社を辞める」と決意。激怒した上司が実家にまで乗り込み、冒頭の暴行に及んだのだった。
【派遣社員は「奴隷」】
下田さんは「息子はどこにでもいる真面目な普通の子。暴行を受け、不良と思われたくない」と気遣い、長男は「裁判を通じて人間としての尊厳を取り戻し、派遣社員の待遇を改善したい」と訴える。
下田さんは派遣社員の現状を憂慮する。
「多くの職場で少数の正社員が派遣社員を支配する構図になり、正社員は自らを『社員さん』と呼ばせ、私的なパシリまで押し付ける。まるで王様と奴隷。奴隷だから客や母の目の前でも平気で暴力に及べるのです」
この件に関し、DDIポケットは「裁判の場でわれわれの立場を明確にしたいが、係争中の件なので詳しいコメントは控えたい」。ヨドバシカメラは「コメントは出せない」としている。
ZAKZAK 2003/11/15
http://www.zakzak.co.jp/