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「謎の地下神殿ハイポジウムの全貌(3)」
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 11 月 11 日 04:13:02:ieVyGVASbNhvI

(回答先: 「謎の地下神殿ハイポジウムの全貌(2)」 投稿者 エンセン 日時 2003 年 11 月 11 日 04:11:43)

 
今週の疑問
「謎の地下神殿ハイポジウムの全貌(3)」
大地舜
11月3日

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写真と文 大地 舜
巨大な井戸
 それでは謎に満ちた地下神殿ハイポジウムにご案内しよう。
 入り口を入るとすぐ三本の石でできた門がある。この左側の奥まった場所に巨大な井戸がある(写真)。この巨大な井戸も見事に岩盤を彫られて作られている。中を覗くと青い水が貯まっている。この井戸があるため、多くの考古学者たちが、太古にこの神殿を建造した神官たちは、この洞窟の中で生活していたのだと信じている。
 巨大な石の井戸は観光ルートの歩道からはかなり離れており、観光客は見ることができない。地下神殿の他の部分は埋もれて存在が知られていなかったが、この大きな井戸だけは、土地の人々が最近まで使用していた形跡があるという。
 三本の石でできた門に戻り、深く降りていくと中央広間にでる。この中央広間を取り巻いて、いくつかの部屋がある。
 有名な「眠れる婦人像」は中央広間に降りていく通路の脇で見つかっている。


 広間の手前の右側には赤土が残されている場所がある(写真)。この赤土には人骨やら動物の骨、土器、装飾品などが含まれている。後世の研究のために、ここだけ発掘されていないのだという。


 さらに進むと、狭い広間があり、天井や壁には渦巻き模様の塗装がされている(写真)。赤く塗られたこの渦巻きに使われている塗料赤色オーカーは、有名なラスコーの洞窟(ウシの絵で有名・3万年前に描かれている)で使われているものと同じだ。


 この部屋の左側奥には、広間からつづく部屋がある(写真)。そのさら奥にも部屋があり、そこが、神官たちが住んだ部屋ではないかと思われているが、人が住んでいた形跡も、火を使った形跡も残っていない。


 広間からつづく部屋の壁には野牛の壁画があったと言われているが、現在は薄くてほとんど見えない。その壁画の反対側からはさらに地下へ行く入り口がある(写真)。3階建ての地下神殿ハイポジウムの最下部は、地上から10・6メートルの深さになる。


 もっともこの入り口から一番深いところに行くと、途中で階段が切れており、知らない人が階段を下りたら、地下の床まで数メートル墜落する羽目に陥る。この機能がなんのために存在するのかは、明らかではない。侵入者を防ぐ迷路になっているとか、いろいろ言われているが真相は不明。
 道を戻って、渦巻きの装飾のある部屋から右側の通路を辿ると、オラクルルーム(神託の間)にでる。この穴から声を出すと、不思議なことに低音しか響かない(写真)。男の低音で声を出すと、神殿中に声が響く。ところが女性の高音で話すと、声が全く響かないのだ。
 そうそう言い忘れたが、中央広間には黒と白のチェック模様が塗装されている壁もあった。

いつ誰が、なんのために地下神殿を建造したか
 これでだいたい地下神殿ハイポジウムの全貌が分かったことと思う。分からないのは、いつ誰が、なんのためにこの神殿を建造したかだ。
 実のところ、この神殿がいつ作られたかは不明だ。発見された土器などから紀元前3600年頃と推定されている。人骨などの炭素14法による年代測定では紀元前2400年頃という数字が出ている。
 人骨はアントン・ミフスッド博士の見解にしたがって、大洪水で新石器時代の墓地が押し流され、この洞窟に溜まったとすれば、新しくて不思議はない。実際のところ、マルタ島とその隣のゴゾ島にある巨石神殿の多くは紀元前2400年頃から土砂に埋まっており、それが19世紀になって発掘されている。したがって、地下神殿ハイポジウム本体の古さも、ジュガンティア神殿など、地上の神殿の古さも本当のところは不明なのだ。
 さらに、地下神殿ハイポジウムに見られる赤色オーカーで赤く塗られた渦巻き模様、黒いマンガン顔料と赤色オーカーを使って塗られた野牛、白と黒とチェック模様などは、どう見ても旧石器時代を思わせる。旧石器時代というと1万年から3万年も前だ。
 さらに地下神殿で2つ見つかっている『眠れる夫人像』も新石器時代のものとは思えない。世界中に存在する、旧石器時代に多く見られる豊満な女性像・地母神に良く似ているのだ。まさに3万年前によく見られる地母神を横たえた姿だ。
 つまり、地下神殿ハイポジウムも地上の巨石神殿も1万年以上前の建造物である可能性が高いのだ。なぜなら、私たちが知っている古代文明(古代エジプト・古代シュメール)よりも前に存在した未知なる文明の遺産であることだけが、確実だからだ。
 これよりも前の文明と言ったら伝説のアトランティス文明が有名だ。マルタ島の巨石神殿・地下神殿ハイポジウムはアトランティス文明の残映なのだろうか? 科学が進歩して、その可能性も否定できない時代になってきている。
 インドのカンベイ湾の海底の下からは1万年前の古代都市が発見されている。最終氷河期の終わりには巨大な洪水が発生したことが分かってきた。当時から、海面も一四〇メートルほど上昇している。1万年以上前に優れた文明があったとしたら、それらは現在、海底の下に埋もれているはずなのだ。マルタの海にも神殿が埋もれているという噂が絶えない。
 人類文明の歴史のなぞ解きは、まだ始まったばかり。読者の方も次の夏には、アトランティス文明の残映を見に、マルタ島に出掛けてみたらいかがだろう。おっと、そのときは、早めに地下神殿ハイポジウム見学の申請をしておくべきだ。夏だと、2週間前から予約でいっぱいなのだ。

http://www.kitombo.com/gimon/031103.html

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