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テロ特措法延長問題 揺れる自衛隊 現場は苦悩 幹部は期待【東京新聞】
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030929/mng_____kakushin000.shtml
召集された臨時国会の最大テーマはテロ対策特別措置法の延長問題。延
長が認められない場合、十一月一日で期限切れとなり、インド洋で活動し
ている海上自衛隊の艦艇三隻が引き揚げることになる。二年にわたって派
遣を続けた当の海自からは「やり繰りは限界に近い」との声も。だが、防
衛庁幹部は「新内閣は安全保障問題に取り組むための仕事師内閣。テロ特
措法の延長は、最初の一歩にすぎない」とみる。タカ派の評もある小泉政
権の“小手調べ”というのだ。 （社会部・半田 滋）
■『延長確実』やり繰り限界
「テロ特措法の延長が決まった段階で、あらためておわびしたい」。古
庄幸一海上幕僚長は十六日の会見で「四回目となる隊員はインド洋に派遣
しない」との以前の発言を撤回した。
「精神面、健康面で問題ないなら、派遣を希望する隊員の意欲を買いた
い」と続けたが、後日、海自幹部は「何回でも派遣しないと人のやり繰り
がつかず、活動が続かないのも事実だ」と苦しい舞台裏を明かした。
補給艦は三隻でローテーションを組み、乗員のうち既に八十三人が三回
目の派遣を経験した。派遣日数が合計三百十日間という乗員もいて、「帰
国して一、二カ月してまた派遣という例も珍しくない」（海自幹部）。
この間、ストレスと交通事故で乗員二人が現地で死亡。昨年暮れから今
年にかけて、禁止されている艦内飲酒が二隻の護衛艦で相次いで発覚する
不祥事も起きた。
あれほど騒がれたイージス護衛艦は現在、一隻も派遣されていない。北
朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、いざというときに日本海で監視活動に入
る必要があるためだ。
だが、海自はインド洋にイージス護衛艦を送り込む理由を、こう説明し
てきた。
「集団的自衛権行使を避ける意味から、海自は米軍の戦術統制指揮を受
けていない。このため航空機テロなどの情報がもらえず、自らを守るのに
イージス護衛艦の高いレーダー能力が有効」「老朽化したヘリコプター搭
載護衛艦ではクーラーが効かず、艦内温度は三五度にもなる。イージス護
衛艦は発電容量が大きく、居住性がよい」
自ら「必要」と強調しながら、派遣できないでいる現状は、インド洋で
の補給活動と北朝鮮監視という二正面作戦がほぼ破たんしたことを示して
いる。
そうした制服組の憂うつとは別に、防衛庁幹部は「テロ特措法の延長は
確実」とみる。民主党は衆院解散、総選挙を控え、イラクへの自衛隊派遣
に反対して存在意義を示したいところだが、与党がテロ特措法延長の腹を
固めているからだ。
だが、話はテロ特措法の延長問題だけでは終わらない。イラク派遣、有
事関連法の総仕上げといった懸案の安保問題が新内閣下では、次々に決着
するとの見方が庁内に広がっている。
その根拠のひとつは内閣の顔ぶれにある。国会答弁が巧みな石破茂防衛
庁長官が留任したほか、元防衛政務次官で若手防衛族の浜田靖一氏が防衛
庁副長官に就任し、「剛の石破、柔の浜田」（赤城徳彦前副長官）のコン
ビが誕生した。
さらに防災担当相になった井上喜一氏が早期成立を主張していた有事法
制の担当相兼務となったことも追い風ムードを高めている。
陸上自衛隊の幹部は「憲法改正まで突っ走りそうな勢い」と期待を込め
て話すが、間近に控えたイラク派遣への憂色は隠せない。「紛争が続くイ
ラクへの派遣が、なぜ日本の国益になるのか、隊員に説明するのは難しい」
と率直に話した。
■艦艇数、補給量は激減
一昨年１２月から始まった海上自衛隊によるインド洋での洋上補給は、
米国など１０カ国の海軍艦艇に対して行われ、今月８日までに２９１回で
約３２万キロリットル、１２０億円分の燃料を無料で提供した。現在は護
衛艦「はるな」「あさぎり」と補給艦「とわだ」が活動を続けている。
インド洋で活動中の各国艦艇は１０カ国２１隻で、半年前の１２カ国５
０隻に比べ、艦艇数は半数以下、ニュージーランドとオランダは撤退した。
米国は日本より少ない２隻を派遣しているにすぎない。海自による洋上補
給量も減り続け、派遣を続ける意義が問われている。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。