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(回答先: とても恥ずかしい光速と宇宙に関する疑問と質問【狂的電磁波さん、他の方もお願いします】 投稿者 無花果 日時 2003 年 9 月 21 日 14:19:39)
アインシュタインの相対性理論は、光が真空中で一定の速度で進行するという仮説で、私たちの住む世界を矛盾なく記述しようというものです。
光速不変の原理が地球上で成立しているように、宇宙の果てで成立しているかどうかは誰もわかりません。
しかし、相対性理論が提唱されて以降、賛成派、反対派がさまざまな観測、実験を繰り返した結果、相対性理論を覆す事実は出てきませんでした。
そこで、私たちが住む宇宙では、すべての場所で、真空中で光速が一定であると考えることが、その他の物理学的事象を考える上で、非常に都合が良いとされるようになったわけです。
物理学的現象は、宇宙の果てからミクロの分子、原子レベルまで共通していますから、分子、原子、量子、さらに超弦理論の世界まで含めて、相対性理論が無矛盾であることは、観測でも実験的にも、今のところ確認されています。
もちろん、光速度が真空中でも不変ではないという原理に基づいて世界を記述することは可能ですが、アインシュタインの相対性理論ほど簡潔で、他の領域とも無矛盾で記述できる原理はまだ登場していません。
宇宙のすべての現象を観測することはできませんから、あるところ以降は仮説を構築することになります。（1）で「光速が異なる可能性はあるのでしょうか」という問いは、異なると仮定したときに、たとえばその原理を「非相対性理論」と名付けるとして、その原理で、他の現象も無矛盾でうまく記述できるかどうか大いに疑問です。
（2）の問いも、アインシュタインの相対性理論を受け入れる方が、ニュートンの時代からの多くの物理学者、実験科学者の研究の成果を活用できるので、非常に効率的である、というのが大きな理由になると思います。清家新一氏の仮説は不幸にして未見ですが、その仮説を受け入れるとして、その他の物理現象に清家氏の仮説を矛盾なく組み込む努力は並大抵のものではないと思います。
ですから、「実証されていない二つの仮説の対立に対して、私たちはどのような知的態度を取るべきでしょうか」という問いに対しては、1）アインシュタインの特殊および一般相対性理論は数多くの実験および観測でほぼ確からしいことが確認されていること、2）清家氏の仮説は、そうした実験および観測の結果をどう矛盾なく説明できるのか、3）相対性理論は光速だけでなく分子、原子、量子レベルまで関わっていて、大きな矛盾は出ていないことについて、どう説明できるのか、清家氏の仮説はその他の物理現象に対してどのように関連づけられるのかを検証する必要があります。
（3）および（4）は、そうだとしたら、他のさまざまな現象についても矛盾なく説明する必要があります。
（5）は、「各天体、各恒星系、各銀河系等が固有の時空間を有し、かつ固有の時空間ごとに光速が異なる」かどうかはともかく、現在でも観測および実験は、私たちの宇宙の本の一部についてのものにすぎません。当然、これまでの諸説がすべて覆される可能性があります。もちろん、新しい仮説は、これまでの観測および実験データを矛盾なく説明できるものでなければなりません。
（6）は、どなたかも述べられていましたが、光の速度は媒体によって変化します。また、宇宙空間は完全な（理論的な）真空ではないので、場所によって光速は多少変化するでしょう。もちろん、その変化を観測できるかどうかは別の問題です。
（7）は、物理学は観測および実験に基づいた仮説の体系ですから、数理的な体系とは別の次元に位置するものと思います。
ゲーデルの不完全性定理は2つあり、1つは、「自然数論の公理を含む無矛盾な形式的体系には決定不可能な論理式が存在する」（第一不完全性定理）というもので、もう1つは、「自然数論の公理を含む無矛盾な形式的体系の無矛盾性は、その体系内では証明できない」（第二不完全性定理）というものです。
ここで、論理式とは，数学の命題を形式的に表現したもののことです。
ゲーデルについては詳しくないのですが、ここに紹介した通り、不完全性定理は自然数論や論理式の世界で成立するものです。
物理学はあくまでも現実の世界を対象としており、しかもその領域も非常に限られたものです。
生命現象、精神現象、社会現象、経済現象、進化論、宇宙論（起源と終末）などについては、まったくといっていいほど無力です。
まったく夢のない話しで恐縮ですが、ちょっと気になったもので。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。