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高齢化・年金危機にどう対処するか フォーリン・アフェアーズ
http://www.asyura.com/0310/hasan29/msg/143.html
投稿者 エンセン 日時 2003 年 9 月 23 日 16:47:38:ieVyGVASbNhvI

 
2015年、日本人の4人に1人が高齢者に。その時、年金システムは・・・

このまま高齢化が進めば、2025年には、高齢者1人を2人の現役世代で支えなければならなくなる。現状のままでは、いずれ生活水準は10年前の水準に落ち込むだろう。年金財政は悪化し、公的債務は2010年にはGDPの2倍規模に膨らむと予測される。

高齢化を乗り切る手立てはあるのか。年金システムを持続可能にする方法はあるのか。いかなる年金制度改革が必要なのか。マーティン・フェルドシュタインほか、超一流の経済学者・論客が高齢化・年金問題の展望と処方箋を示す。
 
http://www.foreignaffairsj.co.jp/themeA_vol13.htm
 
 
 
高齢化という灰色の夜明け ピーター・G・ピーターソン
 人口のほぼ一九%が高齢者で占められるフロリダ。これと同じ状況に先進諸国が直面するのは、そう遠い未来の話ではない。二〇〇三年にイタリア、二〇〇五年に日本、二〇〇六年にドイツがもう一つの「フロリダ」となる。イギリス、アメリカ、カナダもほどなくこれに続く。

  先進国社会の急速な高齢化がもたらす諸問題とコストは、投げだすのが合理的と判断しかねないほどにあらゆる意味で膨大である。各国の貯蓄は瞬く間に底をつき、財政が火の車になるだけではない。国内の政治力学、国際的資本の流れ、南北の力関係が逆転し、先進諸国から利他的な外交要素がなくなり、グローバルな安全保障が極度に不安定化する危険さえある。

 「自らの運命を管理し、より持続可能なコースへと道を変える時間的余裕があるうちに、現状を変革するしかない」。決断を下すべきはいまで、「世界高齢化サミット」を開催し、この問題のための国際機関を設けることが急務だ。さもなくば、世界は「持続不可能な経済的負担と政治的・社会的苦難の後、悲痛な動乱の時代」へと突入することになりかねない。

先進国の高齢化問題を管理していくには ピーター・G・ピーターソン
 
 先進国を中心に急速な高齢化・少子化が進み、一方で、途上世界がバランスのよい人口構成を保ち、労働力の世界的供給源となるとすれば、二十一世紀の世界にはどのような潮流が生まれるだろうか。高齢化・少子化は、先進国の社会、政治、文化、安全保障などさまざまな分野に深刻な問題を引き起こすと予測するピーターソンは、とかく国内的な議論に陥りがちな年金や高齢化問題をグローバルな文脈で位置づけ、分析する。たとえば、社会の高齢化にともなって深刻化する、国内の年金資金の積み立て不足という問題は、国家財政を破綻させるだけでなく、世界的な資金の流れを覆すおそれもあり、そうなれば、グローバルな金融秩序に大激震がはしりかねない、と。

 六月下旬に来日したピーター・G・ピーターソン米外交問題評議会理事長による高齢化問題をテーマにした朝日新聞社でのスピーチ・テキスト。

高齢化が変える日本経済と外交 ミルトン・エズラティ
 
 日本の人口高齢化は、現役労働力の生産能力と年金生活者の消費需要のインバランスを軸に広範な国内的緊張を引き起こし、その余波は日本の対外政策にも波及するだろう。現実には「輸出から輸入へ」と貿易パターンが変化し、高い貯蓄率を低下させ、貿易黒字を赤字へと転じさせるだけでなく、企業の海外進出や市場の自由化をいっそう促すことになろう。そして、日本企業の海外生産能力その他この国の需要を充たす「大切な富」の多くが、海外に存在するようになれば、「より積極的で明確な外交政策の実施」が不可欠となり、さらに、日本とアジア諸国とのつながりがより複雑になり特別化してゆけば、米国との共通利益のない独自の安全保障の必要性も高まり、日本は「外交、そして、必要であれば軍事領域について、独自路線を取らなければならなくなるかもしれない」。

 この変化を、地域秩序の不安定化要因としないための方策はあるのか?

年金は義務的個人積み立て制度で マーティン・フェルドシュタイン
 
 単年度賦課方式の公的年金制度を今後も維持しつづければ、二〇三〇年には、経済成長も雇用創出も期待できないほどに税率を引き上げざるを得なくなるが、公的年金システムから「義務的な個人年金積立方式」へと制度を移行させれば、はるかに軽い税負担で、公的年金と同じレベルの給付を確保できるはすだし、「年金積立貯蓄の増大がもたらす投資ストックの増大による経済の活性化によって、「国民所得、実質賃金、全体的な生活レベルの上昇も十分期待できる」。

 制度移行に批判的な人々の指摘、つまり、制度移行期の第一世代が、二重負担を強いられるという批判はまじめに計算してみれば、ひどく誇張されているだけでなく、間違っている。義務的個人積立制度への移行は、「社会保障制度の将来のコストを劇的に削減するだけでなく、低所得と中間所得層の人たちの生活水準を劇的に向上させる可能性を秘めており、これ以外に、社会の殆どの人々の生活水準を永続的に大きく高める政策は考えられない」。

米外交問題評議会シンポジウム
世界的年金危機にどう対応するか ピーター・G・ピーターソン
ロバート・ホーマッツほか
 
 「 経済段階が(先進国、開発途上国)と様々に異なり、しかも、大きく異なる経済システム、家族構成、政府構造、文化的伝統をもつ世界各国での人口の高齢化に対応する政策を策定するという課題はそれこそ一様ではない。だがそれでも、これはわわわれのすべてが直面する課題である。いかに幸運だったとしても、人類が予見できる将来に社会人口の高齢化という問題に直面させられるのは間違いない。われわれの後を担う世代が幸運に恵まれたとしても、彼らは、平均寿命の伸び、より効率的な医療ケアー、そしておそらくは否定的余波を伴う人口増大という課題に対処する道筋を描き出さなければならないのだ」。(アリス・リブリン:連邦準備制度理事会、副議長)

http://www.foreignaffairsj.co.jp/themeA_vol13_sum.htm#3 
 

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