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英顧問自殺:独立調査委、1週目の審問終える 核心情報も多数
[毎日新聞8月15日]
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030816k0000m030020000c.html
イラクの大量破壊兵器に関する英政府の情報操作疑惑の渦中で命を絶ったデビッド・ケリー氏の自殺背景を調査している独立調査委員会(ハットン委員会)は14日、1週目の審問を終えた。調査は序盤にすぎないが、早くも疑惑解明の核心となる情報が多数もたらされた。また徹底した調査と情報開示姿勢は、国民の信頼を得始めている。1週目の4日間の調査を振り返った。【ロンドン福本容子】
■判明したこと
ケリー氏は国防省顧問の科学者だったが、生物・化学兵器に関する豊富な知識とイラクでの国連査察経験から、大量破壊兵器問題の第一人者との評価を得ていた。情報機関の高官から情報分析のためひんぱんに助言を求められ、最高機密情報に接する立場にあったことが、委員会に提出された政府資料などからわかった。
一週目の審問で判明した最大のポイントは、英政府が昨年9月末に公表したイラク大量破壊兵器の報告書に「イラクは45分間で生物・化学兵器を配備できる」など不確実な情報を盛り込むなどして、イラクの脅威を不当に誇張したとケリー氏がBBC記者に実際に打ち明けていたことが裏付けられた点だ。
決定的だったのは、BBC側が委員会に提出したケリー氏の肉声を録音した取材テープだ。ケリー氏は「イラク戦争正当化のため首相府が『45分間情報』に飛びついた」とする報道の情報源となったと指摘されたことについて、下院外交委員会公聴会の証言で「覚えがない」と全面否定した。だがテープには、同じ内容を語るケリー氏の肉声が残っていた。
14日の審問では、これまで政府が開示を頑なに拒んできたイラク報告書の草案が始めて公開された。「45分間情報」が、報告書公表2週間前に初めて挿入され、最終版で表現もより強い内容に変わったことが明らかなった。このためケリー氏の発言を基に疑惑を伝えたBBC報道が大筋で正しかったとの見方が強まっている。
調査委で明らかになった事実から、ケリー氏の下院外交委公聴会での一連の証言は、偽証だった可能性が強まっている。一方でケリー氏が公聴会での証言の数日前、国防省の人事責任者から「これまでの説明と違う話が表面化すれば、重大な処分がありうる」と半ば脅されていたことも証拠文書から判明した。こうした圧力が偽証につながり、自責の念にかられたケリー証言が自殺した可能性も浮上している。
■公判なみの審問
「これは裁判ではない」――。ハットン卿は、1日の予備審理でそう宣言した。ケリー氏、政府、BBCの誰が正しいのか判定する法廷ではないという意味だ。だが、審問の徹底ぶりは公判そのものだ。
審問は月曜から木曜まで連日、午前10時半から午後4時15分まで1時間の昼休みをはさみ行われている。場所はロンドン中心部の王立裁判所。午前9時の開門前から、報道陣や傍聴の一般市民数十人の列ができる。
午前10時半、全員起立し、ハットン卿が壇上の判事席に着く。質問の大半は弁護士が代行するが、ハットン卿も時折、質問する。
4日間の審問で、政府内部文書、会話メモ、関係者間で取り交わされた電子メールなど、委員会に提出された証拠資料は膨大な量になった。
ケリー氏への取材を基に「45分間情報」疑惑を最初に報道したBBCラジオのギリガン記者は、取材メモに加え、取材日を記録した手帳の写しや、ケリー氏取材の場となったホテルで注文したコーラ代4ポンド15ペンス(約800円)のレシートまで委員会に提出し、証拠として公開された。
こうした証拠資料と質疑の全記録はその日のうちにインターネット上で全て公開されている。テレビ中継こそ禁じられたものの、世界中が調査内容の全容を知ることができる仕組みだ。
だがハットン委員会が関心と期待を集めている最大の理由は、調査対象を狭い意味でのケリー氏の自殺原因に限定していない点だ。委員会は今後、ブレア首相やフーン国防省、首相側近のキャンベル戦略広報担当官ら重要人物、ケリー氏の遺体を発見した警察、ケリー氏の遺族やケリー氏が属していた宗教団体関係者まで幅広い審問を行う予定で、最終的に政府政府による情報操作疑惑の全容解明につながる可能性も出ている。
( 2003-08-15-18:03 )