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(回答先: 米独立系「囚人惑星」(prisonplanet)イラク米兵劣化ウラン禍報道言論封鎖 投稿者 木村愛二 日時 2003 年 8 月 03 日 20:28:38)
IPSnews
http://www.ipsnews.net/jp/index.html
http://www.ipsnews.net/jp/2003/07/17.html
■枯れ葉剤:ベトナム戦争の「悪夢」抜け出せぬ米国
退役軍人と家族を襲うダイオキシン禍
ようやく動き始めた被害者への救済策
17/07/2003
ベトナム戦争終結(米軍のベトナム撤退)からちょうど30年が経つが、米国政府は今も、同戦争の「悪夢」から抜け出せないでいる。当時、米軍がベトナムのジャングルに散布した「エージェント・オランジ」と呼ばれる強力な枯れ葉剤の後遺症が、従軍した米兵たちとその家族に出ているからだ。米議会ではそうした被害者たちの救済に向けた法案が提出された。枯れ葉剤の被害に苦しむ米国民とベトナム国民の実態、それへの補償対策の現状を追った。
【ワシントンIPS(カーティン・ドーエンハウアー記者)】30年前、米軍部隊は共産勢力の一掃を狙い、ベトナムの熱帯ジャングルなどに「エージェント・オレンジ」と呼ばれる強力な枯れ葉剤を空中から散布した。その後遺症が、ベトナム国民にだけでなく、従軍した米兵やその家族に今も出ている。
既に世代を重ね、従軍兵士からすると今は3世代目になるが、その中に化学殺虫剤の汚染が原因とみられる先天性失損症が出ており、被害者が収まる気配はまったくない。ベトナムでは今も、65万人が枯れ葉剤による慢性的な病気に苦しみ、これまでの死者数は50万人にも達するといわれる。
▽被害者の幅広い救済目指す
「枯れ葉剤の被害は、歴史の中に埋没した問題では決してない。反対に、その恐ろしさと被害状況を今後も訴え続けていかねばならない」。こう語るのはカナダ・バンクーバーで環境被害問題の相談役を務めるウェイン・ドゥウェルニチェク医師だ。
同医師はこのほど、「和解と開発財団」など国際的な非政府組織(NGO)が開いた記者会見に出席し、今も続く枯れ葉剤による被害実態などを明らかにした。
「エージェント・オレンジ」の被害者たちとその家族は、損害賠償を求める闘いを、既に1970年代から続けているが、法廷闘争は時間が掛かるため、決着を見たケースはほとんどが法廷外での交渉においてだ。
議会の場で枯れ葉剤被害問題を取り上げている民主党のレーン・エバンズ下院議員(イリノイ州)は近く、下院の退役軍人問題委員会に、ベトナム退役軍人の子供たちの救済に向けた新法案を提出する。同議員はさらに来年、救済対象をさらに広げた次の法案を議会に提出することにしている。
米政府は枯れ葉剤散布の影響を受けた米軍兵士の救済に、ようやく重い腰を挙げようとしているが、肝心のベトナム人被害者への救済には相変わらず消極的だ。
▽見向きされぬベトナム人被害者
今年4月にエール大学で開かれた会議は、「米国はベトナムで、史上最大の化学戦争を行った」と結論づけた。それなのに、米国は被害を受けたベトナムの一般市民たちに対し、何らの賠償も行っていない。
「有害物質のダイオキシンを含み、被害は兵士たちだけでなく、一般市民にも及んでいる事実からして、枯れ葉剤は立派な『大量破壊兵器』と呼んでも差し支えない。枯れ葉剤の散布時、米軍が狙ったのはジャングルと食料供給の破壊だったが、最大の被害を受けたのは人間だったのだ」と語るのは「和解と開発財団」のジョン・マコーリフ理事長だ。
ベトナム国民はこれまでの30年間にわたり、ダイオキシンの直接被害にさらされてきたが、米国はその被害者や家族を救済する動きは見せていない。
▽かつての女性闘士も米政府の姿勢を批判
こうした米国の姿勢に「米政府はなかなか動いてくれない。米国には枯れ葉剤問題と被害者救済に真剣に取り組むよう直接要請したが、梨のつぶて状態だ。両国関係は正常化したのだから、米国はこの問題へ真摯に対応すべきだ」と批判するのは、有名な元ベトコン女性兵士で、その後副大統領も務めたグエン・チ・ビン女史だ。
同女史はさらに、米国の責任はベトナムにとどまらず、カンボジアとラオスにも及ぶと指摘した上で、「米政府当局者は現地に行き、被害状況を自らの目で確かめるべきだ」と訴えている。
マコーリフ理事長は「常識的に見て、米国が枯れ葉剤散布による責任をとるのは自国民よりも、相手国民なのは明確だ。それでも責任をとらないのは、この国が政治的、心理的に国際刑事裁判所を認めていないのと相通じるものがある」と指摘する。
▽実証されたダイオキシン汚染
ドゥウェルニチェク医師と仲間の環境問題専門家たちは最近、ベトナム戦争中に使われた枯れ葉剤のダイオキシン濃度を調べたところ、「エージェント・オランジ」は自然に拡散・消滅することはなく、地中にいつまでも残留し、その濃度もカナダの安全基準の100倍にも達していることが分かった。
「これだけ明確な“証拠”があるにもかかわらず、米国はベトナム人被害者救済に動こうともしない」と同医師は米国の無策ぶりを批判する。
エージェント・オレンジは、土中や人体にとどまったままとなる有毒のダイオキシンを含んでいる。世界保健機関(WHO)当局者は「ダイオキシンが一度体内に入ると、脂肪中に溶け込みながら体内に残留する」とその特性を説明する。
▽因果関係をついに認める
米軍はベトナム戦争中の1961年から71年までの10年間以上にわたり、当時の南ベトナム領内に除草剤1900万ガロンと、ダイオキシンを含んでいる枯れ葉剤「エージェント・オレンジ」1200万ガロンを、上空から散布した。
ベトナム戦争の退役軍人の中には慢性的な病気を患う者がいたが、米政府はこれと除草剤との因果関係を長いこと認めてこなかった。米政府の退役軍人省が退役軍人の医療検査を認めたのは、戦争終結から3年後で、しかも検査対象者数はごく限られていた。
そして、国防総省がエージェント・オレンジと人体への影響を明確に認めた報告書を作成したのは、実に1988年のことだった。この中で国防総省は枯れ葉剤の影響が、先天的欠損症、神経系統の欠損、すべてのガンなど人間の生命を脅かす28症例と深い関係があると指摘した。
国防総省はもはや言い逃れができない状況に追い込まれたわけだ。軍事科学者のジェームズ・クレー医師は同年、「除草剤使用を開始したが1960年代には、国防総省はダイオキシンが人体に悪影響を及ぼす可能性に気づいていた」を内容とする書簡を、議会の枯れ葉剤調査委員会に送っていた。
当時、枯れ葉剤が敵の頭上に散布されたこともあり、クレー医師は「米軍側でその危険性を指摘したものは誰一人いなかった」とも述べた。