現在地 HOME > 掲示板 > 戦争35 > 365.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 《中東2国家共存めざす》イスラエル:一部入植地撤去 パレスチナ:武装闘争を放棄 東京新聞 投稿者 小耳 日時 2003 年 6 月 05 日 20:37:59)
思いのままにならないパレスチナ自治政府のアラファト議長に代わり、アッバス首相を国際舞台へ引き出し、親米ア
ラブ諸国の支持を取り付け、ユダヤ人入植地問題でイスラエルのシャロン首相に圧力をかける−。三、四の両日、紅海
沿岸の保養地シャルムエルシェイク(エジプト)とアカバ(ヨルダン)で、中東新和平案(ロードマップ)の実現に向
け、相次いで首脳会談を重ねたブッシュ米大統領にとって、今回の成果は筋書き通りにみえる。だが、現実には“綱渡
り”の連続で、和平への道は平たんではない。(アカバで、カイロ支局・嶋田昭浩、アメリカ総局・豊田洋一)
▼選別
「アラブ諸国は、アッバス首相の自治政府改革の努力に絶対的な支援を表明した」
パウエル米国務長官が三日の首脳会談後、記者団にこう強調したのは、集まったアラブ穏健派の国でさえ、必ずしも
米国が狙う“アラファト外し”では一致していないことの裏返しといえる。
二日夜、パウエル長官やアラブ各国外相らは深夜に及ぶ協議を続けた。それでも、全首脳が参加する会談の開始が約
二時間遅れたことが、その間の事情を物語る。
米国は今回、アラブを二分する手法を採った。
イスラエル軍は先月二十一日、レバノンからパレスチナ自治区ガザに向かっていたとされるイスラム教シーア派組織
「ヒズボラ」の武器密輸船を摘発。レバノンやヒズボラを支援していると米国が非難するシリアこそ、イスラエルとの
和平交渉の主要な当事者だが、米国はこの事件を受け、両国を会談から除外した。
その一方で、親米路線を取り、イスラエルと国交を持つエジプトとヨルダンに会談の開催地を任せ、そこに、世界最
大の原油埋蔵量を持ち、イスラム教の聖地を抱えるアラブの盟主・サウジアラビアを絡ませた。
▼圧力
サウジの実権を握るアブドラ皇太子は昨年、「イスラエルが第三次中東戦争(一九六七年)で占領した地域から全面
撤退する代わりに、アラブ諸国がイスラエルと外交関係を樹立する」という「和平と土地の交換」を提案した。米国は
今回の新和平案で、このアブドラ提案に言及し、サウジを“懐柔”。
この夏の米軍のサウジ撤退やイラクのフセイン政権崩壊など、中東の政治地図が大きく塗り変わる中、一昨年の米中
枢同時テロ後、米国との関係がきしみ始めているサウジにとって、首脳会談は米国との関係修復の好機だ。パウエル長
官らもそこを計算したはずだ。
三日夕、ブッシュ大統領はアブドラ皇太子と会談した。内容は明らかにされていないが、米国頼みのイスラエルにと
っては無言の圧力だ。
今回の首脳会談という舞台はうまく演出できたが、「米国にとって和平実現への正念場はこれから」(中東外交筋)
であるのは間違いない。
▼リスク
圧倒的な軍事力でイラク戦争に勝利した自信を背景に、ブッシュ大統領はパレスチナ和平に本格的に乗り出した。一
方、欧州連合(EU)やアラブ諸国は、パレスチナ人によって選ばれた元首としてアラファト議長との関係を維持して
おり、アラファト外しを狙う米国と足並みがそろわない。
今回、ブッシュ大統領の仲介で、シャロン、アッバス両首相による和平交渉は順調に滑り出したようだが、今後、交
渉が暗礁に乗り上げたり、パレスチナ情勢が安定しなければ、大統領の権威失墜は避けられない。
米国内では、ブッシュ大統領の再選戦略を左右するキリスト教右派やユダヤ系団体から新和平案に異論が噴出してい
る。
クリントン前政権もエルサレムの帰属問題など最終局面で、とん挫したパレスチナ和平交渉。ブッシュ大統領自身、
「困難なプロセス」と評し、予防線を張っているが、米国の関与なくしては、和平達成が不可能なのも事実。国際的な
批判にさらされているブッシュ外交の真価が問われている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030605/mng_____kakushin000.shtml