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(回答先: 日中首脳:未来志向の関係発展へ協力-胡主席、拉致問題解決を支持 [ブルームバーグ] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 31 日 21:33:11)
両首脳の初顔合わせとなった31日の小泉純一郎首相と胡錦涛中国国家主席の会談は、日中関係のトゲである小泉首相の靖国神社参拝について互いに言及を避けるなど、友好を政治的に演出する場となった。しかし、歴史問題をめぐる根深い相互不信がこれで解消されたわけではない。対立を封印し、とりあえず首脳交流再開にこぎつけたものの、日中関係が完全に改善軌道に乗るにはなお時間が必要とみられる。
◇日本「北」「新型肺炎」に重点
小泉首相と胡主席の首脳会談は、中国指導部交代をきっかけにぎくしゃくムードの仕切り直しを狙ったものとなった。首相は「未来志向」、胡主席は「新世紀」というキーワードを多用したのがその表れだ。しかし、言葉で装いを凝らし、北朝鮮や新型肺炎(SARS)問題で協調の実績を積み上げても、それで歴史のトゲが消滅するわけもない。来年の靖国参拝までの「賞味期限付き友情」が、危うさをはらんでスタートした。
転機は今年1月、小泉首相の靖国参拝だった。中国側はそれまで「二度と参拝しないと明言してほしい」(武大偉駐日大使)と厳しい条件を掲げていたが、3度目の参拝で逆に強硬姿勢を引っ込めた。「小泉首相を誰も止められない」という日本の事情と、胡新体制発足を間近に控えた中国政治の日程をにらみ、問題の置き場所をずらす打開策作りが進んだ。
「四畳半で顔をつき合わせていれば話が煮詰まってついケンカもする。部屋の外へ目を向ければ2人でできることがたくさんある」。外務省幹部は仕切り直しの構図を「2国間関係」から「世界の中の日中協調」への位置付けと説明する。格好のテーマとなったのが北朝鮮問題とSARS対策。首脳会談でも両首脳は二つの問題での順調な協力をたたえ合った。
日本の政界にもこの転機を生かそうとの動きがある。9月の小泉首相の自民党総裁選に弾みを付けようと、「小泉8月訪中」を探る試みだ。5月に山崎拓自民党幹事長ら与党3幹事長が訪中したのも、小泉官邸との役割分担だった。「過去(靖国)」を脇に置いて現在の国際課題、内政運営を優先する思惑があって、とりあえず首脳会談実現までこぎつけた。
しかし、胡主席は会談で靖国問題の比重を下げる半面、台湾問題でこれまでより厳しく日本の姿勢を問いただす姿勢をのぞかせた。「靖国」をめぐる日本側の楽観論が新たな難題に苦しむ予兆は、首脳会談に既に組み込まれている。【サンクトペテルブルク伊藤智永】
◇中国 多極化外交、対日重視へ
3月に就任した後、4月から5月にかけ菅直人民主党代表や与党3党幹事長ら訪中した日本要人と相次いで会談した胡主席は、対日関係改善に前向きな姿勢をみせ、「靖国」問題には一切言及しなかった。こうした姿勢は31日の日中首脳会談でも貫かれた。
中国では新政権発足と前後して、対日関係改善を訴える論文が相次いで発表された。中国人民大学の時殷弘教授は4月の論文「中日接近と外交革命」で、国益に根ざした戦略的な日中関係構築を提唱。人民日報の馬立誠・論説委員も昨年末、民族主義的な「反日」を批判した論文を発表して論議を呼んだ。両氏とも日本専門家でないことや、「日中の過去」より「世界の変化」を重視するスタンスが似通う。
二つの論文は、発表時期や経緯などから外交当局の意向を反映したものとみられている。米同時多発テロ、イラク戦争後の国際情勢の急速な変化を受け、中国でも外交政策の全体的な見直しが進んでいるからだ。
中国は、同時テロ後の世界で米国のユニラテラリズム(単独行動主義)と中国などが目指す多極化の綱引きが続くとみている。時教授は「歴史問題を棚上げしてでも実務的な中日関係を築く必要がある」と指摘、多極化外交を進める上でも日本との関係安定を重視すべきだとの考え方が胡体制の底流にもある。
ただ、日本側が望む小泉首相の公式訪中などについて、胡主席は明確な回答を示さなかった。小泉首相の靖国神社参拝問題に対し中国国内の反発はまだまだ根強く、すんなり首脳相互訪問に応じるかは不透明だ。
胡主席は4月の菅代表との会談で、相互訪問は「ふさわしい雰囲気と条件の下で実現するのが望ましい」と語っていた。靖国神社参拝に言及しなかったことと合わせ、中国側は今後の日本の出方を見極めながら対日外交を戦略的に展開していくとみられる。中国外交筋は「出方を待つのも外交だ」と解説した。【北京・浦松丈二】
【サンクトペテルブルク伊藤智永】中国新指導部発足後初の日中首脳会談で、小泉純一郎首相は胡錦涛国家主席と個人的親交を築こうと心を砕く様子をみせた。
会談前日の30日夜、記念行事でイサク聖堂見学の際、胡主席の姿を見つけ駆け寄って握手を求めた首相は、コンサートと晩さん会でも隣に座って積極的に話しかけ、中国酒のマオタイや日中文化論議を交わした。
会談で首相は「昨晩3度も会い話が弾んだのでとても初めて会談するとは思えない。胡主席に会えたのでロシアに来てよかった」と切り出し、終わり近くでも「同じ1942年生まれなのに随分若く見えますね。私より10歳くらい若いんじゃないか」と同世代の親近感をアピールした。
「小泉嫌い」とも言われた一世代上の江沢民前主席からの代替わりを機に何とか首脳同士の関係を好転させたいという意気込みだが、年1回参拝を公約している首相の来年の靖国参拝時、胡主席がどんな態度に出るかは予断を許さない。
■日中首脳の主なやりとり
【サンクトペテルブルク伊藤智永】日中首脳会談の要旨は次の通り。
◆歴史認識
小泉純一郎首相 戦前の一時期、対立の歴史があったが、日中2000年は友好の歴史だ。
胡錦涛国家主席 両国には一時期、不幸な過去があったが、善隣友好が主流だ。歴史をかがみとすべきだ。歴史が示すように両国の平和で友好な協力が両国民とアジア、世界に利益をもたらす。新世紀の日中関係発展のため、歴史と経験から教訓を学ぶべきだ。歴史と台湾の問題を適切に処理してほしい。相手の国民感情を傷つけてはならない。
◆相互訪問
首相 互いが都合のいい時に相互訪問したい。 主席 お互いに実現するよう努力しよう。
◆北朝鮮問題
首相 中国の役割は重要だ。日中韓、ロシアも含め核開発をやめさせなければならない。
主席 米中朝3カ国協議は平和的解決のためのスタートであり、まだ長い道のりが必要だ。当面は3カ国協議を続けていくが、日韓両国の参加への希望は十分理解する。チームワークを強化したい。拉致問題については、日本の皆さんが対話を通じて適切に解決することを支持する。
◆高速鉄道
首相 産業界も関心がある。実現すれば日中協力の可能性が広がる。
主席 リニアモーターカーかレール式か検討している。日本との協力も検討していきたい。
[毎日新聞6月1日] ( 2003-06-01-01:51 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20030601k0000m010100000c.html