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(回答先: 山口組内 後藤組 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 12 日 03:39:19)
フロント企業
あるヤクザ幹部が「俺たちには銀行以外は全部ある。ノンバンクとバンクはやはり違うからな」と豪語した。すでにヤクザはすべての業種に手を出しているというのである。
「フロント企業」とは、「暴力団を背景とした企業活動を行い、その利益を暴力団に提供している企業、またはその経営者」の事を指すというのがこれまでの定義だった。
そのひとつの形態が、暴力団が設立し、経営している企業だ。
また、別の形態として、暴力団の準構成員など、暴力団と親交のある者が経営する企業で、暴力団に資金提供を行うなど、暴力団組織の維持運営に積極的に協力している場合がある。
ヤクザの世界でタニマチとかダンベと言われるスポンサー的企業経営者もこの中に入る場合がある。タニマチはきわどい商売をする場合や、取り引き企業についている別組織のヤクザとのトラブルがあった場合などにボディー・ガードをしてもらうなどのメリットがあるのだ。しかし、様々に産業構造が変化している今、もうひとつ新しい形態がフロント企業のあり方に現れて来ている。
それは、資本金や運営資金は暴力団の資金でありながら、経営陣には暴力団関係者と思われる人物は見当たらず従業員たちもまったく普通の会社に勤務していると思い込んでいるような企業である。
今、一般の企業はこの新しい形態のフロント企業を警戒している。
危ない会社と取り引きしないための企業防衛なのである。
新しい形のフロント企業は、また、暴対法の産物とも言える。
暴力団も、食うために、そこまで偽装しなければならなくなったのだ。
IT企業にもフロントがあると言われるなど、情報は錯綜している。
今、暴力団はフロント企業となって、私たちのすぐ隣にいる。
よく一緒くたにされるが、元々総会屋とヤクザは違うものだった。
企業がヤクザを使うのは、総会運営とはまったく別の役割のためだった。
そうしたヤクザが総会屋に入り込んだのは、高度経済成長末期、総会屋がヤクザの暴力を背景とした事による。
総会屋は「銀行から給料、証券会社からボーナス、鉄鋼メーカから小遣いを稼ぐ」と言われていた。割のいい稼ぎだったのである。
そのため、総会屋に入り込む者が増え、総会屋同士のぶつかり合いが生じた。
そこで、ヤクザとの関係を持ち、それを誇示する事で総会屋の力量とした。
つまらない話だが、大企業幹部が女とトラブルを起こし、ヤクザが絡んで来た時などの交渉は、ヤクザと関係を持っている総会屋の仕事だったのである。
こうして総会屋の仕事を知り、企業の裏情報を持つなど、ノウハウをつかんだ暴力団が自らも総会屋となって行った。これが経済ヤクザの走りである。
日本企業は閉鎖的な体質を持っている。
海外でなら、株を買い占めてその企業を買い取る例が多々あるが、日本では、その株を買い戻してしまう。その時にも裏の力が動く。
株の買い戻し価格は、暴力を背景とした力関係次第なのである。
ここに経済ヤクザや「企業舎弟」がはびこる土壌があった。
そして、昭和60年代に始まるバブルの時代に、それまで裏の経済社会で動いていた暴力団が表向きは無関係な企業を持つ事で表経済に進出して行った。
そうした先兵役となった企業と経営者を暴力団の企業舎弟、あるいはフロント(先兵)企業と呼ぶようになったのである。
現在、暴対法で25団体が指定されている。
これらの団体が関わっている企業を中心に、企業名簿が作られている。
一部のメディアでも取りざたされている「マル秘企業リスト」である。
本誌が入手したものは約400社近い会社名が掲載され、会社名、事務所名、所在地、役員・代表者名、営業案内といった項目が記載されている。
一見しただけでは企業の得意先リストと違わないものだ。
しかし代表者名の項目には(組織上の肩書、実質的支配関係)という注釈がつけられている。
「○○会常任相談役、△△会理事、××組組長」といった具合だ。
また、表の一番上の欄外に,住吉会,松葉会という団体名がある。
これが東京都内、やくざの表の看板のリストである。
そうした会社の所在地は、所在地は新宿、渋谷、港区など23区内と八王子周辺が多い。
営業内容は不動産、金融関係が圧倒的に多いが、中にはピアノ教室や喫茶店もある。
業種だけを見た限りでは東京都内の中小企業の組合の名簿と違いはない。
フロント企業は、それだけ社会に浸透しているのである。
今回入手したリストは数年前に出回ったものだが、現在こうしたリストは数種類出回っている。捜査当局の資料の流出が元だが警視庁OBがそれに自分の情報を加えてオリジナル改訂版としたものもあるという。いずれのリストも企業サイドに高額で買い取られている。
とりわけ外資系企業は、マル秘企業リストに興味を示しているという。
企業防衛上の貴重な情報ということだ。
このような情報は、大手調査会社の東京商工リサーチや帝国データーバンクも、公表はしていないし、通常のルートでは教えてくれないが、超得意先向けにマル秘企業リストを密かに作成しているともいわれている。
こうした資料が、通称フロント企業リストとか企業舎弟リストとか呼ばれているものだが、実はこれらのリストは実際のフロント企業の姿とは程遠く、これからの時代の企業防衛にはあまり役立たないという話もある。
現在出回っているリストにある会社、つまり親分や組員が名を連ねているような企業は、すでに組そのものだというのだ。
不動産や金融業以外の、暴対法以降の新しい形態のフロント企業はリストにないのである。
これは、捜査当局の認識の古さ、新しい形態のフロント企業を調べ上げるだけの捜査能力のなさなどがあり、現実に追いつけずに、後手に回っているためだと言われている。
フロント企業が大きく変貌、変質したのは平成4年3月に成立した暴対法(「暴力団員による不当行為の防止等に関する法律」)以降の事だ。
公安委員会が一定の要件にあてはまる集団を同法に基づき指定暴力団と認定するようになった。それまでは恐喝や暴行障害、銃砲刀剣類不法所持など通常の刑法で暴力団を取り締まっていたのが、暴対法によって暴力団員であることを名乗るだけで「暴力的要求行為」に該当し、公安委員会が中止命令を出せるようになった。
「中止命令」に違反すれば、罰則が課せられる。
指定暴力団はこうした暴対法の適用を免れるために、フロント企業を設立し、形式的に組を脱退した組員を送り込む傾向を一層強めた。
これまでのところ、「フロント企業」が進出している業界は、金融業、土木・建設業、不動産業、風俗営業・飲食業などが多く、最近では、人材派遣業、産業廃棄物処理業などの分野にも進出してきている。
こうしたフロント企業は、一般の企業倫理や取引常識とはかけ離れた営業活動を行い、トラブルになると背後の暴力団の威嚇力を利用するなど、一般企業にとっては極めて危険な存在となっているというのが警察やその影響下にある組織暴力追放運動団体の見方だ。
しかし、フロント企業リストが出回り、企業は必死にチェックしている。
つまり、本当のところは一般企業とフロントの区別などつかないのだ。
昨今の企業を見ていると、フロントよりも一般企業の倫理や常識の方がはるかに問題だという指摘もある。
金融ビッグバン時代を迎え、ネットバブルがはじけようとしている今、フロント企業も新しいマーケットを獲得しようとしている。
1999年10月15日、山口組系後藤組のフロント企業と見られる自動車販売業者
パパイノエールの社長が自動車のナンバーを不正取得したなどとして逮捕された。
この事件では読売巨人軍篠塚利夫コーチ(42)が取締役だった事も話題となったが、事件のとばっちりを受けたのは篠塚だけではなかった。
1999年11月ベンチャー企業向けの新株式市場マザーズに上場した
リキッドオーディオ・ジャパン(LAJ)の社長が、パパイノエールに勤務していた事があるところから、一部のマスコミに「暴力団との交友関係があった」という暴露記事が出たため、社長の進退騒動にまでなったのである。
この背景には、昨年12月に東京証券取引所に対して、暴力団の資金源にならないよう、上場基準に明解にして欲しいとの警視庁の要請があった。
同時にマスコミ関係者にLAJに関する疑惑が広まった。
ここに警察のリークがあったと見る向きもある。
勤務していただけで、LAJの社長が構成員であると断定されたわけではない。
しかし、疑わしきは罰せよという暴対法の拡大解釈でマスコミを利用し、圧力をかけたわけである。
そうした捜査当局のやり方の是非はひとまずおくとしても、ネットベンチャー市場が不気味な勢力の侵攻を受けつつあるのは間違いないところだ。
今年の4月5日午後2時10分頃、渋谷区広尾のビルの6階にあるゲームソフト卸売会社デジキューブの出入り口ドアに2発の銃弾が撃ち込まれた。
この事件と関係があるかないかはわからないが、2月からLAJのコンピュータに連続して不正アクセスが行われる事件があり、今年の6月10日、元LAJ役員の山下哲矢容疑者(32)が不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕された。
そして逮捕当時、この山下容疑者が役員を務めていたコンピューターソフト関連会社「アイフェイス」は、インターネット上での音楽配信で、LAJとライバル関係にあるデジキューブの関連会社だったのである。
銃撃と不正アクセスはまったく別の事件かもしれない。
ふたつの事件の関連は解明されていないのである。
しかし、この業界の影の部分で、何かがうごめいている事をかいま見せる出来事ではある。
その何かはもちろん、組織暴力団に他ならない。
まだその実態は見えないが、これまでのように会社ごとのフロント企業という形で利権を得るというよりも、もっと構造的なたとえばフロント産業化とでも形容するのが、ふさわしいかたちでネットベンチャー界を侵食しているのではないか。
それは、規制緩和を売り物にした金融ビッグバンそのものが、業界の枠を外して活性化を図るという目的と同時に、フロント企業の参入も楽にしてしまったということである。
警視庁の警戒も根拠のない話ではない。
フロント企業が上場会社を影で支配するというより、フロント企業そのものが上場してしまうこともありうる時代になったのである。
パンチパーマの不動産業者やヤクザまがいの取立屋のイメージでフロント企業を語ることは既に時代遅れになっている。
1999年2月、日本航空の株式100万株が、指定暴力団山口組系後藤組の組長名義に書き換えられていたことが判明、経営陣をあわてさせた。
後藤組は、静岡県富士宮市に本部を構え、山口組の武闘派≠ニして知られた組織だ。
平成4年に、映画監督の伊丹十三(故人)を襲撃したとして組員が逮捕されたほか、一時は上場企業に質問状を送りつけるなど総会屋活動にも乗り出していた。
当時、日本航空の発行済み株式は、約17億7800万株。
後藤組長名義の株は、そのうちの約0.056%にすぎなかったが個人株主では第2位に躍り出たうえ、総会での議案提出権を持つ立場を得た。
普通、暴力団関係者が大株主になっているということが明らかになれば、株価は下がる。
買い占めて高値で買い戻させると言うことが目的であれば名前をだすことは逆効果である。
それこそフロント企業を利用すればよいのであるが、この場合それをせず、組長の株取得の事実が報道されてしまった。いったい本当の目的はどこにあったのか?
事情通によれば、この株取得の資金はある大手サラ金業者が出したものという。
あるトラブルの和解金だという。
日航は当時糸山英太郎氏(元衆議院議員)が大量に株を買い占めて筆頭株主になっていた。
糸山氏と言えば、隠れた大富豪だが、企業買収家としても有名。
その糸山氏に株を買い取らせようという意図があったのではないかというのである。
影の部分で何があったのかは明らかにされていない。