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辻元清美チャンの逮捕に思う 古川利明の同時代ウォッチング
http://www.asyura.com/0306/nihon6/msg/740.html
投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 04 日 03:40:27:ieVyGVASbNhvI

(回答先: 辻本清美元議員逮捕は警察不祥事隠しがねらいやった キツネ目事件調書 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 02 日 07:52:07)


辻元清美チャンの逮捕に思う 
03・7・27


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 「社民党のエース」とまで言われた辻元清美チャンが、土井たか子の側近だった五島


昌子・元公設秘書らと警視庁に詐欺容疑で逮捕されました。例の『週刊新潮』の記事か


ら1年4カ月も経って、永田町に解散風が強まってきたこの時期に「なぜ?」という素


朴なギモンは当然にしても、今度の逮捕劇は、私自身、辻元チャンをよく知っているだ


けに、いろいろと考えさせられるものがあります。今回は、そのへんのところをちょっ


とまとめてみたいと思います。


 

 まず、今回の逮捕が「なぜ、いまの時期に?」という憶測がいろいろと流れています。


「今度の総選挙に出させないためだ」とか、「武富士の疑惑を社民党が国怪で追及す


る姿勢を見せていたため、その意趣返しだ」とか、「武富士ギワクに関わっていた警視


庁幹部の処分と同じ日に逮捕することで、武富士問題の記事の扱いを小さくするためだ


った」とか、そういった話が耳に入ってきます。


 まあ、これが真実かどうかはわかりませんが、残念ながら、「当たらずとも遠からず」


といったところでしょう。


 もちろん、こうした形での公設秘書給与の流用は、辻元チャンだけでなく、他党も含


めて、大勢の国怪議員がやっていたのだから「今回の逮捕は弱いものイジメ」であり、


「社民党潰しだ」という批判もあります。


 私もまったくその通りだと思います。


 

 ですが、何というのでしょうか、ケーサツなどというのは、古今東西、所詮「権力の


イヌ」でしかないわけですから、「強い者に弱く、弱い者に強く」のは、ある意味、ア


タリマエなのです。


 とりわけ、ケーサツという組織は、かつては「革命」を目指して、その手段が武力を


用いる破壊的なやり方であれ、選挙といった合法的な手段であれ、体制転覆を狙ってい


たサヨク勢力に対して、並々ならぬ敵愾心をもともと持っているわけですから、「最悪」


ということを想定していれば、今回のイヤガラセ的な逮捕は、十分にありえたといえま


す(もっとも、こんなチンケな詐欺事件に、本当に1年以上も内偵がかかっていたとし


たら、それは無能(=バカ)としか言いようがありませんが)。


 

 それに辻元チャンは、例の鈴木ムネオの国怪証人喚問での質問に見られるように、統


治権力、すなわち、与党(+官僚機構)の側から見れば、「このまま放置しておいたら、


我々の足場を崩されてしまう」というビビリはあったと思います。そういう事情とマッ


チして、おそらく内部告発があったのでしょう。


 もちろん、総選挙直前の時期に、こうやって狙いすませたように、「身柄拘束」に持


っていくというケーサツの卑劣なやり方はもっと非難されてしかるべきですが、じゃあ、


その一方で、「この程度の問題で組織の存亡に立たされているという、社民党っていっ


たい何なの?」という思いが私にはあります。


 

 今回の逮捕容疑となった事実は、辻元チャンが衆院議員に当選後、97年4月10日


から98年12月1日まで政策秘書として登録していた辺見某が、辻元事務所の勤務実


態がないにもかかわらず、月5万円の“名義貸し料”を支払い、残りをプールして、私


設秘書などの経費に充てていたというものです。


 こうした公設秘書給与の流用は、社民党だけでなく、他党でもずうーっとやっていた


ということなので、辻元チャン自身も含めて、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と


いう感覚だったのだと思います。


 こうしたことが、週刊誌等で大々的に報道されてしまったことによる、「世間をお騒


がせした」という、「政治的、道義的責任」は、とりあえず、ここでは置いときまして、


まず、シビアに見なければいけないのは、この行為が本当に刑法第246条の「詐欺罪」


にあたるかどうかです。


 この「詐欺罪」が成立するのは、人を「欺罔」して、財物を受け取ったり、財産上、


不当な利益を得た場合ですが、この「欺罔」、すなわち、「だます」という犯意の立証


が、政治資金規正法違反などのいわゆる形式犯と違って、一般的にはなかなか難しいと


されるところです。


 

 今回のケースが実際、詐欺罪にあたるのかどうか、私の手元には報道記事以上の情報


がありませんので、何ともいえませんが、一般的な感覚として、「やっぱり、本来、政


策秘書に支払われるべきカネが、本人に渡っていなかった」という外形的事実だけでも、


「?」という部分はあります。


 やはり、もともとは主権者の「税金」から出ているわけですし、とりわけ、統治権力


を厳しく追及しようとする立場の人間には、要は立ち小便でも交通違反のもみ消しでも、


「微罪」であるからこそ、逆に足元をすくうわけです。


 サヨク的な市民運動家のメンタリティーにありがりな、「清く、正しく、美しく」な


テーゼとはまた違う意味で、身ぎれいにしておくことは必要で(もちろん、これは私に


も当てはまりますが)、いろんなところで相手に付け入るスキを与えてはならないと思


います。


 

 ただ、果して本当にこれが「詐欺罪」をドンピシャリと適用できるかどうかといえば、


これも「?」という気がします。


 というのは、例えば、山本譲司・元民主党衆院議員のケースように、政策秘書の実態


がまったくゼロで、んで、国から受け取ったこのカネが、カツラ代など、まったく私的


な部分に使っていたとしたら、そこで「欺罔する」という犯意が明確に浮かび上がって


きます。


 しかし、辻元チャンのケースだと、既に、国怪議員の間では、こうした「名義貸し」


のやり方が一般化していたことに加え、辻元チャンの言うように、「勤務実態として、


公設秘書と私設秘書の区別はつけにくく、実際、公設秘書3人だけでは不十分だった」


というのであれば、それはそれで言い分としてわかります。


 ただ、そうするのであれば、政治資金の報告書に「寄付」という形で届け出る処理を


しておけばよかったのです。まあ、これをしたところで実態そのものは何ら変わりない


のですが、ただ、政治とカネの関係をガラス張りにするという点では、意味のある手続


きだと思います。


 

 実際、辻元チャンは会見で次のように述べています。


 「私のケースは詐欺罪には該当しないものと確信しています。もし、私のケースにつ


いて、詐欺行為の刑事事件として、立件されるのなら、私は国会議員の職に留まって徹


底的に争うつもりです」


 つまり、これは極めて「ダークゾーン」の部分があって、決して、事件のスジそのも


のが決してよくはないのです。それゆえ、捜査当局が厳しく対応すれば、公判請求(=


起訴)も可能ですし、場合によっては起訴猶予で済ますことができたと思います。そこ


が、ないものをデッチ上げ、口封じのために逮捕した三井環氏のケースとは根本的に違


うところです。


 

 今回の辻元チャンの件がややこしいのは、この詐欺罪の“犯罪事実”自体に曖昧なと


ころがあるのに加えて、週刊新潮の報道直後の彼女の対応、そして、さらに輪をかけて


社民党(=土井たか子)の対応のまずさが、拍車をかけて、辻元チャンを窮地に追い込


んでしまったことです。


 とりわけ、最初の会見で、彼女が週刊新潮の報道を全面否定してしまったのは致命的


でした。


 これは、いまさら言ってもしょうがないですが、最初の段階で、概ね記事に書かれて


ある事実関係を認めたうえで、(ここはあまりにも日本的ですが)「世間を騒がせて申


し訳ない」と頭を下げて、「詳しいことはまた調査をして、明らかにします」と、イン


ターバルを置いて対応を取ればよかったものを、あの調子で突っ走ってしまったことで


す。


 それともう一つ、当時、彼女自身が鈴木ムネオを国怪で厳しく追及していたもう一方


の当事者だったという、絶妙のポジションだったこともあります。


 

 それともう一つは、「指南役」とされた、土井たか子側近の五島昌子の問題です。


 結局、辻元チャンは、「自分一人の責任」みたいな形で抱え込んでしまって、結局、


自らが議員辞職し、結果的に社民党女系家族の姐御分である五島昌子、すなわち、土井


たか子(=社民党)を守った形になってしまいました。


 本来なら、「刑事責任(=詐欺罪)」と「政治的・道義的責任」をもう少し、峻別し


て、きちんと対応すれば、まだ、切り返せる余地もあったのかもしれません。


 というのは、「政治的・道義的責任」はあっても、「刑事責任はない」と主張するの


なら、「政治的・道義的責任」は「離党」という形で取り、「刑事責任」に関しては、


バッジをつけたまま「受けて立つ」というのがスジだったと思います(まあ、当時のバ


ッシングの嵐の中でそれが本当にできたかどうかはムズカシイですが…)。


 

 ここで致命的なミスを犯したのは、土井たか子も同じで(というより、もっと悪質で)


辻元チャンの議員辞職で「シャンシャン」にしてしまったことです。


 そこで土井たか子がやるべき道は、五島昌子を切り、彼女にすべてしゃべらせたうえ


で、これを政界全体の問題に波及させていき、秘書給与制度の抜本的な改革に持ち込む


ことだったのですが、それすらしなかった(できなかった)ところに、もう、「終わっ


てる」とみていいと思います。


 

 んで、辻元チャンに話を戻すと、あの場面での彼女の選択肢は、何よりもまず、最悪


の事態を想定(=つまり、詐欺罪での在宅ではなく、身柄拘束による起訴ですが)した


うえで、まず、この降りかかった火の粉をどう始末するかだったと思います。


 世論としても、彼女のあの行為が「巨悪」ならぬ、“プチ悪”であるのはわかってい


ますから、そのへんの「道義的・社会的責任」に関するバッシングは、時間が立てばフ


ェードアウトするでしょうが、問題は刑事事件への対処です。


 「刑事責任としての詐欺罪」を全面的に争って、無罪を主張するのであれば、離党は


しても、会見で言っている通り、議員の職に留まり、「受けて立つ」というのがスジだ


ったでしょう。ただ、その場合、最高裁まで争うというハラを括らなければなりません。

 

 もう一つは、「刑事責任」も認めたうえで、議員も辞職する道です。もちろん、これ


はすべてを失う道です。しかし、じつはこれがいちばんの近道だったような気がします。


 その後、辻元チャンは流用したとされる2千数百万円を国庫に返納していますが、こ


の行為を見る限り、詐欺の犯意を含めて、刑事責任も認めたとも受け取れないこともあ


りません。


 しかし、その一方で、これまで彼女は「これは詐欺罪にはあたらない」と主張してい


ます(結局、今回、彼女が逮捕されたのも、犯意を否認したからだとされています。も


ちろん、否認したらパクるというケーサツも相変わらず野蛮ですが)。


 確かに、あの状況では「進むも地獄、退くも地獄」ということに違いはありませんで


したが、究極的には「悪意はなかったが、言われてみれば、国民の税金をああいう不透


明なやり方で流用してしまって、私の無知で申し訳ありませんでした」と頭を下げ、詐


欺罪の成立をも認めていれば、結果として「起訴猶予」の可能性もあったのだろうか、


とふと思います。


 

 秘書給与の問題がどうでもいい問題だとは言いませんが、大局的には瑣末な問題です。


極東亡国の政治状況を考えてみた場合、もっと大きな問題は腐るほどあります。


 であるならばこそ、今度の問題については、逆に「マナ板の上の鯉」のごとく、「切


り裂くなり、煮るなり好きにしてくれ」と開き直るぐらいの方法しかなかったのではな


いか。それは、私の好きな戦国武将・上杉謙信の「生きんと思えば死に、死なんと思え


ば生きる」ということでもあります。そんなことを、いま、私は考えてしまうのです。


 つまり、起訴されたところで、どうせ、執行猶予付きの有罪でしょうし、それ以上に、


このネタが「統治権力」とケンカするに値するものとは思えない。そんなのに無駄な


エネルギーを消耗するくらいなら、ここは一歩も二歩も下がって、力を蓄えたうえで、


また、再起を目指せばいいのではないか。そういうことを私は思うのです。


 

 人生において、あの局面で、明らかに彼女は「ツキの流れ」というのが、一挙にひっ


くり返ってしまったのだと思います。


 彼女も私もそうですが、基本的に同じタイプの人間で、要するに「イケイケドンドン」


なのです。そういう人間は、攻めに回ったときはめっぽう強いが、一転して守勢に立た


されたときは、びっくりするくらい脆い。私自身が、非常にワキの甘い人間なので、そ


のことが、とてもよくわかるのです。


 そして、私自身がそうですが、そういうタイプの人間というのは、「一歩でも、二歩


でも、退くことは敗北」なのです。だから、「負けないためには、常に攻め続けなけれ


ばならない」のです。だから、一転し守勢に立たされると、ドンドンとドツボにはまっ


てしまうのです。


 しかし、人生においては、自らの力では何ともできないことがいくらでもあるという


か、じつはそれがすべてではないのか、と思うときが時々あります。ですから、こうい


うときは、近江商人の諺ではありませんが、「会社を潰したら、一年間は琵琶湖で釣り


糸を垂れてろ」ということなのでしょう。


 ですが、悲しいかな、私も含めて、人間という生き物は、どうしてもそこでもがき、


そして、苦しんでしまうのです。


 

 ついでに言えば、もし、社民党がこんなことで潰れるくらいだったら、さっさと潰れ


てしまえばいい。少なくとも、今度の秘書給与流用問題で、説明責任を一切、放棄して


いる土井たか子の姿を見ると、繰り返しになりますが、本当に「終わってる」と思いま


す。たぶん、今度の総選挙で潰滅的な敗北を喫さないことには、いま、自分が置かれて


いる状況が分からないのだと思います。


 んで、確かに、社民党は表面的には秘書給与の問題で揺れているように見えますが、


本質的にはもっと根深いところに問題はあると思います。


 つまり、55年体制の一時的な崩壊の後、自・社・さ連立を組む中で、結局、あなた


がたが目指す「社民主義」とは何なのか、ということが、全然、見えてこない。もっと


いえば、冷戦終結による東側共産圏の崩壊について、何ら、彼らは総括していない。


 だから、政権中枢の「腐れウヨク」の連中に、これ見よがしに「北」の問題を出され


ても、なんら説得力のある切り返しができない。


 

 私は騒動が起こった後、一度だけ辻元チャンにメールを送ったのですが、いま、必要


なのは、そういった秘書給与の問題もさることながら、じつは「社会民主主義」という


思想の根本的な再構築ではないのか、ということを書きました。


 西側的資本主義体制の前に、本当に左翼思想は敗北したのか。もし、負けたのであれ


ば、なぜなのか。んで、負けたわけではないのだとすれば、今後、どういう形でそれを


再生させていくのか、ということを、もっと突き詰めて考えていくことが必要なのでは


ないでしょうか。


 その意味で、私は辻元チャンにこれからも期待していますし、これを乗り越えて、ま


た、国怪の場に戻ってきてほしいと、切に思います。

http://furukawatoshiaki.tripod.co.jp/article/727.html

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