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(回答先: 9月19日まで精神鑑定 少年、留置後に審判再開 長崎新聞 投稿者 エンセン 日時 2003 年 7 月 25 日 14:11:53)
長崎家裁が中1の58日間の鑑定留置を決定 (03.07.25)
長崎市の男児誘拐殺人事件で、精神鑑定が決まった中学1年の男子生徒(12)に対し、長崎家裁(伊東浩子裁判長)は24日、収容先の長崎少年鑑別所(長崎市橋口町)での鑑定留置を決定した。期間は24日から9月19日までの58日間に及ぶ。
最高裁によると、刑事責任を問えない14歳未満の触法少年の精神鑑定は最近では2002年の1件だけ。凶悪事件が対象となるのは初めてとみられ、「12歳」を長期拘束して精神状態を調べるという異例の展開になった。
鑑定留置に伴い、家裁は観護措置(7月10日から8月6日までの四週間)を停止した。家裁はすでに鑑定人を指定しており、鑑定人は留置期限までに鑑定書を提出する。家裁は鑑定人の氏名を明かしていないが、鑑定実務の経験豊富な精神医学の専門家を起用したとみられる。
鑑定人は生徒から心身の状態や生い立ち、非行当時の状況などを聞き取るほか、心理テストなどを行い、犯罪に至った経緯を科学的に分析する。
生徒の場合、男児の衣服を脱がせ、体を傷つけるなど異常な行動がみられるため、精神医療の観点から事件を解明する。
鑑定書の提出後、家裁は残り期間の観護措置を決定し、審判手続きを再開する。このため、少年審判の保護処分の決定は9月下旬から10月初旬になる見通し。
14歳未満の少年の処分には、保護処分、不処分、児童相談所送致――の3つがあり、12歳の生徒の場合、保護処分となったうえで、厚生労働省などが運営する児童自立支援施設へ送られる可能性が高い。
県警の調べによると、生徒は1日午後7時20分ごろ、長崎市三芳町の大型電器店で、同市北陽町の幼稚園児、種元駿(しゅん)ちゃん(4)を連れ去り、同9時15分ごろ、市内の立体駐車場屋上から突き落とし、殺害したとされる。
◆鑑定留置に識者の賛否分かれる
長崎家裁が24日、殺害男子生徒を留置して精神鑑定することを決めたことに対し、識者や専門家の間で賛否が分かれた。
「犯行には異常な側面があり、鑑定留置は妥当」と評価するのは福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)。生徒が駿ちゃんの体の一部を傷つけたりしたことについて「性的サディズムや小児性愛などの兆候がみられる」とし、「専門家による精神鑑定が必要」と指摘する。
58日間という留置期間についても「成人に比べ短く、生徒の心身に障害を及ぼすことはないだろう」と話す。
東京・綾瀬の女子高生コンクリート詰め殺人事件(88年)で、少年グループの審判を手がけた伊藤芳朗弁護士(東京弁護士会)も「生徒は殺害前に男児を虐待しており、強いストレスを感じていたのでは。原因を探るうえで鑑定の意義はある」と賛同する。
これに対し、京都女子大の野田正彰教授(精神病理学)は「鑑定留置で拘束が長期化するのは問題」と疑問を投げかける。「対象者の年齢が低すぎる。精神鑑定は本来、犯行時の病気の有無と程度を調べる手段だ。触法少年の動機や原因は鑑定に頼らず、審理を通じて判断すべき。複数の専門家による第3者機関で原因を明らかにする方法もある」と提案する。
社会評論家の芹沢俊介さんは「何でも鑑定という風潮に、違和感を覚える」と異議を唱えたうえで、「鑑定を通じ、同様の事件再発を防ぐヒントは得られない。事件当時の生徒の状態を探っても、生徒の本質に迫ることはできないからだ」と強調する。
◆更生への手がかり期待【解説】
中学1年の男子生徒の鑑定留置が決まった。なぜ事件が起きたのか。どう更生させるのか。4歳の男児を屋上から突き落とした12歳の心の闇をどこまで解明できるのか注目される。
刑事事件の精神鑑定は通常、責任能力の有無に焦点が当てられる。裁判官が「責任能力がない」と判断すれば、罪に問われない。
一方、少年法14条に基づき、刑事訴訟法を準用して行われる精神鑑定は更生が大きな目的となる。法でも「(鑑定は)保護事件の性質に反しない限り」と明記されている。
鑑定は少年の処遇に大きな影響を与える。西鉄高速バス乗っ取り・殺傷事件(2000年)の少年(当時17歳)や大分県野津町の一家6人殺傷事件(同)の少年(当時15歳)は3か月間の精神鑑定を受けた。
西鉄バスの少年は刑事処分可能な年齢で、責任能力はある解離性障害と診断されたが、鑑定に基づき、医療少年院に送致。野津町の少年は当時の少年法の規定では刑事罰を科すことができなかったが、行為障害と診断した鑑定を基に医療少年院に送られた。
今回も14歳未満で刑事責任に問えないことから、鑑定は事件当時の精神状態を明らかにし、更生に役立てる。成人に比べると、少年の鑑定は倍の時間と労力がかかるともいわれるが、58日間の鑑定で、どこまで真相に迫ることができるのか。
鑑定が、非行に至った背景を明らかにするとともに、更生のための手がかりを提供してくれることを期待したい。(小松 一郎)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/spe-3/nds/frnds_main.htm