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長崎市の種元駿ちゃん誘拐殺害事件で、長崎家裁(伊東浩子裁判長)は二十四日、家裁送致された中学一年の男子生徒(12)の精神鑑定のため、同日から九月十九日までの五十八日間、少年を鑑定留置することを決め、留置場所を収容先の長崎少年鑑別所に指定した。このため少年の観護措置(当初満了日は八月六日)は二十四日付で一時中断された。留置期間を満了し、審判が即再開された場合、観護措置の残り期間を考慮すると十月二日までに少年の処分が決まる見通し。
家裁は、二十三日に開いた第一回審判で、少年の付添人弁護団の申請を認め、鑑定を決定し、鑑定人を選定。期間と場所を定めた留置決定により、少年の精神鑑定が手続き上本格化した。
刑事責任を問えない十四歳未満の触法少年の精神鑑定は、最高裁が把握しているだけで昨年度一件。鑑定は、一般に刑事事件で責任能力を判定するために行うが、十二歳少年では、極めて異例なケースといえる。犯行動機の解明とともに、少年の今後の処遇を決める判断材料にするとみられる。
鑑定では、精神科医などの専門家が心理テストや脳波検査をし、先天的疾患や知的障害の有無を調査。同時に成育歴や親子関係なども聞き取る。
少年の留置場所は鑑別所だが、鑑定を行う場所は、鑑別所のほか病院なども考えられる。さらに留置期間は刑事訴訟法が準用されるため、「家裁裁判官三人が少年の状態などを判断し、短縮や延長もあり得る」(家裁総務課)としている。
鑑定後に審判が再開されるが、少年の処遇は、強制措置が可能な児童自立支援施設への送致の可能性が高い。
動機解明へ期待 県内関係者ら疑問や戸惑いも
長崎市の男児誘拐殺害事件で、中学一年の男子生徒(12)の鑑定留置が決まった二十四日、少年にかかわっている県内の関係者や精神科医らからは、少年の心理、犯行動機の解明に期待が高まる一方、精神鑑定そのものへの疑問や多面的な分析を求める声が上がった。
県内のある保健体育教諭は、少年の精神鑑定に複雑な胸中をのぞかせる。「家庭訪問で子どもの家庭での様子を聞かされ、学校生活と違う内面、表と裏の顔に驚くことが多い。学校、家庭、地域で違う顔があるのは当然。少年の日常生活、親子関係、成育環境についての細かい調査、分析こそが必要だ」。一方で「少年の行動には不可解な点が多い。事件の背景に精神的な疾患があるのか。『多感な思春期』というだけでは済まされないかもしれない」と語った。
「親の過保護が原因なのか、少し指導しただけで感情的になり、『殺す』などと平気で言う子が増えた」と、長崎市内の少年補導員の男性(32)は言う。「そんな未熟な子どもの鑑定をして、どこまで中身が解明されるのか。再発防止に役立つことは願うが…」と戸惑いを見せた。
県内の精神科医の一人は「少年の犯行は衝動的との印象も受ける。だが、事件は性犯罪的な側面があり、少年の強い性衝動が残虐な犯行を引き起こしたとすれば、その素地をきちんと分析する必要がある」と指摘。「少年の深層部分を社会が直視する必要がある。しかし、性の問題は社会がタブー視し、顕在化しない。その上、少年法により鑑定結果は何ら明らかにされないのではないか」と疑問を投げ掛けた。
2003年7月25日長崎新聞掲載
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/108.html