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「神戸事件と類似点」の声――閉じた心 解凍には時間
「地震で地面が割れるような感覚におそわれた」と、神戸市で97年に起きた連続児童殺傷事件の少年審判関係者の一人はいう。
逮捕された少年は当時14歳。新聞社に送った声明文の署名から、事件の衝撃は「酒鬼薔薇ショック」と呼ばれ、刑事処分できる年齢を16歳から14歳に引き下げる少年法見直しにつながった。二つの事件が二重写しになったのだ。
少年の付添人で約30回面会した野口善国弁護士は、「親から十分に愛されていないと感じている子がいる。そういう状況が変わらない限り、いつかは同種の事件がおきると思っていた」と語る。
マスコミが伝える12歳の中学生像には、幼児を犠牲にした点など神戸事件と類似点が少なくないと感じる。「14歳に引き下げても事件がおきた。さらに年齢を下げても、同じことの繰り返しになるのでは」
…「長崎の少年は、国立武蔵野学院に入所する可能性が高い」。元法務省矯正局長の河上和雄弁護士はそう予想する。精神科医が常駐するなど体制が充実し、ほかの施設では対応できない少年を受け入れているからだ。
…神戸事件の少年は捜査段階で28日間拘束され、家裁に送られた後、2人の精神科医が鑑定に60日間をかけた。捜査中はわからなかった「性的サディズム」(相手に苦痛を与えることで性的に興奮を覚える症状)が主因と判明し、医療少年院に送られた。
少年院などで性暴力事件の少年たちのカウンセリングをしてきた大阪大の藤岡淳子教授(心理学)は語る。「自己の感情を封じ込めているので、自分がしたことと向き合えるようになるまでに時間がかかります。ゆっくり解凍しないといけない」
(朝日新聞2003年7月13日「12歳 長崎事件の衝撃 下」)