現在地 HOME > 掲示板 > 日本の事件5 > 516.html ★阿修羅♪ |
|
長崎市北陽町の会社員、種元毅さん(30)の長男で幼稚園児、駿(しゅん)ちゃん(4)全裸殺人事件で、誘拐殺人などの非行事実で補導された市立中学1年の男子生徒(12)は、性的いたずらに抵抗する駿ちゃんに暴行を加え、発作的に殺害した可能性が出てきた。ボタン一つで敵を瞬時に、簡単に倒せるゲーム感覚で、現実とバーチャル(仮想)の世界が交錯する。そして、生徒の発育に暗い影を落とす母親の溺愛(できあい)…。少年は長崎少年鑑別所での観護措置に委ねられるが、「心の闇」を解くカギは、2つのキーワードに隠されている。
【両親の所へ行こう】
多くの人たちが訪れてめい福を祈る殺害現場では、日に日に花束や供物の数が増えている
長崎署捜査本部によると、男子生徒は誘拐現場となった長崎市三芳町の家電量販店にいた駿ちゃんと一緒にゲームをして手なずけた後、「ゲームをしに行こう」「お父さんとお母さんの所に行こう」といった甘い言葉で誘い出していたことが新たに分かった。
路面電車の停留所で手をつないで電車を待っている2人が目撃されており、駿ちゃんは男子生徒の言葉を完全に信じていたらしい。
当初、2人はゲームセンターや玩具店を経由しながら犯行現場である同市万才町の立体駐車場・築町パーキングビルに向かったとみられたが、その後の捜査で、路面電車で殺害現場に直接向かったことも判明した。
2人は生徒の非行事実の決め手となった商店街「浜市アーケード」の防犯ビデオに1日午後8時すぎに映っていたが、午後9時台にも同じビデオが少年が1人で歩く姿もとらえており、犯行時間の特定に結び付いた。
【手すりに立たせ】
駿ちゃんには生前に受けたとみられる刃物によるとみられる傷や暴行の跡があった。服を脱ぐのを嫌がる駿ちゃんに暴行を加え、無理矢理はぎ取った可能性もある。
立体駐車場屋上の手すりには駿ちゃんの足跡があり、捜査本部は生徒が激情して発作的に、手すりに立たせたうえで突き落としたとみる。
【温厚な父親】
生徒は長崎市北部の集合アパートで、両親との3人暮らし。父親は長崎市内にある全国展開の人気レストランで調理師をしており、母親は今年4月まで専業主婦だった。
男子生徒は私立の幼稚園からエスカレート式に小学校に入学したが、2年生の2学期には公立小に転校している。
父親は転校時に仕事を休み、「学校になじめなかったようだ」と息子をかばった。
「父親は温和で、人とトラブルを起こすこともなかった」(知人)という。学校の役員会にもよく顔を出し、教育熱心な父親だったらしい。
【過保護な母親】
「その正反対だった」と知人たちが口をそろえるのは、母親である。
「一種のトラブルメーカーだった。ひと言で言えば、過保護で息子を溺愛していた」と証言するのは、10年ほど前から母親を良く知る男性だ。
生徒は4歳になる年に、最初に通った幼稚園も3カ月でやめている。
「我が子かわいさのあまり、(母親は)息子さんに嫌なことがあると、他人、つまり友達のせいにしていた。生徒は自分で勝手に転んでも、『人に押された』と訴えるようなところがあった」
友達が使っていたおもちゃの順番が待ちきれず、先生が「それはダメよ」と諭すと、生徒はかんしゃくを起こして、長時間泣き叫び続けることもあったという。
幼稚園の年少組は一般に、「最初は分からなくても、さまざまな経験の中でしかられ、褒められながら、社会のルールを学んでいく」(幼稚園関係者)とされる。
だが、「あの子は3カ月間、かんしゃくはまったく治らなかった。自己本位の性格は、小学校でも変わらなかった」(両親の知人)という。
【幼稚園に抗議】
母親はしつけとして、息子をたしなめるどころか、常に息子の言い分を真に受け、幼稚園にたびたび抗議に押しかけた。
「毎週に近い印象があるほど、頻繁に抗議に来ていた。興奮することはなかったが、強い口調で『気をつけてください』と幼稚園側に迫っていた」(幼稚園関係者)
幼稚園側が事実をありのままに説明しても、他人のせいにする息子を信じ続ける。毎日の送迎にも、大勢の母親に溶け込めず、非社交的なタイプだったという。
男子生徒が幼稚園を辞める際、表向きの理由は引っ越しだったが、幼稚園側は「トラブル続きに母親が嫌気をさした」という認識だった。
【母に転機】
今年4月、男子生徒にとっては重大な『事件』が起きる。長年、専業主婦として自分をかばってくれた母親が、パートに出るようになったのだ。
毎夕、アパートのエレベーターホールのベンチに1人で座り、母親の帰りを待つ姿を多くの住民が目撃している。
奇妙なことに時期を一にして、周辺で幼児を狙った事件が頻発する。
4月に入って少なくとも4件。26日には複合商業施設の広場で遊んでいた4歳児が声をかけられ、5階の駐車場で突き飛ばされた。翌日には同じ広場にいた3歳児が声を掛けられ、6階の階段踊り場で全裸にされた。
「生徒の連続犯行とみている。凶悪事件特有の『手口の発展・継続』で、駿ちゃん事件にエスカレートしたようだ。同種の性的いやがらせが約20件も起きており、関連を調べる」(捜査員)
【ゲームの世界】
生徒は小学校の卒業文集に「将来はコンピューターのプログラマーになりたい」と綴(つづ)っている。「ゲームが好き」とも。
テレビゲームの世界では、敵を倒すのは自分の意思とボタンひとつ。だが、立体駐車場の屋上には、側でかばってくれる母親も、簡単に敵を倒せるボタンもない。
目の前では、信じていた駿ちゃんが抵抗を続ける。幼児性の強い生徒にとって、現実と仮想の境界が崩れ、パニックになった可能性が高い。
長崎県中央児童相談所は10日午後、男子生徒を家庭裁判所に送致した。家裁は男子生徒を少年鑑別所に収容した。
今後、最長4週間の観護措置をとり、家裁の調査官が男子生徒の家庭環境や性格、発育状況などを詳しく調べる。
心身のバランスが崩れたことによる行為障害が引き金とみられる。少年審判で、そんな生徒の深い「心の闇」に迫る。
ZAKZAK 2003/07/11