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(回答先: 脱ウィンドウズへ 基本ソフト開発で日中韓の官民連携 (朝日新聞) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 8 月 31 日 05:47:01)
http://www.asahi.com/money/topics/TKY200308040054.html
米ハイテク業界が低迷から抜け出せないなか、マイクロソフトが業績を伸ばしている。それを追い風に、04年度の研究開発費は前年度より8%増額し、69億ドル(約8300億円)まで拡大すると表明。競争力強化に余念がない。一方で、株主の視線は厳しく、高株価に頼った経営は転換を迫られてもいる。研究開発の現場から「巨人」の現状を探った。
パソコン画面の前にかざした手を左右に動かすと、表示されていた「ウインドー」が手の動きに合わせて移動する。未来社会を舞台にしたヒット映画「マイノリティ・リポート」の一場面のようだ。
実演してみせた同社の研究員、アンディ・ウィルソンさん(32)は、基礎研究部門で人間の動きを感知させる仕組みを研究している。「『クリック』がまだできない。いろいろアイデアはあるんだけどね」
同社の社員は全世界に約54000人。このうち約23000人は研究開発部門に所属している。ほとんどはソフトウエアなど実際の製品開発を担当しているが、700人が米、英、中国の5カ所に分かれ、約50の分野で基礎研究に携わる。
「現在のマイクロソフト製品の多くは基礎研究の成果だ」。同部門を率いるリック・ラシッド上席副社長は強調する。手書き入力ができる「タブレットPC」(昨年発売)や、今秋に北米で実用化する腕時計型などの小型情報端末も、基礎研究が製品化につながった。
ラシッド氏は「最初は役に立たなくても3、4年して突然、利用価値が出てきたケースも多い。基礎研究が会社の将来にわたる成功をもたらす」と力を込める。
「研究開発費を増額するのは、そこに可能性があるからだ」。ビル・ゲイツ会長は7月24日のアナリスト向けの説明会で自信を見せた。こうした投資拡大を下支えしているのは、好調な業績だ。
03年度決算(02年7月〜03年6月)は、売上高が前年度比13%増の321億8700万ドル、純利益が同28%増の99億9300万ドルに達した。世界のパソコンの基本ソフト(OS)市場で「ウィンドウズ」が93%を超えるシェアを握っていることが強みだ。
一方で、同社は環境変化に直面してもいる。
米ハイテク調査会社IDCによると、01年の世界のサーバーOS分野では、ウィンドウズの約49%に対し、「無償OS」として世界中の研究者が改良に携わるリナックスが約26%に迫っている。
「リナックスは脅威ではないか」と尋ねると、スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は「従来のライバルとは違い、リナックスにはコスト構造がない。非常に興味深い競争相手だ」と答えた。今年5月には、リナックスに対抗してウィンドウズ製品を大幅に値引きできるよう、特別資金を用意していたことも明らかになった。
今後の成長分野とみられるネット家電では、テレビを中心に据えるソニーなど日本の家電メーカーと、パソコンを基盤とするマイクロソフトとの間の主導権争いが激しさを増している。
株価も芳しくない。マイクロソフトが上場するナスダック市場の総合指数は00年に5000ポイントを超えたが、現在は1700ポイント程度。同社は株式分割を繰り返しているため単純に比較はできないが、低迷していることに変わりはない。
「株式の値上がり益が期待できない今、株主の関心はどれだけ配当を得られるかに移っている」と、ある米公認会計士は指摘する。
同社は手元資金が490億ドル(6月末)に達するだけに、株主からの配当要求も強く、今春には86年の上場以来初めてとなる配当を実施した。株式市場では同社がさらに配当を増やすとの期待感が強い。
株価低迷と米大手企業で相次いだ会計不正は、幹部や社員への報酬制度にも変化をもたらした。同社は7月、不透明だと指摘されてきた幹部や社員への自社株購入権(ストックオプション)の付与を廃止すると発表。9月から現物株の支給に切り替えるとともに、費用として計上することも明らかにした。
値上がりを続ける株価を前提に、株主に配当せずに研究開発や事業投資に資金を投じ、人件費も抑えられた時代が終わり、マイクロソフトも「普通の企業」への転換を求められている格好だ。同時に、技術力を維持するための研究開発費は増額しなければならない。IT(情報技術)ブームの恩恵を存分に享受してきた同社も今、難しいかじ取りを迫られている。 (08/04)