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(回答先: 株式日記と経済展望:森前首相の女性差別発言に抗議文 現代の女性にとっても結婚は墓場らしい 投稿者 あっしら 日時 2003 年 7 月 05 日 20:45:00)
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成15年(2003)7月9日(水曜日)
通巻644号
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中国にも拡がる先進国病の憂鬱
「結婚しない女」と消費性向の激変
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十数年前、広州の中国ホテルのバアで、昼間ビールを所望したら若いバーテンダーが絡んできた。
「あんた、どこからきた?」から始まり日本人と分かると「職業は?」と尋ねてくる。
当時、「どの単位に属するか?」と言うのが中国人が発する定石の質問で「私は所属する単位はない、自由だ」と答えると実に不思議な顔をした。
「単位(職場)に所属しなくても良い自由が日本にはあるのか?」
「作家がなぜ所属単位がないのか?」(当時、中国人の物書きはなんとか協会に所属が義務づけられていた)。
そのことを思えば現在の中国は異質である。革命的に状況は変化し、職業倫理も変わった。現在、中国には1838種の職業があり、しかも毎日のように新しいタイプの職業が生まれている。
都市部の消費が生活形態を激変させ、若い女性の人生観がガラリと変わったことも大きい。消費需要の多様化は、スタイリストなど、新しい職業を育む。社会が急速に発展しているからだ。
服装デザイナー、色彩コンサルティング、ウェブ・デザイナーは分かるが「ショ―ト・メッセージ・ライター」なんて日本にもない職業ではないか。
中国政府の対策は後手後手に回っているが、就業資格の認定、業種基準の制定など、新興職業に対する管理を強化するという時代錯誤には代わりがない。
とくにネット管理者、プログラマー、マルチメディア制作者、企業トレーニング・スタッフ、プロジェクト管理者などは「業務範囲、作業内容、技能面」での基準を設ける始末。職業基準は113種にもわたるという。(「チャイナネット」2003年4月21日)。
「結婚しない女」「すぐ離婚する女」は日本や欧米の話ではない。香港では二組の夫婦のうち半分が結婚から二年以内に離婚するという統計がある。
上海ではおよそ十万人もの若い女性の「ホワイトカラー」が存在し、殆どが独身女性。この層が旺盛な消費を行い、新しいブームを作る。資生堂の化粧品、グッチのハンドバックを買うのは彼女たちである。
高級をはむホワイトカラー層の可処分所得はきわめて高く、しかも独身女性であっても、平気でマンションを購入する。これは日本のトレンディドラマの影響もあるという。
上海では、26歳から30歳までの女性の不動産購入が全体の17%を占めた。
専門家の分析によれば、第一に貯蓄が迅速で、なにしろ所得が6000元(邦貨9万円は、購買力平価に直すと上海の場合、月給50万円に相当)もある。
第二に高学歴の彼女らは、大学卒業以上が全体の四分の三を占め、やはり現代中国の「高学歴、高収入」神話を象徴している。
第三に新しい生活スタイルを享受し、新しい金融商品などへもリスクを認識した上での投資を大胆に行う特性がある。マンション購入はリスクがあるが結構な利殖と認識しているのである。
ついでショッピング、観光、フィットネス、外食などに金をかける。無国籍レストラン、パブに毎晩のように出入りし、非政治的話題に笑い転げる。
まるで日本と同じ軽薄な現象が出現し、「アンアン」「ウォーカー」など女性をターゲットとする中国語の女性誌、書籍、女性向けチャンネルなどが矢継ぎ早に登場、とくに「ELLE」誌は高収入の女性向けメディアとして百五十万の発行部数!
貧困にあえぐ農村をよそに大都会に果てしなく広がる新空間。ともかく中国は広いなぁ。
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(トピックス)「カルザイ化」って?
最近、国際政治でときおり見かける新用語。「カルザイ化」とは、ときとして国家指導者の合法性を全面にたてながら、治安、財政など殆どを米国に依存し、しかも国内を移動するのに重武装の米兵の警備が必要なタイプの元首が登場する事を「カルザイ化現象」という。まもなくイラクに登場する「親米傀儡イラク政権」もそうなる?
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(書評)
中西寛「国際政治とは何か」(中公新書)
ホッブス的世界を冷笑し、ネオコンとは対極の世界観
評 宮崎正弘
今年度の読売・吉野作造賞に輝く話題の書を俎上に載せる。
著者は京大、高坂正堯教授の弟子筋にあたり、今日的なインターナショナリズムに立脚した国益を追求している。
新書にありがちな、通勤電車のなかでさらっと読める程度のものかと誤解すると間違い、ページ数は薄くとも内容はぎっしり、この稿で全体像を語れないので肝要なポイントだけを以下に列記してみよう。
米国の独立戦争以後、「自由を脅かす外敵に対する安全という意味で、安全保障という言葉が対外関係に用いられ」、(中略)「国家とは国民の集合的意識であり、一個の人格を持つかのように観念され」始めた。
これが米国のディレンマの源だと著者は言う。
つまり国家が「人格を持つ集合体」であれなどとすれば、ホッブス的な懼れが作用する。噛み砕いて言えば、旧約聖書に現れたリバイアサンのごとき怪獣の出現に依って世界は権力と畏怖による秩序によって統治される。
マキャベリ的な謀略と話し合いという近代以前の国家間の攻防は希薄となり「国家理性が恐怖心に駆られると国家は互いに安全を求めて相互破壊に陥りかねない」という。
著者は安全保障を徒らに追求すれば「安全保障のディレンマ」に陥って「他国の不安をいっそう駆り立てて相互恐怖の悪循環」となると説く。
これは米国のネオコンとは対極の理論展開である。
イラク戦争以後の欧米同盟の亀裂はホッブス的考えの米国が自らリバイアサンの役目を買って出たのに対し、冷笑的な欧州は「会議は踊る」のメッテルニヒのような安逸で享楽的世界への安住を希求する。目前のソ連の軍事的脅威が消滅したからである。
ところが9・11テロがあり、「デジタル革命」のイラク戦争で米軍兵器の圧勝を私たちは目撃した。
世界はどう変わったか。「秩序の根幹がテクノロジーに依存していることが明らかになればなるほど、権威の本質である畏敬と受容の観念は薄れるだろう」として中西寛教授は続ける。
「テロは破壊そのものが目的ではなく、恐怖を広め、既存の秩序の権威を弱めようとする行為」だから、従ってテロに弱腰は秩序を弱め、強硬な対応は人々を制約し、いずれイラク戦争以後の米国世論のごとくに、またもや反撃が過激すぎると「また秩序の権威を弱め」るという。こうなるとヒョウロンカ顔負けの日和見の論理に近い。
評者は「テロは現代社会のガン」だとする結論にだけ賛成である。
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(休刊のおしらせ)11日より17日まで海外および講演旅行のため小誌は休刊です。
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宮崎正弘の新刊
「ネオコンの標的」(二見書房、1500円)
「ザ・グレート・ゲーム」(小学館文庫、476円)
「迷走中国の天国と地獄」(清流出版、1500円)
「いま中国はこうなっている」(徳間書店、1500円)
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