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(回答先: イラン・シーア派とパキスタン・スンニー派の対立の原因は何? 投稿者 スパルタクス 日時 2003 年 9 月 08 日 21:45:10)
無花果 ichijiku
イスラーム世界は広大な地域にわたりますので、スパルタクスさんが問題にされている件に関しては直接お答えすることはできませんが、問題を理解するための背景についてちょっと書きたいと思います。
確かに、イスラームにはスンニー派とシーア派があり、4大法学派があったり、また本来のイスラームからはかなりかけ離れたドルース派やアラウィ派などがあったりで、様々な分派が存在することは事実です。また、イスラーム圏は40カ国以上にのぼるため、同じ派でも国や地域によって習慣等がかなり異なります。
欧米の研究者はこれらの違いをことさら強調する傾向にあります。最近はかなり是正されてきましたが、日本のイスラーム研究者の中には未だに欧米の研究手法を鏡として、各派の違いを強調する人たちがかなりいます。ほとんど勉強していない日本のジャーナリストには、欧米が垂れ流す記事を単に日本語にして事足れり、という傾向が見られます。
きちんとした予備知識なしに、彼らが書いた書物や記事を読めばイスラーム世界はてんでバラバラ、という方向に簡単に誘導されます。学問の世界、特に政治に密接にかかわる分野は、多国籍金融支配層がきちんとコントロールしています。政治的に対立している部分に関しては、あとに述べるように、欧米やイスラエルの諜報機関がからんでいると見て差し支えないと思われます。
先に述べたようにイスラームには多くの分派がありますが、いつも対立していがみ合っているわけではありません。むしろムスリムとしての連帯感の方が強いといってよいかと思います。シーア派とスンニー派の間でもそうです。各派の違いの前に、イスラームではアッラーとムスリムの縦の関係、ムスリム同士平等の横の関係が貫徹しているからです。
イスラーム世界では西欧に侵略されるまではキリスト教徒もユダヤ教徒もムスリムと概ね共存共栄してきたという歴史的事実があります。イスラエル建国後のイスラーム世界におけユダヤ教徒は難しい立場にありますが、キリスト教徒が多い東アラブでは、現在でもキリスト教徒が特に差別されているということはありません。
現在手許に正確な数字を持っていませんが、CIAはイスラーム対策のために膨大な予算を使っています。情報収集資金も含まれますが、おもにイスラーム世界の分断工作資金、抱き込み工作資金と見たほうが良いでしょう。ちなみに、アフガニスタンのラバニ政権を追い落とすためのターリバーン支援資金として、CIAに2,000万ドルの秘密予算が計上されたといわれています。
ターリバーン支援資金だけでもこれだけの額ですので、全イスラーム世界でCIAが使っている工作資金は膨大なものとなります。米国はCIAに加えて国防総省の情報機関も工作を行っています。また、イスラーム世界を撹乱しているのは米国だけではありません。この地域に武器輸出や石油といった利権を持っている国は様々な形で工作を行っています。イスラエルも忘れてはいけません。
イラン・イラク戦争は、イスラーム革命を達成したイランの力を削ぐために米国がサッダーム・フセインをけしかけたのもです。この戦争の背景には米国のみならず多国籍金融支配層の意図があったと考えられます。フランスはイラクに対する武器輸出で大もうけをしています。
アカデミズムやジャーナリズムがイスラーム各派の対立を強調、情報機関が実際に分断工作を行う、ムスリム同士を戦わせ、そして利益を得る・・・これほどアコギな方法があるでしょうか。