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(回答先: アル・ジャズィーラ放送が誘導しようとするものは何か? 投稿者 無花果 日時 2003 年 9 月 05 日 03:19:14)
上の投稿で、以前から気になっていた「カタール」について書きましたので、この表記と言語を巡る支配についてちょっと補足します。
日本の報道でカタカナ表記のアラブの人名や地名があふれていますが、全く不正確なものばかりです。と言うよりは、英語文献や英語報道に頼っている結果といえましょう。アラビア語を完全に日本語で表記することは不可能ですが、もう少し原音に近い表記にすべきです。
アラビア語では長母音と促音が非常に重要な意味を持ちます。ところが、英語の通常表記では長母音を表記できませんし(母音を重ねるのは通常表記ではありません)、また英語には促音がありません。
面白い例は、人名のハサンです。英語で Hasan と表記すると、欧米人は「ヘイサン」と読んでしまうので、Hassan と表記します。この表記で欧米人は「ハサン」と発音できるのですが、日本人はこの ss を促音記号と勘違いして「ハッサン」と読んでしまいます。
アラビア語にはハッサーンという人名もありますが、これを英語で正確に表記しようとすれば Hassaan で、欧米人はこれを「ハサーン」と読んでしまいます。
日本語ではアラビア語の長母音を無視(と言うよりは全く無知)して表記しますが、国名のカタル(Qatar)だけは不思議にも、ありもしない長母音を付けて「カタール」としています。何故でしょう。
アラビア語のカタカナ表記のでたらめさは噴飯物ですが、ここで問題にしたいのは、日本人が未だに欧米経由でアラブ・イスラームに接している点です。アラブ人が英語で書いた文章なら問題ないと考える人も多数いますが、決してそうではありません。自由に欧米言語を操れるアラブ人は、その言語習得過程で欧米的な思考に搦め捕られているからです。
英語はほぼ「世界の共通語」と言っても良いほど普及してしまいましたが、その背景には英国の植民地支配と米国の世界覇権があります。また、多国籍金融支配層は英語で世界を標準化する戦略を明確に描いているはずです。私たちが英語に接する際は十分注意すべきです。
フランス語を知らないフランス専門家や、英語を知らない米国専門家などありようもないことですが、日本には現地語(アラビア語、ペルシャ語、トルコ語等)を知らない「中東専門家」が掃いて捨てるほどいる現象は深く考察する必要があります。