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(回答先: 船舶塗料の有機スズ化合物でヒラメ、メスからオスへ 投稿者 小耳 日時 2003 年 8 月 09 日 21:57:09)
【世紀をひらく】第5部 〜化学物質の反乱〜
(3)海の警告/異変起こす浜の巻き貝
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/back/kagaku/kagaku3.htm
神戸・須磨海岸。消波ブロックに巻き貝が張り付く。「レイシガイ」。殻を割ってみる。雄貝には、クリーム色をした渦巻き状の大き なペニスがある。ところがなぜか、雌貝にも小さなペニスがついている。
「インポセックス」と学会で呼ばれる。各地で観察されている雄化現象だ。神戸市立須磨海浜水族園の学芸員、佐名川洋之(41)は言う。
「船底塗料や漁網の防汚剤に使われていた有機スズが原因だとされている」。その名はトリブチルスズ(TBT)、トリフェニルスズ(TPT)。いわゆる環境ホルモンだ。
産卵機能が失われるほど“重症”の貝はなかった。しかし昨年十一月に七十五個体を調べたときも、雌の三十三個体すべてが雄化していた。今年八月、市民グループがイボニシという別種の巻き貝六十四個体を調べた結果も、同じく一〇〇%。須磨だけではない。西宮市や揖保郡御津町の海岸でも見つかった。
こんな研究報告がある。TBTは、海水一リットルあたり一ナノ(十億分の一)グラムの微量でインポセックスを起こさせる―。
さんざん使われた末に危険性が判明し、日本では一九九〇年、一部のスズ化合物の製造が禁止され、他の有機スズも製造、輸入が届け出 制になった。運輸省や水産庁の指導で、日本の船は使わなくなったが、外国船は対象外。しかも瀬戸内海のような閉鎖性海域では、一度たまった汚染物質の濃度はなかなか下がらない。国立環境研究所の調査では、大阪湾内ではTBT濃度が一リットルあたり一ナノグラムを超え、外洋に近づくほど低くなっていた。
◇ ◇
生命の源・海。何かが起こっている。しかし、その姿はとらえにくい。水質汚濁を測る指標は、有機物を表す「COD(化学的酸素要求量)」や窒素、リンが中心で、環境ホルモンのような化学物質の汚染にはまだ、ほとんど手が届いていない。
瀬戸内海環境保全審議会の昨年一月の答申「新たな環境保全・創造施策のあり方」に、「新たな有害化学物質問題の対応」が盛り込まれた。わずか二行だった。具体的な方策も決まっていない。事前の公聴会で、環境ホルモンの規制基準をつくるよう訴えた広島大教授、戸田常一(49)は語る。「研究者間では化学物質汚染への心配が広がってきた。しかし、行政の基準にするには、データの積み重ねがまだ足りない」
◇ ◇
姫路工業大教授、熊谷哲(50)=環境分析論=の研究室は、九九年から播磨灘の調査を独自に続ける。
光を当てたのはノニルフェノール。洗剤などに含まれる界面活性剤が分解されてできる。「閉鎖性海域で環境ホルモンがどのように影響しているか、自然界からのシグナルをキャッチしたい」
昨年暮れから今年にかけ、本州、四国、淡路と播磨灘沿岸でムラサキガイを採取、貝肉中の濃度を調べた。本州側の人口密集地では、東京湾と同程度の高い濃縮が見られた。下水処理場の排水口付近の海底の泥も高濃度で、生活排水との関係が浮き彫りになった。
瀬戸内海周辺には、日本の人口の二八%に当たる三千五百万人が暮らす。その海で起こる貝類の異変。警 鐘は、どれほどの人の耳に届いているか。(敬称略)